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「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

オールアバウト / 2024年11月19日 21時5分

「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

キャリア、結婚、出産……。悩みが尽きないアラサー世代は友人のSNSを見てモヤッとしてしまうことも。さまざまな選択を迫られるアラサー時代が抱える悩みをどう克服していけばいいのか。

「友達の結婚や出産を知ったとき、モヤッとした気持ちを抱えてしまう」

こう話すのは、筆者の高校時代の友人・亜美(仮名/32歳)だ。彼女は現在独身で、アラサーに差し掛かった20代後半頃から、友人たちが結婚や出産をするたびにこのような思いを抱えることがあるという。

「大好きな友人の結婚や出産に対して、心の底から“おめでとう”と思う。それは本音。だけど同時にモヤっとした気持ちが湧き上がって自己嫌悪に陥ってしまう」

仕事でも、上司とZ世代の板挟みに

亜美のように、アラサーに差し掛かり、友人にモヤッとした気持ちを抱える回数が増えたという人は多い。

「上司と部下の間で板挟みになることが多くて、自分の好きな仕事をしている友人のSNSを見ると、自分のしたかったことってなんだっけ……と考えることがある」

こう語るのは、就職のために上京し、都内で会社員として働く洋子さん(仮名/33歳)だ。彼女の所属部署には、40代以上の男性部課長、20代の部下が男女数人ずつ所属しており、アラサーの彼女はちょうど中間的なポジションだという。

洋子さんは地元を離れ、憧れていた今の仕事に転職して5年がたつ。しかし最近は「業務以外で上司とZ世代の板挟みになることが多い」と語る。

「先日会社の懇親会があって、1軒目を出たのが21時だったんです。その時、上司が私だけを呼んで『2軒目、行くか聞いてくれない?』と。2軒目に行きたいけれど、自分から声をかけると“強制的”に行かなければいけない雰囲気になるから、上司が先に私に相談したことも分かるし、Z世代の後輩はあまりお酒を好きではなくて、早く帰りたいと思っていることも分かる」

洋子さんは、Z世代の後輩たちに「私は、もう少し飲みたいから飲んで帰ろうかなって思ってるけど、みんなは自由参加でね」と声をかけた。さらに「飲んでも、あと少しにしよっと」と“1時間”の制限を付けた。

結局、後輩たちは全員二次会に来たという。1時間ぴったりで解散の音頭をとったのは、洋子さんだった。洋子さんは盛り上がる上司の言葉をさえぎった。

「仕事では常にこういうポジションになっている。自分の意思は関係ない」

家賃8万円の狭い1K暮らしの自分と、マイホームを建てた友人

最近の仕事は社内外問わず“調整役”だと語る洋子さんは、はたから見ればいわゆる“バリキャリ”の部類だろう。しかし、帰りの満員電車の中では「自分がやりたかったことってなんだっけ……」と考える。Instagramで友人たちの充実した姿を見るたび、モヤッとした気持ちを抱えてしまうのだという。

特に、結婚し広いマイホームに住む地元の友人の投稿に対して“いいね”を送りつつ、自分と比較し、落ち込んでしまうのだそうだ。

「自分が東京の家賃8万円の狭い1Kに住んで、Z世代と上司との調整をしている間に、地元で結婚し、広いマイホームを建てた友人はどんどん人生のステージを上っているような気がして」

若手でもなく、ベテランでもない。中間的ポジションで仕事をするアラサー世代。洋子さんをはじめ、新人と上司との間で板挟みになることも多いこの世代は“調整役”として会社で重宝されることも多いが、それゆえ「こんなはずじゃなかった」という葛藤を抱える原因にもなっているようだ。

「独身って自由でうらやましい!」そこから返事はなく……

一方で、洋子さんがうらやむ「結婚して子持ち」のアラサーにも、モヤッとした経験があるという。

「もし早くに結婚していなかったら……という気持ちはどこかにある」

こう話すのは、清香さん(仮名/28歳)だ。彼女は24歳の時に結婚して出産をし、現在は2人の子どもを育てる母親だ。

「大学を出たのに、2年目で仕事を辞めて授かり婚しました。現在はパート勤めで主婦。独身の同級生たちが夜遅くまで飲みに行っていたり、仕事でキャリアを積んでいたりするのを見て、うらやましく感じる」

出産後、清香さんは独身時代に親しかった友人たちとは自然と疎遠になった。その理由は、「自分にあるかもしれない」と語る。

Instagramのストーリーズ投稿で、親しい友人が深夜に遊んでいる姿を見て、思わず「独身って自由でうらやましい!」とDMをしたという。しかし、友人から返信はなかった。

「“うらやましい”は本音だったけれど……(言葉足らずで)誤解されたかもしれない」

キャリア、結婚、出産……。アラサー世代になれば、親しかった友人たちとライフスタイルの変化で疎遠になることも多い。今回紹介した2人のように、自分が持っていないものを持っている人を見て、嫉妬してしまうこともある。

「クオーターライフ・クライシス」とは

このようなアラサーならではの葛藤には「クオーターライフ・クライシス」という名称が付けられている。

「クオーターライフ・クライシス」とは、いわゆるアラサー世代(20代後半から30代前半)が、自身の生き方に漠然とした不安や焦りを感じる状態のこと指す。この言葉は、欧米で2000年代初頭から知られていたというが、近年は日本でも注目を集めるようになっている。

世界最大のビジネス特化型SNS「LinkedIn」の2017年の調査によると、アメリカ、イギリス、オーストラリア、インドの25~33歳の6000人のうち、7割以上がこの「クオーターライフ・クライシス」を経験しているという。

他人と比較し、漠然とした不安を抱える「クオーターライフ・クライシス」という時期。この言葉を知っているだけで、「あぁ、悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と少しだけ気持ちが軽くなるアラサー世代もいるのではないだろうか。

そんな筆者もアラサー世代の1人。冒頭、「友人の結婚や出産を素直に喜べない」と語った友人の亜美の本音を聞いて、実はほっとしてしまった。

亜美は人当たりもよく、みんなに好かれている。SNSで見る限り、仕事もプライベートも充実していて、悩みなんて1つもないと思っていた。だけど彼女から飛び出した本音に「亜美ですら他人に嫉妬することがあるんだ。自分が悩むのは当たり前だ」と、少しだけ前向きになれたのだ。

SNS上でキラキラ輝いているあの子だって、実は見えない悩みがあるかもしれない。悩んだ時はSNSから距離を置き、友人と本音で語り合うことで、今まで気づかなかった幸せに気付けるのかもしれない。

とはいえ、ライフステージが変われば、友人関係は疎遠になりがちだ。無理に友人関係を再構築する必要はないが、ライフステージが複雑化するアラサー世代こそ、それぞれの“本音”を語り合う場所が必要なのかもしれない。

この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。
(文:毒島 サチコ)

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