なぜ今、海外で「日本文化」が愛されるのか。インテリア業界などで「ジャパンディ」が流行している理由
オールアバウト / 2024年11月7日 20時15分
先日「ジャパンディ(Japandi)」という耳慣れない言葉を耳にしました。聞き返したところ「日本人なのに知らないの!」と驚かれ……。どうやら日本人の知らないところで日本がはやっているようです。気になる「ジャパンディ」についてひも解きます。
SNSを見ていると、ヨーロッパの家のインテリアは日本では見られない雰囲気の物が多く、一目で、外国っぽいという印象を受けます。天井の高さや窓の形、飾ってある植物、テーブルセットまで日本とは違う物が多く、思わず憧れてしまうような物がたくさん。時間を忘れて見入ってしまいます。
ところが日本人が欧米のインテリアに憧れることがあるように、欧米の人々は日本のインテリアに憧れている節があるようです。先日アメリカ人の友人と話していた時、
「うちはJapandiでインテリアをそろえているからさ〜」
という発言があり、
「Japandiってなに?」
「えー!!日本人なのに知らないの!」
と驚かれるという一幕がありました。
海外で大流行中の日本風インテリアスタイル「ジャパンディ(Japandi)」。Instagramのハッシュタグ「#japandi」はなんと66万5000件もある人気っぷりです(本記事執筆時点)。灯台下暗し、ということで今回「ジャパンディ」を紹介していきたいと思います。
「ジャパンディ」とは?
聞き慣れない「ジャパンディ」という言葉ですが、「Japanese(日本の)」と「Scandinavian(北欧の)」を合体させてできた造語です。日本の伝統的な家屋と、北欧の家具などのインテリアを融合させたスタイルがその特徴になっています。全体的にミニマリズムで、自然採光重視、優しい色合いの仕上がりが多い印象です。はっきり日本のモチーフが認められる物から、日本要素が薄い物まで、グラデーションがあります。日本でいうところの「和モダン」に近いと思われる雰囲気の物も含まれています。
日本とヨーロッパの家具の共通点
東洋と西洋のインテリアスタイルの融合を表現した「ジャパンディ」。両者はまったく別物のように感じられるかもしれませんが、実は日本とスカンジナビア(デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国)のインテリアには共通点も多いのだとか。例えば、どちらも自然の要素を重視します。日本の伝統的な和室の畳や障子、壁、天井の仕上げなどには天然素材が活用され、床の間には季節の花を飾ることも多いです。縁側は、外との間口が大きく開かれ、周囲の自然を取り込める構造になっています。
一方の北欧でも古くから天然素材、特に明るい木材や質のよいリネンなどが重視されてきました。また冬の日照時間が短いため、可能な限り採光する工夫が行われています。
デコレーションや装飾の少ないシンプルさも共通点の一つです。和室では布団は畳んで押し入れにしまうように、家具も極限までミニマムになっていると言えるでしょう。北欧も、家具はシンプルなデザインの物が多く、機能性の高さも重視されています。
「ジャパンディ」がはやっている背景
「ジャパンディ」は2022年頃からインテリア用語として普及してきました。その背景にあったのは世界中の人が影響を受けた新型コロナウイルスです。日本でも不要不急の外出以外を控えるように、とのお達しがありましたが、欧米の大都市ではそれより遙かに厳しい完全なロックダウンが行われていました。外出制限による在宅時間の延び、またリモートワークも普及した結果、家は寝るための場所ではなく、仕事、娯楽、食事、勉強の全てを行う場所に。これによりインテリア業界の需要が急激に増え、そしてデザインにも影響を与えるようになりました。2020年度の日本国内の家具・インテリア販売市場は前年度比で+6.1%も増え過去最高を更新しています。アメリカでも2020年のインテリア業界の売り上げは前年比+11.7%と好調です。
またもう一つ大きな要因としては、インテリアのみならず、そもそも「日本」そのものがはやっているという風潮があります。ヨーロッパに住んでいても、近頃は日本要素を感じる物を多く見かけるようになりました。ベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリーなどに応えた和食が普及してきており、さらに無印良品やユニクロなど、シンプルなデザインと手頃な価格、良質な商品を提供するブランドが人気を博しています。
加えて、日本旅行も大変人気です。2024年8月に日本を訪れた外国人は293万人で、前年同月比では36.0%増、7カ月連続で同月過去最高を記録しています。これらの人がSNSに投稿する日本旅行をテーマにしたコンテンツも非常に人気があります。
さらには「生きがい」といった言葉が哲学として捉えられて興味を持つ人がいるなど、さまざまな方面から関心が寄せられているのを感じます。この日本人気のトレンドはまだまだ続きそうです。
この記事の筆者:Gena プロフィール
ドイツ在住3年目のライター、ボディポジティブモデル。個人ブログをきっかけに執筆活動を開始し、現在はヨーロッパのモデル事務所に所属しながら、「ヨガジャーナルオンライン」にてエッセイを連載中。学生時代にはアメリカ・ニューヨークにも留学経験あり。日本と欧米における視点の違いに関する情報を発信する。
(文:Gena)
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