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普通とは違う「性癖」に悩み続けた33歳が、100人超の女性と出会い「SM婚」するまでの10年

オールアバウト / 2024年12月21日 22時5分

普通とは違う「性癖」に悩み続けた33歳が、100人超の女性と出会い「SM婚」するまでの10年

大学の頃に自分の性癖が“普通とは違う”ことに気付いたという33歳男性に話を聞いた。自分の性癖ごと愛してくれる女性を必死で探し、100人もの女性に会い、失敗もした。そして結婚にこぎつけた女性とは、今現在、どんな夫婦関係を築いているのだろうか。

人にはそれぞれ性欲の強さや性癖、好みがある。それが合う相手に出会うのは案外むずかしい。ただ、その性癖が「その人そのもの」だとしたら、無理して「普通」になる必要もない。自身の性癖に気づいたところからパートナーを見つけるまで10年かかったという男性に話を聞いた。

尽くしたい欲求が強い自分の“変わった”性癖

マコトさん(33歳)は、10代のころから「人に喜ばれるのが好き」で「ボランティア活動が好き」だった。尽くしたい欲求が強かったという。高校生のとき、彼女から目隠しされて手を縛られて、自分の性癖に気付いた。

「大学に入ってから付き合った彼女は、そんな僕の性癖を受け入れてくれる人でした。性行為よりSM行為のほうが多かったと思う。ただ、彼女自身はそれを楽しんでいるわけではなく、してもいいという程度だったようです。卒業して別れてしまったんですが、僕の中では、そういったことを受け入れてもらえるのが普通だと思ったんですよ」

ところがそれ以降は、彼女ができても性癖は受け入れてもらえなかった。カミングアウトした翌日には連絡がとれなくなることも多々あった。

悩んで病院に相談したら「治す必要ある?」と

「普通にしたいだけなのに……と、言われたこともあります。ところが僕の方は、セックス時に立たなくなってしまった。普通じゃなければダメなんだと落ち込んで、メンタルクリニックに行ったことがあります。

治したい、と。そうしたら医師が『それ、治す必要あるの?』と。性欲を抑える薬を飲んだら性格が変わっちゃうよとまで言われて、こうなったら合う相手を探すしかないと思いました」

ネットの掲示板やチャットを使って、数年間で100人もの女性に会った。お互いの指向が分かっていながら会ったにもかかわらず、なかなかうまくはいかなかった。

100人の女性と会って結婚を決めたが……

「26歳くらいのときかな、ようやく出会えたんです。どの程度のハードさが好きかという点でも一致、1年半ほど付き合って結婚を決めました。親に会うという話になったところで、結婚資金を確認しようと銀行口座を見たらお金がない! 彼女が引き出していたんです」

なんと彼女は、そのお金をホストに貢いでいたとか。そのまま逃げてしまった彼女を探し出し、裁判にまでなりかけたところで何とか解決した。

「解決した次の日には、街コンに行ってました。動かないと病むなと思ったので。出会いを増やせば、きっと自分の性癖を受け入れてくれる人が見つかると信じたんです」

彼のめげない姿勢が出会いを生む。

妻との出会い、「SM婚」が実現するまで

その後、結婚相談所で知り合った女性に、デート2回目でカミングアウトし、受け入れてくれるなら結婚したいと申し出たところOKをもらった。彼女はそれまで特にSMに詳しいわけではなかったが、彼の話をきちんと聞いて向き合ってくれた。

「自分の性癖をあれこれ10数枚に渡って書き、プレゼン資料として提出しました(笑)。僕と一緒にいるとどれだけ彼女にメリットがあるかも含めて」

半年かけて彼女に分かってもらうことができ、結婚した。SM婚などと言われてもいるが、現実としては「肉体的にハードなSMが好きというわけではない」から、一般的なイメージとは異なるかもしれない。「SM」といっても嗜好には個人差が大きい。

精神的なM「サブミッシブ」の夫婦生活

彼の場合は「サブミッシブ」といって、精神的なMといったほうがよさそうだ。妻に管理され、妻に尽くすことで喜びを得る。実際に毎日の家事はほとんど彼がこなしている。妻というご主人様に喜んでもらうためだ。

「マッサージもさせてもらっている」という。妻は立ち仕事が多いので疲れた足を癒やすことができ、マコトさんは大好きな足裏を揉むことで興奮し、喜びを見い出す。その間、ご主人様である妻はソファに寝転がってスマホを見ているが、それでいいのだという。

「僕らは月に1回、夫婦会議を開いているんです。今月あったこと、お互いに相手にしてほしいこと、そして感謝の気持ちをきちんと伝え合う。こういう嗜好だと、本当に出会うのは大変なことなんです。悩んでいる同じ嗜好の男性もいます。

彼女ができてもカミングアウトできず、バイアグラを飲んで無理矢理、普通のセックスをしようと頑張ったりしてしまう。みんな自分がおかしいと思って隠すことが多いんです。だからこそ、妻には感謝しています。僕は妻のものでいられて幸せだから」

支配する側「ドミナント」に尽くす喜び

通常の夫婦よりきめ細やかなコミュニケーションを図っている。常に相手に配慮するのは、彼が尽くして喜ぶタイプというだけではなく、彼女を失いたくないからだ。彼のようなサブミッシブを支配する側は「ドミナント」と呼ばれる。

彼は支配されながら尽くすのが好きだという。スマホにGPSを入れられていることも、喜びのひとつである。

「僕のような嗜好の人間は、命をかけるくらい必死で相手を探してきたんです。妥協はせず、自分も相手も活かせるような関係を求めてきた。SMというと偏見の目で見る人がいますが、人生を充実させるために、誰よりも真剣に婚活していたんです」

こういう嗜好を持つ人間は、世間の見る目と異なり、「くそまじめオタク」なのだとマコトさんは笑う。だからこそ苦労もしたが、結婚してから話し合いを重ねてきたことで、ふたりの間の愛情が強く深くなっているのを感じるという。

共通の嗜好があり、それをお互いに大事にしていくことで話し合いが増えていく。通常の夫婦に比べて、より緊密な絆で結ばれているようだ。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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