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65歳、月収は交通費を入れて、およそ45万円。老齢厚生年金が支給停止となりました。年金がカットされない収入は?

オールアバウト / 2024年10月24日 21時20分

65歳、月収は交通費を入れて、およそ45万円。老齢厚生年金が支給停止となりました。年金がカットされない収入は?

年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人も……。今回は、月収約45万円で老齢厚生年金が支給停止となった65歳の方からの質問に、専門家が回答します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、月収約45万円で老齢厚生年金が支給停止となった65歳の方からの質問です。

Q:65歳、交通費込みの月収約45万円で老齢厚生年金が支給停止に。年金がカットされない収入は?

「65歳、月収は交通費を入れて、およそ45万円。老齢厚生年金が支給停止となりました。年金がカットされない収入は?」(65歳・会社員)

A:給与等と老齢厚生年金の基本月額の合計が50万円を超えない収入だと、老齢厚生年金はカットされません

60歳以上の人が、厚生年金に加入しながら働いて収入を得て、かつ老齢厚生年金(もしくは特別支給の老齢厚生年金)をもらうと、老齢厚生年金の基本月額(年額の老齢厚生年金(もしくは特別支給の老齢厚生年金)を12で割ったもの)と、総報酬月額相当額(※)の合計に応じて、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。これを在職老齢年金といいます。

※総報酬月額相当額とは、毎月の賃金・交通費など(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額

相談者の年金が支給停止にされた理由は、この在職老齢年金制度によるものです。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円(令和6年度)を超えると、毎月の老齢厚生年金額が減額されることがあります。

カットされる年金額は、次のように計算することができます。

(1)基本月額+総報酬月額相当額≦50万円
全額支給

(2)基本月額+総報酬月額相当額>50万円
支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-50万円)×1/2×12

相談者の月収は交通費を入れておよそ45万円とのことですので、総報酬月額相当額を45万円だとします。例えば、相談者の老齢厚生年金額が120万円(基本月額10万円)とした場合、在職老齢年金制度による支給停止額は次のように計算できます。

・基本月額10万円+総報酬月額相当額45万円=55万円

よって支給停止の基準額(50万円)を超えますので、(2)に該当します。

■在職老齢年金による調整後の1年間の支給停止額の計算式
・支給停止額=(45万円+10万円-50万円)×1/2×12=30万円(月額2万5000円)
・支給される老齢厚生年金額=120万円-30万円=90万円(月額7万5000円)

したがって、年額30万円(月額2万円5000円)分の老齢厚生年金が支給停止となり、支給される老齢厚生年金は年額90万円(月額7万5000円)となります。

65歳になると、本来支給の老齢厚生年金に加えて、老齢基礎年金を受け取ることができますが、老齢基礎年金は在職老齢年金の支給停止の対象ではありません。つまり、老齢厚生年金のみが支給停止の対象になります。

相談者の年金が全くカットされないようにするには給与等と老齢厚生年金の基本月額の合計が50万円を超えない収入に調整する必要があります。給与が高くなると老齢厚生年金が減額されますが、将来受け取る老齢厚生年金は増えることになります。働き続けるメリットは大きいと思います。慎重に考えてみましょう。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)

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