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犯罪行為にまで発展…推し活で「同担拒否」は当然なのか?「嫉妬や憎悪が渦巻く場所」との声も

オールアバウト / 2024年10月6日 22時5分

犯罪行為にまで発展…推し活で「同担拒否」は当然なのか?「嫉妬や憎悪が渦巻く場所」との声も

アニメソングの野外フェスで、殺人未遂事件が起こった。同じ対象を応援する他のファンと交流を持ちたくないという「同担拒否(どうたんきょひ)」の者同士でのトラブルだ。推し活の方針は人それぞれだろうが、犯罪まで犯してすることだろうか?

9月22日、アニメソングの野外フェスで殺人未遂事件が起こった。容疑者の男は、アニメの声優をめぐって他のファンとトラブルを起こしており、それを恨みに思って折りたたみ式の刃物を持ってやってきたらしいが、これが「人違いで刺した」可能性があるという。

事件を巡り、SNSでは「同担拒否」が話題に

この事件を巡り、SNSなどには「同担拒否(どうたんきょひ)」という言葉が踊った。これは、同じ対象を応援する他のファン(愛好家、同担)と交流を持ちたくないという姿勢を指す。

逆に同じ対象を応援する他のファンと積極的に交流しようとする姿勢は「同担歓迎(どうたんかんげい)」というそうだ。いずれも元はアイドルグループのファンの間で使われていた言葉らしい。

大好きな対象を応援したり追っかけたりするのも、いろいろな立場をとる人がいる。だからといって嫉妬や憎悪を「犯罪」という形でしか表せないのは、対象にも迷惑な話である。

追っかけの闇は深い

「私もあるアイドルを追いかけていますが、なかなか闇が深いですよ」

そう言うのはユイコさん(39歳)だ。20代のころ結婚と離婚を経験、それ以来、ひとりで仕事をしながら追っかけを続けること早10年たつという。

「私は同担歓迎の立場ですが、拒否している人の気持ちもわからなくはない。追っかけしている人の中には、そのアイドルの車を特定、駐車場で張っていたり、同じホテルに泊まろうとしたり……。同担拒否の方が、自分だけ抜けがけしやすいのかもしれない。

でも同じ推しがいる人同士で、帰りにお茶したりグッズの交換をしたりと交流が深まると、推しを離れたところでも友達でいられる。同担歓迎派の方が人生は楽しくなるんじゃないかなと思いますね」

ファン同士で些細な諍い(いさかい)が頻発

現実のアイドルでも二次元でもいいが、「特別に好きな物事や人」がいて夢中になって追いかけることができるのは、ある意味で幸せなことだ。仕事や家庭で嫌なことがあっても、「推し」に会えばすべてが氷解し、また現実世界でがんばろうと思える。ファン同士の交流があればなお、互いに承認欲求も得られる。

そうやって生活に「推し活」を取り入れていけるなら、ユイコさんが言うように人生はより豊かに楽しくなるだろう。

「今回の事件も、うわ、ありそうと思いました。ファン同士で些細な諍いがよくあるんです。自分の方が先に来て場所をとっていたのに後から来た人に奪われたとか、グッズ売り場で一悶着あるとか、たまたま公式の場以外で推しに会ってツーショットを撮ってもらった人への嫉妬とか……。

誰もが推しに、より多く会いたいし、そこで『自分が一番のファンなんだ』と思ってもらいたい気持ちもある。そういう気持ちが強まると、他者への嫉妬が恨みに変わっていくのかもしれません。推し活は、純粋な気持ちが行き交う場でもあり、嫉妬や憎悪が渦巻く場所でもあるような気がします」

人が集まるところ、十人十色だから、いろいろな思いが交錯するようだ。

「同担拒否」の立場として

「私は同担拒否してます。ファン同士で話しても、偽の情報が出回ったり相手を出し抜くために情報を混乱させようとしたりする人がいるから」

ひとりで某アイドルを追いかけているカヨさん(40歳)はそう言う。若くして高校時代の同級生と結婚、一人息子はすでに20歳になる。彼が高校生のころからカヨさんは、推し活にいそしむようになった。

「もともと夫が居職なので、私は夜、近所のスナックを手伝っていたんです。8年前にそのスナックのママが病に倒れて、私に店を継いでくれないかという話があって。結局、話し合って店を買い取って商売を続けています。家のことはほとんど夫がやってくれてる。

そんなときに推し活をするようになって、店が終わって仮眠をとってから出かけたり、週末は推しを追いかけて地方へ行ったり。夫も息子も『それで楽しいならどうぞ』という感じですね。最初は遠慮しながらだったんだけど、今では『週末は大阪に行ってきまーす』とこちらもオープンに話しています」

仕事と推し活が多忙で疲労のあまり倒れたこともあるカヨさん。そのときばかりは夫と息子に怒られたと舌を出した。

「本当は、推しについて語り合える人がほしいと思うこともあるんです。何人かと接点をもったこともあるけど、あまりいい思いをしなかった。

いつも見かける他のファンのことを悪く言ったりする人も多くて。疲れてしまうので、今は顔見知りとあいさつする程度の関係にとどめています。目的は推しなので、それ以外で労力を使いたくない」

単独の推し活は「妙な目で見られる」ことも

単独で行動していると、同担歓迎派から妙な目で見られることもある。だが、ファン同士の諍いに巻き込まれるのも嫌だと彼女は言う。

「以前、イベントで推しが不当に軽く扱われたことがあったんです。少なくともファンの目からはそう見えた。そのとき、同担歓迎派のグループがこぞって主催者に文句を言いに言ったんですよ。それを客観的に、なんだか見苦しいなと思ってしまった。あの輪には入りたくない、と。

だからそれ以来、私は単独で動くようになった。同担拒否という強い言葉より、むしろ単独派なんですけどね」

自分が一番、というタイプの同担拒否ではないとカヨさんは言う。淡々と粛々と一人で推しを応援しているだけだ、と。

同担歓迎でも同担拒否でも、その人なりの「ファンとしての」プライドはあるはず。問題を起こせば、一番大事な推しに迷惑がかかる。その一点さえ守っていれば、立場はどちらでもかまわないはずだ。嫉妬や憎悪は無用、推し活は純粋に楽しむだけでいい。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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