想定外の“高額”追加料金も? 旅のプロが実践する「手荷物」対策でLCCを最強の移動手段にする
オールアバウト / 2024年12月28日 21時15分
格安航空会社(LCC)はANAやJALなどに搭乗する際と異なるルールがあります。その最たるものが「手荷物」。特に機内持込手荷物は搭乗前に計測され、重量や個数を超過すると追加料金が必要となります。LCCで手荷物トラブルに遭遇しないためのテクニックを紹介します。
LCC(格安航空会社、ローコストキャリア)は、高速バス並みの安い運賃で飛行機移動できるため旅費を節約したい人には最適。一方、運賃が安い代わりにサービスが手薄だったり座席指定や機内食などが有料だったりします。
LCCで高額の追加料金を請求される場合も
日本には、多くのLCCが就航しています。主な航空会社は、日本国内線も運航する「Peach」「ジェットスター グループ」「SPRING JAPAN(スプリング・ジャパン)」、国際線で日系の「ZIPAIR(ジップエア)」「AirJapan(エアージャパン)」、外資系の「エア・アジア」「スクート」「チェジュ航空」「香港エクスプレス」「タイガーエア台湾」「ベトジェット」など。
どのLCCも、機内に持ち込む「手荷物」に重量や個数などの制限があり、しかも搭乗前に計測されます。また、空港のカウンターで預ける手荷物も基本1個から有料で、安くとも数千円はします。各LCCのルールを知らないまま乗ろうとして、空港で高額の追加料金を請求される人も少なくありません。
LCCの機内持込手荷物「基本ルール」を確認
まず、機内へ持ち込む手荷物について。Peachやジェットスターをはじめ、LCCは基本的に合計「2個」「7kg」までが多いです。2個とは、キャリーケースやボストンバッグなどに加え、パソコンケースなど小さいバッグを指します。
サイズも「高さ56cm×幅36cm×奥行23cm」(ジェットスター)などと決められています。また、LCCによっては合計で10kgまで、また5kgまでのところも。これらの手荷物は、空港での搭乗手続き(チェックイン)の際や保安検査場の入口でスケール(量り)に乗せて計測されたり、搭乗ゲート前に設置されたスケールで計測されたりします。
機内持込手荷物が超過していた場合、受託手荷物として預けるか、その場で破棄もしくは没収となります。受託手荷物にできないカメラ機材やパソコンなどもすべて対象なので、くれぐれも注意してください。
LCCの受託手荷物は有料、空港支払いは高額!
続いて、カウンターで預ける手荷物(受託手荷物)について。全日空(以下、ANA)や日本航空(以下、JAL)など大手航空会社(フルサービスキャリア、FSC)の場合、国内線は無制限、国際線で2個無料などが一般的。LCCでは、セールなど安い運賃の場合は受託手荷物1個から有料になります。
受託手荷物は、飛行距離によって金額が異なります。通常1個(10~20kg)までで3000円程度。これはあくまで航空券の購入と同時にオプションで付けた際の金額です。
これが空港で追加すると高くなり、1個4600円/5500円(ジェットスター国内線、15kgまで、空港カウンター/搭乗ゲート)です。「土産などで手荷物が増えそう」「ルールぎりぎりで心配」などであれば、受託手荷物の分を先に追加しておく方が安く済みます。
あえて受託手荷物込みの運賃を購入するのも手。Peachでは3つの運賃タイプ(ミニマム/スタンダード/スタンダードプラス)がある中、ミニマム以外は受託手荷物込みの運賃になります。ミニマムに受託手荷物をオプション追加するより安い場合もあり、さらに事前座席指定も付くなどおすすめです。
機内持込手荷物を「追加で増やせる」LCCもある
カメラ機材やパソコンなど、どうしてもルール以上に機内持ち込みしたい場合、オプションで選べるLCCもあります。
例えば、ジェットスターでは「プラス7kgオプション」の追加購入(先着順)が可能。1個あたり10kgまで、2個で合計14kgまで機内へ持ち込むことができます。これも予約時のオプション購入がお得。空港のカウンターだと5000円、搭乗ゲートでは5500円かかり、予約時であればもっと安く済みます。
また、ZIPAIRでは、追加料金を支払うと「合計15kgまで」手荷物の機内持ち込みが可能です。出発24時間前までに購入で、成田-ソウル間2000円、マニラ/バンコク/シンガポール3000円、ホノルル4000円、北米5000円。出発当日の空港ではこのオプションは購入できないので注意してください。
空港で手荷物チェックがある場所は3つ
LCCで手荷物を計測される場所は、主に3カ所。これも覚えておいて損はありません。
まず、空港で搭乗手続き(チェックイン)するカウンター。受託手荷物がある場合は必ず立ち寄り、その際に機内持込手荷物もスケールに置くように言われます。ジェットスターの場合、チェック済みのテープがバッグなどに巻かれます。
続いて保安検査場の入口。特にLCCのみ発着のターミナルで、カウンターに立ち寄らず機内持込手荷物のチェックがなくても、ここで計測されます。なお、ANAやJALなどのFSCも発着するターミナルの場合、ここでの手荷物チェックは基本ありません。
さらに、搭乗ゲートの前で計測されることも。
特に、保安検査後のゲートエリアで土産をたくさん買ってしまった場合にルールから超過すると、ここで追加料金を支払う必要があります。搭乗ゲートでの追加料金は最も高額で、ゲートエリアでの買い物だからといって見逃してはくれません。
旅のプロが実践! LCC「手荷物」こう対策する
LCCに乗る時は、毎回「大手航空会社とルールが違う」ことを念頭に置くのが大事。長年、国内外のLCCに多く乗ってきた旅行ジャーナリストである筆者が、日頃から実践するLCCの「手荷物」対策を紹介します。【対策1】手荷物は事前に計測
まず、「空港へ向かう前に手荷物を計測」します。自宅ならば体重計、ホテルにもスケールがたいていあります。手のひらサイズの「荷物はかり」を持ち歩くのも手。ただ、それすら荷物になるため、近年あまり使っていません。【対策2】ナイロンバッグで差をつける
機内に持ち込むのは、キャリーケースより「ナイロンのバッグ」が軽くておすすめ。キャリーケースは少なくとも2~2.5kgほどありますが、ナイロンバッグであれば1kg程度。ここで差がつきます。【対策3】衣類は最小限、重ね着で手荷物減も
旅行に持参する「服」は極力減らし、衣類圧縮袋も使用。旅行先で衣類を洗濯すると少なくて済み、乾きやすい服装や下着、冬はヒートテックをフル活用します。機内は夏でも寒いため、持込分の手荷物を減らす意味でも「重ね着」します。【対策4】化粧品は現地調達も視野に
女性に必須のコスメなど「スキンケア用品」は、サンプルや旅行用など1回使い切り用や、100円ショップで売っている小さな容器にそれぞれ入れて持参。化粧水と乳液など合わせて一度で済むオールインタイプがおすすめ。国内のホテルだと無料でもらえることもあり、出発前にホテルにその有無を問い合わせることも。【対策5】シャンプーの持参は使い切りタイプ
「シャンプー」は、海外だと備え付けにコンディショナー(リンス)がなく、しかも髪に合わないことも。使い切りのシャンプー/コンディショナーを持参する、1回用のトリートメントを現地調達することもあります。【対策6】旅の土産は極力買わない
現地の「土産」は、極力買わないのが最善策。どうしても増えそうな場合、最初から受託手荷物の分をオプション購入するか、受託手荷物込みの運賃を買います。「行きは機内持込手荷物のみ、帰りは受託手荷物を追加」と運賃タイプや航空会社を変えることあり、片道ずつ航空券が買えるのがLCCの良さ。国内だと現地から土産などを宅配便で送るほうが安いこともあり、この方法だと身軽で帰宅できるのもメリットです。
【対策7】カメラやパソコンは最優先で機内へ
なお、「カメラ機材」「ノートパソコン」などの仕事道具は、当然ながら機内持込手荷物で、これらが最優先。機内持込で追加オプションがあるジェットスターやZIPAIRを選ぶか、それ以外のLCC利用時、本体と(受託手荷物にできない)バッテリー以外はカウンターで預ける手荷物に入れます。ノートパソコンも軽いタイプ、カメラもミラーレスなどコンパクトなモデルがベストです。
LCCは上手に使いこなすと最強の移動手段
筆者が過去に機内持込手荷物5kg以内のLCCを利用した際、カメラ機材とノートパソコンを優先するため、キャリーケースは出発空港の一時預かりを利用し、化粧ポーチその他あらゆる小物まで受託手荷物のナイロンバッグに入れ、なんとか通過したことも。
逆に、神経質になってあれこれ減らしすぎ、受託手荷物15kg以内なのに8kgしかなくて拍子抜けした経験もあります。
LCCを利用する時は、FSCに乗る時の何倍も手荷物に気を配ります。受託手荷物を加えると運賃がLCCとFSCでそれほど変わらない場合は、手荷物の心配なくサポートも充実するFSCを選びます。
ただ、LCCは安い運賃で飛行機移動できるありがたい存在。手荷物のルールは厳しいものの、随時オプションで追加するなど上手に使いましょう。
(文:シカマ アキ(飛行機の旅ガイド))
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