なぜ「シウマイ」? 横浜市民も知らない、崎陽軒「シウマイ」11の謎に迫る!
オールアバウト / 2024年10月31日 21時15分
横浜名物の 崎陽軒「シウマイ」。どうして「シウマイ」という名前なのか、なぜ横浜名物になったのか、冷めていてもおいしい理由とは……? 「シウマイ」の11の謎に迫ります。
横浜の名物といえば崎陽軒の「シウマイ」。どうしてシュウマイではなく「シウマイ」なのか、ご存じでしょうか。横浜市民も知らない、「シウマイ」の11の謎を解明します!
シウマイの謎<1>崎陽軒の「崎陽」ってどういう意味?
シウマイの謎を解く前に、「崎陽軒(きようけん)」という社名の由来から解いていきましょう。「崎陽」とは「長崎県」の別名で、“日が昇る岬”という意味があります。
創業者の1人である久保久行氏は、当時の横浜駅(現桜木町駅)の第4代駅長で、妻・コト(旧姓・野並)の名義で横浜駅構内での営業許可を受けました。久保久行氏が長崎県出身だったことから、出身地にちなんだ縁起のよい社名として「崎陽軒」と命名。
1908年、横浜駅で牛乳やサイダーなどの飲み物、餅、すしなどを販売する売店として創業しました。
シウマイの謎<2>シュウマイではなく、なぜ「シウマイ」?
崎陽軒のシウマイが発売されたのは、1928年のこと。昭和初期の横浜には「名物」といえるものがなく、崎陽軒の初代社長となった野並茂吉氏が、南京町(現在の横浜中華街)で突き出しとして提供されていたシュウマイに注目。点心職人の呉遇孫さんをスカウトし、冷めてもおいしいシュウマイを開発したのがはじまりです。
野並茂吉氏は栃木県出身で、独特の訛(なま)りでシュウマイのことを「シーマイ」と言っていたそう。その発音が、中国の「焼売」の発音によく似ているね、と呉さんに言われ、「シウマイ」という表記が採用されました。というわけで、「崎陽軒といえばシウマイ」なのです。
シウマイの謎<3>冷めていてもおいしいのはなぜ?
お店の突き出しとして提供されていたシュウマイは「蒸したて」でおいしいのですが、冷めるとどうしても味が落ちてしまいます。呉さんは試行錯誤し、豚肉と干帆立貝柱を混ぜ合わせることで、冷めてもおいしい「シウマイ」を完成させました。
このシウマイの材料は、1928年の発売以来、変えていないとのこと。シウマイの原料は豚肉、たまねぎ、干帆立貝柱、グリーンピース、砂糖、塩、コショウ、でんぷん、皮に使われる小麦粉の全9種類のみ。化学調味料や保存料なども使われていません。
シンプルな材料だからこそ、「また食べたい」と思わせてくれるのでしょう。
シウマイの謎<4>グリーンピースが入ったり入っていなかったりするのはなぜ?
シュウマイといえば、てっぺんにグリーンピースがちょこんと乗っているのが一般的ですが、崎陽軒のシウマイは、グリーンピースをあんに混ぜ込んであります。そのため、グリーンピースが入っていたり、入っていなかったり、複数入っていたりと個体差が出るというわけです。
シウマイの謎<5>シウマイについてくる「ひょうちゃん」って何者?
「ひょうちゃん」とは、ひょうたん型をした磁器製のしょうゆ入れのこと。「昔ながらのシウマイ」(15個入、30個入)と「特製シウマイ」(6個入、12個入、22個入)に入っています。※ただし、羽田空港売店で販売されている製品はプラスチック製
もともとは、無地のひょうたん形のしょうゆ入れでした。そこに漫画家の横山隆一先生が「目鼻を描いてあげよう」と、「いろは48文字」にちなんで1955年に48種類のひょうちゃんが誕生しました。「ひょうちゃん」という名前も横山先生が付けたそうです。
1988年、崎陽軒創業80周年を記念し、「オサムグッズ」のイラストレーター・原田治さんによって、2代目ひょうちゃんが誕生。かわいらしい表情が特徴です。
現在は、2003年に横浜工場がリニューアルオープンしたことを機に、再び横山隆一さんの初代ひょうちゃん絵柄が復活。3代目のひょうちゃんとなっています。
このほか、期間限定や企業などとコラボレーションしたひょうちゃんも多数。これまでに登場したひょうちゃんは、800種類以上もあるそうです。代表的なデザインは公式Webサイト「ひょうちゃん」のコーナーをご覧ください。
シウマイの謎<6>「真空パック」という言葉を使ったのは崎陽軒が日本初!
今でこそ一般名称として使われている「真空パック」という言葉ですが、実は崎陽軒が独自に発案したもの。常温では消費期限が17時間のシウマイですが、「地方へのお土産にしたい」という要望をかなえるため、崎陽軒は1967年に「真空パックシウマイ」を開発しました。
「真空パックシウマイ」は、製造から約5カ月間、常温での保存が可能となっています。
崎陽軒には「常温」「真空パック」のほかに、冷蔵保存の「おいしさ長もち」シリーズもあります。すぐ食べたい場合は「常温」、贈り物など常温で長く保存した場合は「真空パック」、冷蔵庫で製造日から15日間保存できる「おいしさ長もち」と、シーンに応じて選べます。
シウマイの謎<7>工場見学で食べられる「できたてシウマイ」はどんな味?
崎陽軒横浜工場(都筑区)では、2003年から安全・安心な「シウマイ」の製造工程が見られる工場見学が行われています。2024年10月現在は、毎週火・水・金・土曜の1日4回実施され、希望日の3カ月前から公式Webサイトで予約受け付けが開始されます。3カ月先まで予約でいっぱいという大人気の工場見学です。
工場見学のお楽しみの一つが、できたてのシウマイの試食。できたてシウマイはあたたかい状態なので、帆立の風味がより感じられ、いつも食べている「シウマイ」とはまた違うおいしさです。
この「できたてシウマイ」、工場見学しなくても食べられるんです。崎陽軒横浜工場1階には「プチミュージアムショップ」があり、「工場できたてアツアツメニュー」が食べられます。ぜひ一度、食べてみてください。
シウマイの謎<8>「おうちでジャンボシウマイ mini」ジャンボなの? miniなの?
横浜駅東口の崎陽軒本店には結婚式の披露宴などができる会場があり、横浜らしい、思い出に残る演出として人気なのが、「ジャンボシウマイ」への入刀です。
この「ジャンボシウマイ」をおうちでも楽しめるように誕生したのが「おうちでジャンボシウマイ mini」。つまりジャンボシウマイをminiサイズにした「大きなシウマイ」です(笑)。
大きなシウマイをカットすると、中から昔ながらのシウマイ22個があふれ出します。2021年の発売当初は予約が殺到し、入手まで1カ月以上かかったこともありました。しかし現在は、通販(冷凍タイプ)と一部直営店舗での予約受け渡しが可能な冷蔵タイプが用意されており、入手しやすくなっています。
シウマイの謎<9>「特製シウマイ」と「昔ながらのシウマイ」の違いとは?
昔ながらのシウマイよりも大粒の「特製シウマイ」。粗びきの干帆立貝柱と豚肉のうまみが詰まった、濃厚・ジューシーな味わいが特徴です。「特別な日」に食べたい、ちょっぴりぜいたくなシウマイです。
シウマイの謎<10>え? 崎陽軒のシウマイが食べ放題ってホント!?
崎陽軒の「昔ながらのシウマイ」が好きなだけ食べられる、夢のようなレストランがあるのをご存じでしょうか。それは横浜駅東口の「崎陽軒本店ビアレストラン亜利巴″巴″(アリババ)」。ランチバイキングで崎陽軒のシウマイが食べ放題になります。
シウマイのほかには、点心や中華料理、洋食、カレー、パスタ、サラダ、デザート、ソフトドリンクがバイキング形式(90分制)で楽しめます。人気のバイキングなので行列必至ですが、シウマイの食べ放題、ぜひチャレンジしてみてください。
シウマイの謎<11>横浜赤レンガ倉庫だけで食べられる「赤いシウマイ」知ってる?
横浜赤レンガ倉庫2号館1階のフードコート内にある「崎陽軒 赤レンガ倉庫店」では、ここだけで食べられる「赤レンガシウマイ」があります。
赤レンガにちなみ、3つの赤<カニ・赤米・パプリカ>を使用したレンガ色の「赤いシウマイ」。昔ながらのシウマイよりも一回り大きいサイズで、カニの風味が感じられる、もちもち食感のシウマイです。横浜赤レンガ倉庫を訪れた際に、味わってみてください。
崎陽軒のシウマイにまつわるいろいろな謎を解き明かしてみました。「シウマイ」が食べたくなったことと思います!
(文:田辺 紫(横浜ガイド))
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