1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

スマホから「イヤホンジャック」が消えつつある意外な理由…いつかは完全になくなってしまうのか?

オールアバウト / 2024年11月20日 20時50分

スマホから「イヤホンジャック」が消えつつある意外な理由…いつかは完全になくなってしまうのか?

昔は多くのスマートフォンが搭載していたイヤホン端子(イヤホンジャック)ですが、最近のスマートフォンからは姿を消しつつあるようです。ワイヤレスイヤホンの普及がその背景にあることは確かですが、実はスマートフォンの開発事情も大きく影響しています。

外出先で音楽や動画を楽しむ際には、イヤホンを使っている人も多いかと思います。最近ではBluetoothで接続できるワイヤレスイヤホンが人気となっており、スマートフォンにワイヤレスイヤホンをつなぐことも一般的になりつつあるようです。

かつては有線のイヤホンをつないでいた人も、「スマートフォンを買い替えたらイヤホン端子(イヤホンジャック)のない端末になってしまい、ワイヤレスイヤホンに変えた」という経験があるかもしれません。

確かにアップルの「iPhone」やグーグルの「Pixel」、サムスン電子の「Galaxy」シリーズなど、日本で販売されている多くのスマートフォンにはイヤホン端子が搭載されていません。一体なぜ、スマートフォンからイヤホン端子が消えつつあるのでしょうか。
シャオミのハイエンドモデル新機種「Xiaomi 14T Pro」もイヤホン端子を搭載していない機種の1つ。それゆえ同社のワイヤレスイヤホン「Xiaomi Buds 5」とセットでの利用が提案されている

イヤホン端子がなくなった要因は?

近年はワイヤレスイヤホンの種類が大幅に増え、なかには1000円を切るような低価格のものも出てきています。ワイヤレスイヤホンの普及でイヤホン端子の必要性が薄れてきたことは確かでしょう。

しかしより直接的な要因は、「本体を薄く小さくするため」というメーカー側の事情であったりもします。実はスマートフォンを構成する部品の中でもイヤホン端子はかなり大きく、それをなくせばスマートフォンをより薄く、小さくできるとして、廃止の動きが広がっていったのです。

そのきっかけを作ったのは、2016年にアップルが発売した「iPhone 7」シリーズでしょう。日本においてiPhone 7は、アップルとして初めて「FeliCa(非接触型ICカード技術)」に対応したことが注目されたモデルでしたが、他国では「イヤホン端子がなくなったこと」が大きな話題となっていました。
アップルは2016年に発売した「iPhone 7」で、初めてイヤホン端子を削除。その代替としてワイヤレスイヤホンの「AirPods」を提供し、ヒットを獲得することとなった
当時はワイヤレスイヤホンの商品数が少なかった上に高価でしたし、スマートフォンにイヤホン端子が付いているのは当たり前だったため、突然それをなくしたことが大きな議論を呼んだわけです。

解決策としてアップルは、現在にも続くワイヤレスイヤホンの「AirPods」を発表。これがヒットしたことを機として、サムスン電子などの競合もイヤホン端子を廃止し、ワイヤレスイヤホンを提供する動きが拡大していきました。こうしてイヤホン端子はスマートフォンから姿を消していったのです。

あえてイヤホン端子を残しているスマートフォンも

ただ、現在もイヤホン端子を搭載するスマートフォンはいくつか存在しています。

ローエンドスマートフォン

1つは、性能は高くないものの低価格(3万円前後)で購入できるローエンドのスマートフォンです。

ローエンドスマートフォンのターゲットは、日本であれば主に年配の人々、海外であれば低所得者層や新興国の人たちです。有線イヤホンに馴染みがある、あるいは所得的にワイヤレスイヤホンの価格は高いと感じる人たちが多いことから、イヤホン端子の搭載を継続しているものと考えられます。
低価格のローエンドスマートフォンは年配の人々の利用が多く、有線イヤホンに馴染みがあることから、FCNTの「arrows We2」のようなローエンドモデルには現在もイヤホン端子が搭載されていることが多い

高音質が魅力のスマートフォン

もう1つはサウンドにこだわる人をターゲットにしたスマートフォン。代表例がソニーの「Xperia」シリーズです。ワイヤレスイヤホンで高音質を実現するさまざまな技術が開発され、ハイレゾ音源もワイヤレスで楽しめるようになった昨今ではありますが、それでも音質を非常に重視する人は有線のイヤホンを好む傾向にあります。

それだけにXperiaシリーズは、最上位モデル「Xperia 1」シリーズでもイヤホン端子を搭載し、イヤホン接続時のサウンド性能向上を図っているのです。

実はXperia 1シリーズも、2019年発売の初代「Xperia 1」で一度イヤホン端子を廃止しました。しかしサウンドにこだわるユーザーから復活を求める声が多く、次機種の「Xperia 1 II」以降は必ず搭載しています。
一度はイヤホン端子がなくなったソニーの「Xperia 1」シリーズだが、ソニーが強みを持つオーディオにこだわる利用者が多かったこともあってイヤホン端子を復活、最新の「Xperia 1 VI」でもイヤホン端子が搭載されている

ゲーミングスマートフォン

もう1つ、イヤホン端子を搭載することが多いのがゲーミングスマートフォンです。実際、エイスーステック・コンピューター(ASUS)の「ROG Phone 8」シリーズや、ヌビアテクノロジーの「REDMAGIC 9S Pro」など、日本でも販売されている最新のゲーミングスマートフォンはいずれもイヤホン端子を搭載しています。

その理由は音が遅れて届く“遅延”にあります。無線で通信するワイヤレスイヤホンは、有線接続のイヤホンと比べるとどうしても遅延が生じやすいものです。音楽に合わせて操作をするリズムゲームなどのように、コンマ1秒で勝負が決まるゲームプレイではその遅延が致命的なミスにつながりかねません。

そこでゲーミングスマートフォンでは遅延が少ない有線イヤホンが接続できるよう、イヤホン端子を装備してゲーミングにこだわる人のニーズに応えているのです。
音の遅延がプレイに大きく影響するゲーミングスマートフォンもイヤホン端子を搭載する傾向が強く、ASUSの「ROG Phone 8」など最新モデルにもイヤホン端子が備わっている
有線イヤホンに一定のニーズがある限り、スマートフォンからイヤホン端子が完全に消えてしまうとは考えにくいでしょう。ただ一方で、ワイヤレスイヤホンを利用する傾向は確実に強まっているだけに、イヤホン端子を搭載したスマートフォンが減少していく流れも大きく変わらないように思えます。
(文:佐野 正弘( 携帯電話・スマートフォンガイド))

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください