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「所得税が0」なのに住民税が課税されるのはなぜ?

オールアバウト / 2024年12月17日 20時30分

「所得税が0」なのに住民税が課税されるのはなぜ?

確定申告や年末調整など、所得税については気にしている人でも、住民税は気にしていないという人が多いようです。所得税はかからなかったけど、住民税の支払い通知が! その理由を見てみましょう。

所得税と住民税には違いがある!

確定申告や年末調整など、所得税については気にしている人でも、住民税は気にしていないという人が多いようです。所得税はかからなかったけど、住民税の支払い通知が! その理由を見てみましょう。

所得税と住民税では異なる点があります。この違いが、「所得税がかからなかったけど、住民税が課税される」理由につながります。なお、今回は住民税の所得割について見てみます。均等割は割愛します。

主な理由1:所得控除の違い!

所得税と住民税の所得控除額には違いがあります。例えば、基礎控除の差額や配偶者控除の上限額の差額は5万円(所得税は48万円、住民税は43万円)ですし、扶養控除(特定)の場合、18万円(所得税63万円、住民税45万円)の差額となります。

その他、生命保険料控除(最高5万円)や地震保険料控除(最高2万5000円)にも差額があります。

例えば、配偶者控除(最高額)と扶養控除(一般)、扶養控除(特定)、基礎控除の適用を受けている人の場合、所得税と住民税で33万円の差があることになります。

したがって、所得税額が0円となっていても、所得控除額の違いにより、住民税は課税される場合もあることになります。

主な理由2:税額控除の違い!

税額控除の違いで影響が大きいのは、住宅借入金等特別控除です。この税額控除は、原則として、所得税のみの適用となります。

ただし、所得税で住宅借入金等特別控除の適用を受け、かつ、所得税では控除可能額が控除しきれなかった人については、住宅借入金等特別税額控除として、一定の金額を住民税からも控除できるしくみとなっています(最高でも所得税で控除しきれなかった金額までとなります)。

したがって、住宅借入金等特別控除の適用を受けた結果、所得税額が0円となっていても、所得税と住民税の税額控除額が異なるため、住民税は課税される場合もあることになります。

主な理由3:所得金額の違い!

サラリーマンなどの給与所得者で、給与所得以外の所得が20万円以下であるため、確定申告をしないことを選択した場合や、少額配当であるとして、申告しなかった場合などであっても、住民税に関しては申告しなければならないこととなっています。

したがって、所得税額が0円となっていても、所得金額の違いにより、住民税は課税される場合もあることになります。

事例1:パート年収が103万円の場合

まずは、パート年収が103万円の場合です。所得控除は基礎控除のみとします。

●所得税の計算
・103万円(パート年収)-55万円(給与所得控除)-48万円(基礎控除)=0円

→所得税額0円

●住民税(所得割)の計算(税率10%と仮定、調整控除は考慮外)
・103万円(パート年収)-55万円(給与所得控除)-43万円(基礎控除)=5万円

・5万円×10%(税率)=5000円

→住民税額(所得割)5000円

事例2:給与年収が400万円の場合

続いて、給与年収が400万円の場合です。所得控除は社会保険料控除60万円、配偶者控除(最高額)と基礎控除、税額控除は住宅ローン控除限度額6万5000円がある想定です。

●所得税の計算(復興特別所得税は考慮外)
・400万円(給与年収)-124万円(給与所得控除)-60万円(社会保険料控除)-38万円(配偶者控除)-48万円(基礎控除)=130万円

・130万円×5%(税率)=6万5000円

・6万5000円-6万5000円(住宅ローン控除)=0円

→所得税額0円

●住民税(所得割)の計算(税率10%と仮定、調整控除は考慮外)
・400万円(給与年収)-124万円(給与所得控除)-60万円(社会保険料控除)-33万円(配偶者控除)-43万円(基礎控除)=140万円

・140万円×10%(税率)=14万円

・14万円-0円(住宅ローン控除)=14万円

→住民税額(所得割)14万円

適用できる所得控除や税額控除は最大限に活用を

いかがでしたでしょうか。仮に、住宅ローン控除があって所得税額が0円となっている場合でも、住民税は課税されるケースも多いため、医療費控除や寄附金控除など、適用できる所得控除や税額控除は最大限に活用することをおすすめします。

文:坂口 猛(ファイナンシャルプランナー)

税務大学校を卒業後、税理士事務所にて約7年間勤務。大手上場企業等で、財務・会計・税務に従事した後、独立。税金・相続・会計に強い実務派FPとして活躍中。相談業務や、執筆活動をおこなっている。
(文:坂口 猛(ファイナンシャルプランナー))

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