「料理しながら食器洗いが効率的」と夫→「料理に集中すべき」とキレる妻…モラハラですよね?
オールアバウト / 2024年11月6日 22時5分
夫が積極的に家事をしようにも、妻からいろいろ言われながらやるのはつらい。やり方が違うだけなのにできてないと言われる、はなからできないと馬鹿にされるなど、モラハラに近いケースもある。
夫の家事の手法に妻がうるさく口を出し、夫の家事意欲をそぐという話はよく聞く。家事をやってもらいたいなら、じっと見守るとかうるさく言わずにアドバイスするにとどめるなど、女性に向けてのいかにもな進言もある。
ただ夫側からすれば、これはもはや「モラハラ」ではないのかという声も聞こえてくる。
自分の“正義”を押しつけてくる妻
「あくまでも僕の場合ですけど、これでも家事はできるんです。一人暮らしが長かったから。ただ、妻とはやり方が違う。妻は自分のやり方を、これが正しいと押しつけるんですよ。例えば鍋や皿などの洗い物ですが、僕は料理をしながらその合間に使った鍋やフライパンをさっさと洗っていく。でも妻は『そんなのあとでいいから料理に集中して』というわけです。でも合間に洗い物をした方が効率的でしょ。そう言っても、料理は集中力が大事だと言い張る。冗談半分なのかと思って、根拠がないよと笑ったら『私のやり方を否定するのね』って。家事や料理なんて、やっている人が自分なりにやりやすい方法でやればいいだけのことでしょ」
僕に文句を言いたいだけなのではないかと、ヒロトさん(40歳)は苦笑いした。彼が結婚したのは3年前。8歳年下の妻との間に、2歳になる息子がいる。共働きのためヒロトさんもできることは率先してやっているつもりだが、妻からは「あなたが手を出すとかえって面倒なことになる」と家事を阻止されることもある。
「女だからバカにされる」ことに神経をとがらせる妻
「3年間、一緒に生活してきて分かったんですが、妻はものすごく虚勢を張っているんだと思います。結婚後、今まで通り仕事を続けるかどうかは妻の自由にすればいいと僕は思っていた。だけどそれを告げたら『男性は、結婚してから仕事を続けるかどうかなんて誰にも聞かれないのに、どうして女はそう聞かれるのかわからない』と本気で怒っていました。
そうか、それは申し訳ないと彼女には言ったんですが、確かにそうですよね。結婚が人生を変えるようなことになってはならない」
ところが妻は仕事を続けたいわけではなかったようだ。今の時代、そう言わないと女性はいつまでもバカにされるからと、あとでつぶやいていた。女だからバカにされる。そのことに妻は異常なくらい神経を張り巡らせていた。
「そうやって平等とか対等とかを前面に出すのに、なぜか家事は妻がやるものだと思い込みが激しい。僕が洗濯をしたら『私の下着をあなたに洗ってもらうなんて、絶対に嫌』って。別に洗濯機が洗うんだからかまわないじゃんと言ったんですが……」
一貫していないのはおかしいと指摘したこともあるが、妻は「そんなことはない」の一点張りだった。どちらかがつらい思いをしながら生活していくのはおかしい。家事もちゃんと分担しようと言ったのに妻は耳を貸さなかった。
「僕が料理をするようになったのはここ1年ほどですよ。ようやく妻が折れた感じ。でも相変わらず自分のほうがたくさんやろうとするし、僕のやり方にケチをつけるし。気にしないようにはしていますが、なんだか彼女の肩肘張った生き方が心配になります」
だが心配だといえば、それもまた「私を対等な存在だと思っていないのね」と反発されるのは目に見えている。だから今は刺激しないようにしていると彼は言った。
任せたのなら口をはさまないでほしい
ある日曜日、妻が体調を崩した父親のために実家に行って様子を見てくることになったので、トシヤさん(39歳)は、7歳と4歳の子どもたちの面倒をみることを快諾した。「ところが妻は1時間おきに電話をかけてくる。『洗濯やった?』『掃除は?』『トイレ用洗剤は1度にたくさん使わないで』と細かいことまで指示してくるんです。もういいよ、家事も適当にやっておくからと言うと『適当じゃ困るのよ』って。
たった1日のことですよ。そんなに任せられないわけ、とさすがに僕も苛立ちました。すると『だってあなた、いつだってきちんとできたことがないじゃない』と鼻で笑う雰囲気が伝わってきたんです」
オレをバカにして楽しい? トシヤさんは思わずそう言った。すると妻は「冗談よ。まったくもう、すぐ本気にして怒るんだから。付き合いづらい」と電話を切った。これ、バカにしてますよねとトシヤさんが同意を求めてくる。言い方にもよるが、確かに楽しい会話ではないと言うしかない。
夫だって妻からモラハラされている!
「男が妻にそういう言い方をしたら、女性は絶対モラハラだと言いますよね。でも夫だって妻からモラハラされているんだと思うんです」トシヤさんは力を込めた。もちろん、モラハラされているからといって何かが変わるわけじゃないけど、妻側はあまりにもそのことに気づいていないし、気づこうともしていない。自分だってパートナーを傷つけているということに。
「人に任せておきながら、細々と口を挟んで、僕のやり方を否定する。家事育児に関しては、完全に上から目線でものを言う。夫は劣っているものだと決めてかかっている。こういう状況を何とかしたいんですが、何か言えば『どうしてあなたはいつもそう偉そうなの』と言われてしまう。
偉そうなのはどっちだよと心の中でツッコむんですが、本当に険悪な雰囲気になるのは嫌なので我慢する。僕の結婚生活はずっとそうなんです」
何をもって平等なのか対等なのかを議論するより、日常生活ではふたりともなるべく楽になれるようにどうやって家事を手抜きするかを話したほうが円満な関係につながるのではないか。トシヤさんはそんなふうに話してくれた。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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