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日本人が驚く、ニューヨークの「過酷すぎる」防犯対策。お菓子ですら鍵付きの商品棚…治安悪化のワケは

オールアバウト / 2024年12月27日 21時25分

日本人が驚く、ニューヨークの「過酷すぎる」防犯対策。お菓子ですら鍵付きの商品棚…治安悪化のワケは

コロナ禍以降、ニューヨークの治安悪化が深刻化する中、人々は自分を守るための新たな方法を模索しています。ニューヨークに在住する筆者が、現地で主流となっている防犯対策について紹介します。

ニューヨークの治安悪化は、失業率の上昇やホームレスの増加といった複合的な要因が絡み合っていますが、特に2つの刑法改正の影響が大きいと言われています。

刑務所収容コストの削減、人種や経済格差の是正が要因か

1つ目は、1000ドル以下の窃盗が起訴されなくなったこと。1000ドル以下のものであれば何を盗んでも捕まらないので、犯罪者にとっては実質“盗み放題”の状況になってしまいました。

2つ目は、保釈金制度の見直し。保釈金が支払えない容疑者の長期勾留を取りやめた結果、再犯が増加したため、州知事は2023年に裁判官の裁量で長期勾留ができるように方針を転換しています。

それらの釈然としない法改正が行われた主な理由は、刑務所収容コストの削減や人種や経済格差の是正と言われています。

日本とはスケールが違う! 小売店の防犯対策

窃盗や強盗などの犯罪が横行する状況下で、ニューヨークの小売店はどのような防犯対策をしているのでしょうか。

鍵付きの商品棚

ニューヨークでは、薬局や百貨店などの小売店で多くの商品が鍵付きの棚に入っています。特別に高価な商品というわけではなく、歯磨き粉やお菓子、冷凍庫に入ったアイスなど、ちょっとしたものも対象です。客が商品を購入したいときは、呼び出しボタンを押して店員に解錠してもらう仕組みになっています。

店内が混雑していると、あちこちの売り場で呼び出しボタンが押され、店員が来るまで長時間待たされることが多く、商品を1つ買うだけでも時間がかかります。日本の小売店では、商品が屋外に陳列されている場合もありますが、ニューヨークでは考えられません。

警備員の配置

薬局、スーパーマーケット、洋服店などの入り口には、万引き防止のために警備員が配置されていることが一般的です。

声をかけてくることはまれですが、店を出る際にレシートやカバンの中身をチェックされる場合も。筆者はある洋服店で、売り場の鏡の前でジャケットを試着したら、試着室に行くよう警備員に注意をされたことがあります。

また、タイムズスクエア近くの薬局では万引きを目撃したこともあります。犯人は“隠れてこっそり”犯行に及んでいたわけではなく、両手に大量の商品を抱え、出入り口を堂々と通ろうとして、そばに立っていた警備員ともみ合いになっていました。

顔写真の掲示

万引き犯や食い逃げ犯の顔写真を店内に掲示し、再犯防止を図っている小売店や飲食店もまれにあります。ニューヨークでは小売店が直接被害を訴え、再発防止に取り組んでいるようです。

ニューヨーカーはこんな「防犯アイテム」を携帯している

防犯対策に講じているのは、小売店だけではありません。ニューヨーカーたちは、日本人にはなじみのない「防犯グッズ」を身に着けています。

ペッパースプレー

ペッパースプレー女性の間で最も一般的な防犯グッズ。唐辛子の成分であるカプサイシンを主成分としたスプレーで、攻撃してきた人の目や鼻をめがけて噴射します。液体が顔に触れると、目や鼻、口の粘膜が刺激され、激しい痛み・涙・咳・呼吸困難などの症状を引き起こします。

カプサイシンの濃度が高い方が効果は持続し、射手距離が長いほど攻撃者との距離が取れるため、安全だと言えます。軽くて、コンパクトなため、持ち歩きが簡単です。

筆者もニューヨークに来て間もない頃、友人にペッパースプレーをプレゼントされました。夜間に人通りの少ないところを歩く際は、持っていると安心です。

セルフディフェンスキーチェーン

セルフディフェンスキーチェーンこちらも女性を中心に人気の護身グッズで、目や急所を突くことのできる先端がとがったスパイクが付いたタイプが多いです。可愛い色やデザインで、パッと見ただけでは護身用に見えないものもあります。

折り畳み式ナイフ

折り畳み式ナイフ折り畳み式ナイフは、男女ともに利用者が多い護身グッズです。段ボールを開けるなど、護身用としてだけでなく日常使いする人もいます。

日本では、護身用であっても刃物を携帯することは軽犯罪法などに抵触する可能性が高いため、外出時に持ち歩く人はほとんどいないでしょう。

これらの防犯グッズは、手軽に手に入れることができ、比較的安価であることから、多くの人々に利用されています。一方で、防犯グッズは間違った使い方をすると危険なため、スポーツ観戦、コンサート、クラブなど多くの人が集まる場所では、荷物検査の時に没収されます。

アメリカの家には本当に銃があるのか

では、護身用の「銃」の所持はどうなのでしょうか。日本人からすると、銃は映画の世界のもので、現実味がないという意見が多いかもしれませんが、アメリカの銃規制は州によって大きく異なります。

筆者が住んだことのあるカリフォルニア州とニューヨーク州は、アメリカで1、2を争うほどに銃規制が厳しい州のため、これまでに銃を見かけた経験はありませんし、これらの地域に住む知り合いで家に銃があると答えた人はいませんでした。

対して、銃規制が緩い南部や中西部の州在住の人は、自宅に銃を所持しているケースも少なくないようです。

9月には、ジョージア州の高校で銃撃事件が発生し、生徒2人と教師2人の合わせて4人が死亡、9人がけがを負いました。実行犯の容疑で逮捕されたのは14歳の男子生徒、さらにその父親も息子に銃の所持を許したとして、過失致死などの容疑で逮捕されています。

銃は安価なものだと200ドル程度で購入できるので、州の銃規制が整備されていなければ購入のハードルはかなり低く、そのことで子どもを含む多くの人にとって銃が身近な存在になってしまっているのかもしれません。

治安の悪化を受け、アメリカに住む人々はさまざまな防犯対策をしています。このような事情から、アメリカ人には「自分の身は自分で守る」という意識が日本人よりも深く根付いているのです。

この記事の筆者:山根 栞渚 プロフィール
アメリカ在住のライター。大学在学中にロサンゼルスへ留学し、現地の広告代理店でインターンシップとして勤務。帰国後、日本企業で広報担当としてライティング業務に従事。2024年からアメリカ・ニューヨーク州に移住し、マンハッタンにある旅行代理店に勤務しながら、ライターとして在住者ならではの視点で海外事情に関する記事を執筆。
(文:Khloe)

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