日本に来るフランス人旅行者に「リュック」が多い理由。「最低5週間の有休」が必須なフランス人の旅行観
オールアバウト / 2025年1月2日 20時15分
日本人の長期休暇は、ほとんどが一週間前後です。しかしフランスをはじめとする欧米では、数週間と比較的長めにバカンスを取るのが一般的。日本人からすると「長い」と感じられるその期間、彼らはどんな旅を続けているのでしょうか。
ご当地グルメ、快適な宿、美しい観光スポット……。私たち日本人が海外旅行をする際は、これらのポイントを押さえつつ、「いかに効率よく旅をするか?」が重要だと思います。目的地が遠いヨーロッパであれば、時間が無駄にならないよう、より計画的に動きたくなるものです。
フランス人旅行者に「リュック」が多い理由
フランス在住の筆者も、渡仏前はこのような旅行スタイルをモットーにしていました。しかしそれを見たフランスの友人たちからは、「日本の休暇は短いね」「大変そう」「疲れない?」といった心配の声が。せっせと忙しく動き回る旅行スタイルは、フランス人の目には少し異様に映ったようです。確かに、日本を訪れるフランス人旅行者を見ていると、リュックサックにスニーカーというハイキングのような装いで、長い距離をひたすら歩いている姿が目立ちます。タクシーもほとんど利用せず、移動の際は公共交通機関と徒歩を組み合わせるスタイル。こうした行動は、フランス人の旅行観を象徴したものだと言えるでしょう。
実はフランスでは、年間で「最低5週間の有給休暇取得」が法律で定められているため、1度に2~3週間のまとまった休みを取るのが一般的となっています。祝日も日本に比べて少ないので、日本人の「短期集中型」とは違い、「長期滞在型」の旅を好む傾向にあるのです。
数週間にもおよぶバカンスに、「時間を持て余すのでは?」と思われるかもしれません。ですが彼らにとっては、短い旅行の方がよほど疲れてしまうのだとか。例えば、日本人であれば日帰り可能な「国内スキー旅行」にも、フランス人は1週間ほどの休みを取ってのんびりと向かいます。日帰り旅行は、フランス人が特に行きたがらない旅行スタイルなのです。
旅行中の食事は「自炊」が基本?
気になるのは、それほど長い休みの間、食事はどうしているのか? という点です。旅先ではレストランや食べ歩きなど、ご当地グルメをとことん楽しみたいもの。ところがフランス人は、旅先でも自炊をするケースが多いことをご存じでしょうか。旅行中はグルメが一番の楽しみだと思いますが、フランス人にはその習慣がほとんどないのです。
宿泊先として選ぶのは、キッチン付きの民泊施設かゲストハウス。日本人からすると、「旅先で洗い物なんてしたくない」と思ってしまいます。
それでもフランス人は、現地のスーパーで地元の人々と同じように買い物をし、その土地で暮らすかのように日々の食事を作っています。「節約」も重要なポイントで、フランス人には「せっかくだからぜいたくな旅を」という感覚があまりありません。
旅行中も質素な生活を続ける彼らには、筆者も「もったいない」と感じたものです。40~50代になってもその姿勢が変わらないのですから。しかし7年近くフランス人と暮らして分かったことは、「そもそも旅の目的が日本人と全然違う」という点です。
普段からスケジュールをぎっしり詰め込むことが嫌い
フランス人が旅先で大切にしているもの。それは、その土地の隅々まで足で歩いて回ることです。グルメやショッピングも楽しみますが、日本人ほどではないといった印象です。タクシー利用に関しては、節約と経験の両面で「逆にもったいない」というのがフランス人の本音でしょう。街をのんびり散策したり、海辺で昼寝&日焼けをしたり、公園でピクニックを楽しんだり……。つまりフランス人の好みとは、こうした「休日の延長」のような旅であることが多いのです。
加えて多いのが、旅行中に計画を特に立てないタイプの人。普段からスケジュールをぎっしり詰め込むことを嫌う彼らですが、旅行中はその傾向が一層顕著になります。気分に合わせて目的地を決めるスタイルは、フランスの休日そのものを表しているかのようです。
旅行スタイルに見る国民性の違い
休みが1日であろうと数週間であろうと、「何かに縛られること」が大嫌いなフランス人。そんなフランスに引っ越して感じたのは、旅行スタイルにも国民性が色濃く表れる、ということです。計画性を重視し、短い休みを効率的に活用したいと考える日本人と、ゆっくりのんびり過ごし、「明日のことは明日決める」と考えるフランス人では、旅先での過ごし方もまったく異なります。一緒に旅行すれば、お互いがお互いのことを「変」だと思うかもしれません。
それでもフランス流の旅行を一度経験すると、「これも悪くないな」と思えてしまうから不思議です。「休日」のような旅では、心身が驚くほど休まったことを今でもはっきりと覚えています。
この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
(文:大内 聖子)
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