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「使っていないのに突然発火」した例も…モバイルバッテリーの発火を防ぐために気を付けたい3つのこと

オールアバウト / 2024年10月31日 21時50分

「使っていないのに突然発火」した例も…モバイルバッテリーの発火を防ぐために気を付けたい3つのこと

近年、モバイルバッテリーが電車内などで突然発火してしまう事故が増えています。一体なぜ、モバイルバッテリーが突然発火してしまうのでしょうか。また、発火を防ぐにはどのような点に注意すべきなのでしょうか。(サムネイル画像:Vitalii Stock / Shutterstock.com)

スマートフォンを頻繁に利用しているなら持っている人も多いであろう、モバイルバッテリー。コンパクトでどこにでも持ち運ぶことができ、場所を選ばずにスマートフォンを充電できることから、非常に高い人気を博しています。

最近ではスマートフォンやタブレットだけでなく、パソコンやデジタルカメラなどさまざまな機器の充電に対応できるものも増えており、一層人気が高まっている印象です。その一方で、モバイルバッテリーから出火する事故も増えているようです。

実際、2024年2月にはJR山手線の車内で、5月には都営地下鉄三田線の車内でモバイルバッテリーから出火する事故があったほか、首都圏以外でもモバイルバッテリーから出火したとみられる火災が発生しています。

しかもこうした事例のうちのいくつかは、モバイルバッテリーをかばんに入れているだけ、つまり「使っていない状態」だったにもかかわらず起きてしまったようです。一体なぜ、使っていないモバイルバッテリーが突然発火してしまうのでしょうか。
東京消防庁の報道発表資料より。モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を搭載した製品からの出火による火災は令和5年(2023年)で167件、令和6年(2024年)は6月末時点で既に107件発生しているという

なぜモバイルバッテリーは発火する?

前提として、モバイルバッテリー、ひいてはその“バッテリー”に用いられている「リチウムイオン」電池が、非常に大きなエネルギーを蓄えられる一方で、燃えやすい素材を使用していることは知っておく必要があるでしょう。

そのような素材を安心して利用できるのは、燃えないよう安全に利用できる仕組みが何重にも整えられているからなのです。

したがって通常の使い方をしている限り、モバイルバッテリーが発火する可能性は極めて低いのですが、何らかの原因で安全を守る仕組みに異常が起きてしまうと、たちまち発火してしまいます。

例えば次のようなケースは日常生活の中でも十分起き得るものですが、モバイルバッテリーの安全を維持できなくなるおそれがあります。

・モバイルバッテリーを落としたことにより衝撃が加わり、内部が壊れてしまう
・水没させてしまい、内部が腐食してしまう
・真夏の自動車内に放置するなどして、本体を異常に熱くしてしまう

また、経年劣化によって何らかの異常が生じるケースもありますし、不良品、あるいは質の悪い製品を利用することで異常が発生し、発火するケースも時折見られます。

非常に身近なモバイルバッテリーではありますが、それだけ危険が生じやすいものであることは覚えておくべきでしょう。
独立行政法人国民生活センターの報道発表資料より。同センターのテストでは、モバイルバッテリーに異常が生じることで急激に熱が上昇、勢いよく発煙する様子が見られたという

モバイルバッテリーの発火を防ぐための注意点

モバイルバッテリーの発火を防ぐには、大きく3つの点に注意する必要があります。

注意点1. 使い方

先にも触れた通り、モバイルバッテリーに強い衝撃を加えたり、水没させたり、熱い場所に放置したりしないこと。モバイルバッテリーはコンパクトで手に持って使用することも少なくないので、とりわけ落下や水没などには注意しましょう。

注意点2. 劣化したモバイルバッテリーを使わない

経年劣化したバッテリーを使い続けるのも出火要因となりやすいので、定期的に買い替えることをおすすめします。

モバイルバッテリーは一般的に、100%まで充電した回数が300~500回程度に達すると寿命を迎えます。使い方によって幅はあるものの、年数でいうと1~2年くらいとされています。

「以前と比べ充電できる量が減ってきた」「充電時に熱を持つようになった」「本体が膨らむなどして形が変わってしまった」といった事象は劣化のサインです。利用をやめて処分し、新しいものに買い替えましょう。

注意点3. 購入先

現在では多種多様なメーカーがモバイルバッテリーを提供していますが、とりわけECサイトで販売されているものの中には品質が悪いものも存在します。そうしたモバイルバッテリーを購入して発火してしまった、という事例もあるようです。

それゆえモバイルバッテリーを購入する際には、国内でサポートしているメーカーの製品であること、電気用品安全法に基づいた製品であることを示す「PSEマーク」が付いていることなどを確認しましょう。
経済産業省のWebサイトより。PSEマークには2種類あるが、モバイルバッテリーに記載されているPSEマークは丸形のものとなる
加えて、将来モバイルバッテリーを処分することを考えるなら、一般社団法人JBRCに加盟しているメーカーのものを選ぶべきでしょう。JBRCはモバイルバッテリーなどのリサイクルを推進する団体で、加盟メーカーや回収協力店などの情報をWebサイト上で公開しています。
一般社団法人JBRCのWebサイトJBRCに加盟している企業は同Webサイトから確認できる

もし発火したらどのような行動を取るべきか

もちろん、これらの対策を取ってもモバイルバッテリーが発火する可能性はゼロではありませんし、電車内などで他人のモバイルバッテリーが発火する現場に遭遇する可能性も考えられます。

そのような場合、私たちはどのような行動を取るべきなのでしょうか。

東京消防庁の報道発表資料を見ると、万が一発火した場合は『電池から火花の飛び散っているときには近寄らず、火花が収まってから消火器や大量の水で消火するとともに119番通報してください』と記されています。

また鉄道各社のWebサイトなどを参照すると、電車内で火災が起きたときの一般的な対応は

・火災から身を守るべく、火元から離れた車両に移動すること
・非常通報装置で乗務員に知らせ、車内に設置された消火器で初期消火すること

となっています。

慌てずに避難と連絡、初期消火という火災発生時の基本対応に沿った行動を取ることが重要だといえそうです。

<参考>
・報道資料「リチウムイオン電池搭載製品からの出火が過去最多」(東京消防庁)
・報道資料「リチウムイオン電池及び充電器の使用に関する注意 」(独立行政法人国民生活センター)
・電気用品安全法(経済産業省)
・一般社団法人JBRC
(文:佐野 正弘( 携帯電話・スマートフォンガイド))

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