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妻からのDVに疲れた僕…妻は言う「能力低いの?」「そのまま心臓が止まっちゃえばいいのに」と

オールアバウト / 2024年10月26日 22時5分

妻からのDVに疲れた僕…妻は言う「能力低いの?」「そのまま心臓が止まっちゃえばいいのに」と

世間では「夫から妻へのDV」ばかりが取り上げられるが、もちろん妻からのDVもあり、その件数は増加傾向にある。言葉の暴力ばかりではなく、暴力を振るう妻たちもいるのだ。そしてその暴力は、夫だけでなく子どもに向けられることも……。

子どもを育てながらの共働きは夫婦それぞれに大きな負担がある。夫婦とも実家が遠く、親戚もいないとなれば、助けてくれる人を探すのも大変。自治体の援助も簡単には受けられない。「地域ママ」などの制度はあるが、来てくれた人との相性が悪く、続けられないケースもある。

夫たちも頑張っているのだが、妻との価値観のズレばかり感じて、「いっそすべて振り捨てたい」と思う男性も出てきている。

「うちの妻の沸点」が低すぎる

「うちの妻、とにかく沸点が低すぎるんですよ。それに反して声は高い(笑)。だからすぐに甲高い声で僕を怒鳴りつけるわけです」

そう言って苦笑するのは、アキフミさん(40歳)だ。共働きの妻との間に、6歳と4歳の子がいる。パワーカップルというほどの収入はない。夫婦で必死に働きながら、「なんとか生活している」のだという。

「妻はルールが大好きで、そこに縛られるタイプ。今週は妻が食事当番だったら、僕は後片付け、妻が子どもをお風呂に入れるなら僕は寝かしつけ。洗濯や掃除も当番制です。とにかく公平にしないと怒る。それは分かるんですが、僕はシフト制の仕事。夜勤もあります。僕が夜勤のときは、翌日、洗濯掃除が待っている。

仮眠をとるべき時間に家事をしなければいけない。でもサボると『あなたはどうして二人で決めたルールを守らないの』と叱責される。二人で決めたルールじゃない、妻が決めたルールです」

夜勤があるときは別のシステムでと訴えたが却下された。「だったら夜勤なしで今の収入が確保できるところを探して転職してよ」と言われた。それは無理だ。

「公平にと言っているわりには、仕事の多忙さや重責度が加味されていない。それは不公平だと伝えたけど、家事における公平性はとれていると。それ以上言うと、また甲高い声が飛んできそうだったので黙りました」

「そのまま心臓が止まっちゃえばいいのに」

それでもどうしてもできないこともあるし、家事をせずに倒れ込んで寝てしまったこともある。そのたび妻は彼を叱りつける。

「ねえ、子どもじゃないんだから、どうして決めたことができないの? あなたは家族の一員じゃないの? 私たちを困らせたいの? 能力低いの? 矢継ぎ早にバーッと言葉が飛んでくる。矢のように刺さるわけですよ。

母親がそうだから、子どもたちまで僕に『パパは子どもじゃないんでしょ』『能力低いの?』って。どこまでわかって言っているのか定かではないけど、さすがにむかつきます。子どもの前では言わないでほしいと頼んでも、妻はカッとすると見境がつかなくなる」

もう疲れた。ふっとそうつぶやいたことがある。それが妻の逆鱗に触れた。あなたごときの家事貢献で、何が疲れたよ、私と代わってよと怒鳴りつけられた。

「とにかく怒鳴るのだけはやめてほしい。そのたびに心臓が縮むと言ったら、『そのまま心臓が止まっちゃえばいいのに』と言われました。もう妻との関係を続けていくのは難しいかもしれません」

アキフミさんはやつれた顔をさらに曇らせた。

妻から夫への暴力が増えている

「令和5年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」という警察庁発表の統計資料によると、2019年に1万8000件弱だった妻から夫へのDV件数は、4年後の23年には約2万4000件超にまで増えている。

「うちもそうでした。モラハラも度を超えていた。『あんた、バカなの?』『信じられない。どういう育ちをしたらそういう思考になるの』と完全に侮辱するような言葉を浴びせられ、フライパンで殴られたこともあります」

タカシさん(42歳)はそう振り返る。妻は結婚前から気の強い女性ではあったが、子どもを産んで仕事をやめてから、その気の強さが妙な方向へねじ曲がっていった。自分が「こんなくだらない生活をしているのは、すべて夫が無能だからだ」と言い始めたのだ。

「すべて夫が無能だから」という主張

このままだと娘にまで暴力が及ぶ。そう思ったタカシさんは4年前に、当時3歳だった子どもを連れて逃げた。離婚をもちかけたが、妻は「今さら離婚なんてできない」と言う。彼は調停を申し立てたが合意できず、ついには裁判になった。

「その過程で、妻が娘に会いたいと言い、第三者立ち会いのもとで会わせたものの、娘が大泣きして……。妻は娘にもおそらくすでに暴力を加えていたんでしょう。気づかなくて申し訳ないことをしたと思っています」

コロナ禍でなかなか進まなかった裁判は、昨年、ようやく決着した。もちろん、彼が親権をもち、娘と安心して暮らせるようになった。

「裁判の過程で、妻自身がDV家庭に育ったことが分かりました。結婚する時、いっさいそんなことは言わなかった。知っていれば対処のしようもあったかもしれない」

相談しづらいが……妻からのDVも重い罪

彼は娘のために職場も働き方も変えた。出社は週に3回、それも定時で引き上げる。あとの日はリモートで、そして家でできる副業も始めた。

「週末は、娘が夢中になっているダンスのレッスンに付き合ったり、二人で遊園地に行ったりしています。ただ、時々娘がうなされていることがある。怖い夢を見ているのかと思うとふびんで。母親のことは一言も洩らしません。

それがかえって傷の深さを物語っているような気もするんです。カウンセリングにかかった方がいいかどうか考えているところです」

DVは子どもの心に大きな傷を残す。もちろん、タカシさんにも後悔と禍根がある。夫からのDV同様、妻からのDVも重い罪だ。だが男性はいまだに「妻からのDVがあって」と相談しづらいようだ。自身のためにも子どものためにも、しかるべきところに相談した方がいい。

<参考>
・「令和5年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」(警察庁)
・「DV相談窓口」(男女共同参画局)

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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