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学校から暗に退学を勧められ…。中学受験に無事合格も、彼らが「転校」を余儀なくされた理由

オールアバウト / 2024年9月27日 21時35分

学校から暗に退学を勧められ…。中学受験に無事合格も、彼らが「転校」を余儀なくされた理由

中学受験を頑張って合格を手にしたものの、その後やる気を失い成績不振になったり、いじめなどのトラブルを起こしたりして、退学を余儀なくされるケースがあります。実例を紹介しながら、そんな結果を未然に防ぎ、最高の合格をつかむ方法を考えます。

中学受験に頑張って取り組んでいる人には水を差すようですが、中高一貫校に入学したら、自動的に6年間在籍できる学校ばかりではありません。せっかく入学した学校を途中で辞めることになるケースは、実は珍しくないのです。

基本的には、中高一貫校の場合、6年間在籍することを前提に入学するわけですが、成績不振や素行不良、出席日数不足などを理由に退学せざるを得なくなることがあります。正確な人数は公表されないので分かりませんが、そんな話を聞いたことがある人はいるでしょう。

特に、高校に進学するタイミングで、中学校の成績や内部進学試験の成績が内部規定に満たない場合には、高校に進学できないというのは、よくあります。

実際、そのことを知らずに大学付属校に進学し、中3の3学期になって次の試験で基準を満たさなければ退学になると通告されて慌てたという保護者がいました。

その保護者は、「そのまま大学までいけると思って選んだのに、こんな結果になって残念でした。子どもが油断して勉強しなかったのが悪いのですが、中3の終わりの時点で通告されても、高校受験の準備が間に合わないので、もう少し前に「言って欲しかった」と話していました。ギリギリ他校の受験に間に合い、他の私学に転校しましたが、予定していなかった高校受験がいかに大変だったかは、想像に難くないでしょう。

また、いじめなど、生徒同士のトラブルへの対応もさまざま。「絶対いじめは許さない」と、かなり厳しい対応をされることもあります。

ある進学校で、高3の2学期に友人とトラブルになり、それをきっかけに学校にいづらくなって退学した生徒がいました。この生徒は、その後高卒認定試験を経て大学受験をしましたが、このケースでは、生徒同士のトラブルをいじめと判断されたわけです。

母親は「自分の子どもにも非はあったかもしれないけれど、受験前のストレスから起きたトラブルで、双方の話し合いも持たれず一方的に悪者にされたのは納得がいかなかった。暗に退学を勧められ、学校に守ってもらえなかった」と嘆いていました。

合格だけをゴールにした結果、入学後無気力に

このように学校から退学を迫られるのは特殊なケースと思われるかもしれませんが、保護者の期待に応えて受験勉強をしたけれど、入学後やる気を失い、勉強を全くしなくなって完全に置いてきぼりになり、学校そのものが面白くなくなって、休みがちになり、公立中学や別の私立中学校への転校というケースもままあります。

本人の意思がさほどないまま受験をし、結果的に親が考えた第1志望校には不合格。第2志望の学校に入学したものの、結局そこが合わずに退学したAさんのケースをみてみましょう。

母親は、次のように振り返っています。

「娘は、そもそも、「別に受験しなくていいんだけど」というテンションのまま、父親の強い希望で始めた中学受験でした。父親の意向で、自宅から遠い大手塾の特進クラスに小4から通い始めたものの、途中で通塾がしんどくなり、小6になってから本人の希望で、自宅近くの一般クラスに移籍。

結果的にはそちらの教室の方が合っていたので、なんとか最後まで通塾はしたものの、入試直前に無気力になってしまいました。それでも、第2志望、第3志望にしていた学校に合格をいただいたので、第2志望校に入学しました。

しかし、日々の電車通学や管理型の学校生活になじめず、毎日出される課題もこなせず、結局中2の途中で公立中学へ転校しました。この結果は、「どうしても中高一貫校に通いたい」という本人のモチベーションが高まらないまま受験したこと、行きたいと思った学校がなかったのにとりあえず偏差値で、学校を選んだこと、私自身も父親任せで、わが家の受験軸がなかったのが1番の原因だと思います。」


Aさんは、公立中学校にもなじめず、その後の検査で自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があることが分かり、自分のペースで通学できる通信制高校への進学を決めました。その高校には、偏差値が高い私学からの転校生も多数いるそうです。

この3つのケースは、結果的にそれぞれにあった進路に進めたから良かったものの、中にはそのまま家に引きこもってしまうこともあります。せっかく大変な思いをして中学受験を突破したのに、そんなことになったら残念ですよね。

とりあえずで始めると沼にハマる

このようなことが起きがちな理由の1つは、中学受験の構造にあります。それは中学受験が「レールを敷くのは親、走るのは子ども」という二重構造になっているからです。

ある調査によると、最初に中学受験をしようと考えた人は、私立・国立では「母」が52.8%で最も多く、「子ども本人」は23.4%、「父」は20.7%だそうです。公立中高一貫校でも受験を最初に考えた人は「母」が42.2%で最多。次に多いのが「子ども本人」で40.5%だそうです。

しかし、多くの人が、何のために中学受験をさせるのかを深掘りせず、「とりあえず」で始めると、受験システムに飲み込まれ、少しでも成績を上げようと必死になってしまいがちです。

現在の中学受験のテキストはかなり難しく、子どもに負担をかけることになります。それでも、多くの子どもは無意識に親の期待に応えようと頑張ります。その挙げ句、「これだけの時間とお金をかけたのにこんな結果」と言われたら、子どもはどんな気持ちになるでしょうか。

やりようによって、受験は子どもの育ちの機会になる

筆者は、これまで20年以上中学受験の世界を見てきました。最初は受験生の親として、その後は教育ジャーナリストという立場で塾や学校を訪れ、校長先生や塾の有名講師への取材を行っています。

また、模試会場での講演会などを通して、2万人以上の受験生の保護者に会い、話を伺ってきました。その中で感じるのは、「この道」は1度ハマったらなかなか抜け出せない沼のようだということ。

しかしやりようによっては、目標に向かって努力する経験は、子どもの育ちの機会になります。泥沼にハマらず、育ちの機会にするためには、中学校でどんなことをしたいのか、なんのために受験をするのかを子どもと一緒に考えることが大切です。

それを私は受験軸と名付けました。これは高校受験でも大学受験でも同じです。やるのは本人です。保護者はそのことを忘れないようにしなければなりません。

せっかくやるなら、子どもの育ちの機会にしませんか?

この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。(文:中曽根 陽子)

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