大好きな彼に同棲を提案されて「2LDK、部屋は別室」を絶対に譲れない条件にした彼女の事情
オールアバウト / 2024年12月11日 22時5分
同棲をしている彼は、実家ぐらしが長く、いつでも誰かと一緒にいたいタイプ。一方自分は、15年一人暮らしをし、自由気ままに過ごしてきた。部屋は別々にしてもらったが、それでも彼は、家でもずっと一緒にいることを求めてくる。正直つらくなってきた。
一人暮らし同士の男女が恋に落ち、一緒に住むことを決めた。だがその時、女性は「2LDK、それぞれの部屋を持つ」ことを提案。彼はなかなかうんと言ってくれなかったという。彼女が部屋を別にしたかった理由とは……。
1人になれる空間がないとダメな私
「私は18歳で大学入学のために上京してから、15年も一人暮らしをしてきました。もう自分なりの生活がしみついているし、1人になれる空間がないとダメなのもわかってる。友達と旅行に行っても部屋は別にしてもらうし、ごはんの時だけ集合とか、1日数時間だけ団体行動とかじゃないとイライラしてくるんです」アイカさん(34歳)はそう言う。家族がいようが愛する人がいようが、1人の時間がないと落ち着かないという人は少なくないだろう。
「1年半ほど付き合っている彼が、今度、賃貸マンションの更新があるんだけど一緒に住まないかと言ったのは半年前。悩みましたね。同い年の彼が一人暮らしを始めたのは30歳になるころ。それまでは実家暮らしだったそうで、コロナ禍で大人ばかりが実家で顔を突き合わせて険悪な雰囲気になったこともあり、思い立って1人で生活を始めたようです」
同棲するために譲れない条件を提示
とはいえ、彼の家庭はもともと仲がよかったらしく、今はコロナ禍のことは笑い話になっているとか。彼自身も、思い切って1人で生活してみたけどやっぱり寂しかったなあと漏らすこともあった。「だから彼は基本的に人と一緒にいたいタイプなんですよね。でも私は基本的に1人でいたいほう。だから自分のプライベートスペースを確保できないなら、同棲は難しいと思うと彼に言いました」
彼は少し拗ねたように「オレのこと、本気で好きなわけじゃないの?」と言った。そうではない、私自身の資質の話だと説明しても、彼にはなかなか分かってもらえなかった。
「でもいろいろ調べたり人に話を聞いたりはしたみたいです。人はいろいろなんだね、と言っていました。結局、じゃあ2LDKで探そうということになり、互いの会社まで30分程度で通えるいい物件を見つけました」
少し古いが、建物も周りの下町っぽい雰囲気も気に入り、2人はそこへ越した。
家の中でもストーカーみたいな彼
リビングを挟んで両側に部屋がある間取りが、アイカさんはとても気に入ったという。部屋が隣同士ではないから、彼の部屋の物音が気になることもない。「ところが実際に住んでみると、彼はそれが気に入らなかったみたい。『アイカがどうしているのかが気になって仕方がない』と。私が共有空間であるリビングに出てくると、必ず彼もやってくる。広めのリビングで、1人でぼうっとお茶でもしたいと思っても、私の足音を聞きつけて彼がやってくる。
いいんですけどね、たまには1人になりたいと思うこともありますよね」
お茶飲むの? だったら僕も。いいよいいよ、僕が入れるよと彼はサービス精神を発揮するのだが、それさえ「面倒だな」と思ってしまう自分がいるとアイカさんは言った。
「朝はお互い急いでいるので、それぞれ出掛ける時間にさっさと出掛けちゃうんですが、彼は昼には必ず、『今日の晩ご飯、どうする?』と連絡してくる。一緒に住む時に、極力、互いの自由を損ねないようにしようと言ったはずなのに……。週末だけはなるべく一緒に食事をしようと決めたけど、平日は放っておいてほしいんですよね」
アイカさんが、今日は帰ってから食べると返信すると、「じゃ、僕もそうする」と彼は言う。彼女が「ごめん、先輩に誘われたからやっぱり外で食べて帰る」と連絡すると、彼は「じゃあ、僕もそうする」と。
「私がいなくても自炊すればいいじゃないですか。でも彼は家でひとりで食べるのは嫌なんですって。私は時々、自分1人で作って1人で食べたいんです。それが定番でしたから。でも家で食べると言えば、彼も必ず一緒に食べたがる。家で1人で食べる自由はないのかといつも思うんですよ」
人としてのタイプが真逆な2人
もちろん、彼女は彼のことが好きだという。だが、好きだから常に一緒にいなければいけないとは考えていない。互いの生活を大事にしながら一緒にいることも可能なはずだ、と。だが彼は、好きなら仕事以外ではいつも一緒にいたいというタイプ。だから彼女が家で食べるなら、万難を排して帰ってくる。「彼の気持ちはありがたいけど、私はそういうタイプではない。帰りが遅くなる時に、遅くなると連絡はしますが、『何時頃になる? 駅まで迎えに行くよ』と言われるのが嫌なんですよね。
友人にはぜいたくだと言われますが、私はわざわざ駅まで来てもらわなくても1人で帰れるし、時にはコンビニに寄ったり、途中で見つけたバーにふらりと入ったりしたい。つまり、どこで何をしても誰にも何も言われることのない“自由”を確保したいんですが、これってわがままなんでしょうか」
彼女が言うように、これはもはや「人としての資質、タイプの問題」なのかもしれない。同居している人がいても、どこまでも自由を望む人もいるし、一緒にいることを最優先させる人もいるだろう。
「なんだか結構ストレスたまってるなあと思います。好きな人と一緒に暮らしているのに、なんだか不自由でたまらない」
彼と何度話し合っても、そこでの共通認識は得られない。いつまでもつのかな、この同棲生活と、彼女は小声でつぶやいた。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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