賛否両論だった実写版『【推しの子】』が“2度の奇跡”を起こした理由とは？ 実力派俳優陣に注目

Amazon Prime Videoにて、実写版『【推しの子】』の最新エピソードが配信されました。7、8話について解説し、映画『【推しの子】 -The Final Act-』へ続く作品の魅力を紹介します。（サムネイル画像出典：【推しの子】ドラマ&映画公式Xより）

漫画、アニメで社会現象を巻き起こした『【推しの子】』が、実写化され「Amazon Prime Video」で配信されています。実写版『【推しの子】』は、11月28日から配信がスタート。1～6話が先に配信され、12月5日に7、8話が公開されました。

豪華キャストと美しい映像表現、さらにスピード感ある脚本で話題を集めている実写版『【推しの子】』。7話には重要なキャラクターとなるカミキヒカルが登場し、嵐の二宮和也さんが演じていることが分かり騒然としています。今回は、7、8話の解説をしながら、12月20日より公開された映画『【推しの子】-The Final Act-』の魅力を紹介していきます。

二宮和也のサプライズ出演で起きた“2度目の奇跡”

まず、さまざまなメディアで紹介されていますが、改めて二宮さんのサプライズ出演から説明します。

二宮さん演じるカミキヒカルですが、作中では主人公・アクアとルビーにおいて「最大の宿敵」です。謎に包まれた男として登場するカミキは、『【推しの子】』の中でも人気キャラクターでどの俳優が演じるのか、ファンの間では憶測が広がっていました。

結果、今回の配信でカミキが登場し、二宮さんであることが判明。登場回数は少なかったものの、カミキが持つ独特な不気味さを二宮さんは短い出演時間でしっかりと見せていました。カミキは主に映画版で登場する予定ですが、二宮さんが演じることで作品の魅力が何段階にも引き上げられた印象です。

今回の『【推しの子】』の実写化については、各人気キャラクターを誰が演じるかで、原作ファンの間では配信前から賛否両論が起きていました。特にカミキはクセがある重要なキャラクターのため、誰がやっても批判を受けるところ。しかし、二宮さんは見た目もそうですが、一瞬だけの登場ながら原作ファンも納得のカミキを表現。結果として、作品に勢いをつけることに成功しています。

人気キャラクター・星野アイを演じる齋藤飛鳥さんについても、配信前には批判的な声がありました。しかし、齋藤さんは見事な演技力を見せ、アンチを跳ね飛ばし称賛を受けることに。今回、二宮さんで2度目の奇跡を起こしたことで、より実写版『【推しの子】』の評価を上げることに成功しました。

成田凌の好演技も見もの！ 映画版へつなげる見事な手法

また、7話では成田凌さんの演技にも注目です。成田さん演じる雨宮吾郎も今回の配信で本格的に登場し、しっかり演技を確認できます。

吾郎ですが、妊娠したアイの担当医で、漫画、アニメ版では初期から正体が明かされますが主人公・アクアに転生する人物。しかし、今回の実写版ではなかなか出番がなく、7話の冒頭で数分間だけ登場します。出演時間は少ないものの、成田さんが見せるキャラクターの本質をつかんだ演技は見事なもの。吾郎もカミキと同じように映画版で大活躍する予定ですが、2人の名優が登場したことでより華やかさが増しています。

ドラマ版は、主演の櫻井海音さんを筆頭に、齊藤なぎささん、原菜乃華さん、茅島みずきさんと若手俳優がメインで出演しました。初々しい演技が見られる一方で、少し物足りなさがあったのも事実。そこに、二宮さんと成田さんが登場したことで、作品の奥深さを出すことに成功しています。

これまで、ドラマで「続きは劇場版へ……」という演出は、ガッカリさせる作品が多くありました。『【推しの子】』の実写プロジェクトも心配していたのですが、見事にドラマから映画へつなげることに成功。この鮮やかな脚本と演出を見るだけでも、ドラマ版を全話見る価値があると思います。

不安の声も吹き飛ばすAmazonと東映の底力

さて、新たに配信された7、8話ですが、ストーリー的には真犯人の発見、ルビーの覚醒など新たな展開を見せました。また、芸能界のどす黒い部分も描き、映画版への伏線を一気に作り上げた形です。SNSでは二宮さんや成田さんの好演技もあり、実写化に否定的だった原作ファンも理解を示しているように見えます。いい意味での「結末は劇場で！」を作り上げることに、今回配信した2話で成功しています。

ちなみに、カミキの少年時代は黒川想矢さんが演じることもサプライズ発表されました。黒川さんといえば、映画『怪物』で素晴らしい演技を見せ、ドラマ『からかい上手の高木さん』（TBS系）で主人公・西片役を見事に演じた天才の呼び声高い俳優です。

カミキを二宮さんと黒川さんが演じるとあって、原作ファンでなくても映画を見に行きたくなる、とんでもない神懸かったキャスティングとなります。筆者も含め、原作を読んで『【推しの子】』がどう終わるのか知っている人は多いでしょう。それでもなお、どんな結末になるのかワクワクさせる手腕は見事なものです。

配信前には、実写化して大丈夫なのかという声もありました。しかし、原作ファンを失望させるどころか、予想をはるかに超えた作品に仕上げています。終結は12月20日公開の映画『【推しの子】-The Final Act-』に委ねられましたが、こちらも傑作であること間違いなし。原作ファンも含め、どんな結末を映像で見せてくれるのか、思い切った実写化を行ったAmazonと東映に敬意を払いながら、次はぜひ劇場へ足を運ぼうと思います。

 この記事の筆者：ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。
(文:ゆるま 小林)