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「親が非常識!」 手足口病の子を登園させるのは、迷惑でしょうか?【小児科医が解説】

オールアバウト / 2024年10月14日 20時45分

「親が非常識!」 手足口病の子を登園させるのは、迷惑でしょうか?【小児科医が解説】

【小児科医が解説】手足口病には、登園停止・登校停止の期間は定められていません。保育園や幼稚園、小学校はいつまで休ませるべきか、登園・登校させてよい基準・目安、周りに感染させる心配はないのか、わかりやすく解説します。

Q. 手足口病の子を登園させるのは「非常識で迷惑」なのでしょうか?

Q. 「保育園で手足口病が流行り、子どももかかってしまいました。熱などの症状はすっかり治まって本人も元気なのですが、まだ手や足にブツブツがあります。

保育園の先生には、登園禁止にはならないと言われたのですが、他の保護者が『手足口病なのに登園させるなんて、非常識で迷惑だ』と話しているのを聞いてしまい、不安になりました。登園させてもうつす心配はないでしょうか?」

A. 感染しても無症状の子もいるため、長期間の隔離は意味がありません。重要なのは適切な対策です

手足口病は2歳以下の子どもに多く、4歳ぐらいになると、ほとんどの子が一度はかかったことがあるような病気です。そして保育園の先生が言われている通り、手足口病になっても登園・登校停止は定められていません。

周りの子にうつしてしまうことを心配されているようですが、実は手足口病は、長期間にわたってウイルスを排出する病気でもあります。それなのになぜ、登園停止にならないのかというと、

・回復して元気な子を数週間にわたって隔離し続けるのは現実的ではないこと
・感染後に無症状のケースも珍しくなく、症状が出た子だけを隔離し続けても感染対策として意味がないこと

の2つが理由として挙げられます。

手足口病がもっとも感染しやすい時期は、症状が出てから1週間ですが、回復後も長い場合は数週間にわたり、特に便中にウイルスを排出し続けます。加えて、実は感染していてウイルスを排出している状態なのに、「本人は無症状」というケースもあります。

湿疹を含む症状の有無にかかわらず、集団生活ではどうしても感染が広がる可能性があるということです。湿疹が出ている人だけを登園禁止にしても、手足口病の感染拡大を防ぐことはできません。

集団生活の場で感染拡大を防ぐためには、手足口病の診断を受けた子が出た時点で、数週間、施設を閉鎖しかなくなります。すでに免疫のある子もいる中で、それが現実でないことはお分かりいただけると思います。

結局のところ、子どもの集団生活の場においては、手足口病の症状の有無に関わらず、トイレの後の手洗いなどをしっかり行うことが重要ということです。

どうしても手足の赤いブツブツが目立つため、「発疹に触れると感染する」と思われるかもしれませんが、実際には主な感染経路は飛沫感染や便を介して感染です。発疹から感染することはゼロではありませんが、少ないと考えられています。このあたりは正しい知識を持っていただくことが大切です。

厚生労働省のガイドラインによると、手足口病が感染しやすい期間は「手足や口腔内に水疱(ほう)・潰瘍(かいよう)が発症した数日間」であり、登園の目安は「発熱や口腔内の水疱(ほう)・潰瘍(かいよう)の影響がなく、普段の食事がとれること」とされています。

・解熱から1日以上経っていて、再度発熱していないこと
・普段通りの食事ができていること

の2点を目安にし、あとはお子さん本人の状態を見て、適切に判断しましょう。手足口病は、風邪と同様、誰もが一度はかかる病気です。感染症をゼロにする集団生活は残念ながら現在の医療では不可能です。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
(文:清益 功浩(医師))

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