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「どうしてきみに似たんだろう」「メシがまずくて働く気がしない」最低なモラハラ夫にキレた義母

オールアバウト / 2025年1月3日 22時5分

「どうしてきみに似たんだろう」「メシがまずくて働く気がしない」最低なモラハラ夫にキレた義母

夫は月に数回ただただ不機嫌になり、八つ当たりをしてくる。義母は息子は気分にムラがあることを良く知っており、嫁である自分を常にかばってくれるのだ。

フキハラ、モラハラのひどい夫に愛想は尽き果てているのだが、子どもには父親として接しているのを見ると、離婚していいのだろうかと悩んでしまう女性は少なくない。さらにそこに「あまりにいい義母」がいるとしたら……。

嫌味を言うと止まらなくなる夫

「自分の仕事でのストレスが大きいのか、ときどき夫の嫌みが止まらなくなるんです。子どもが2人になってから、どんどんひどくなってきた。明らかにモラハラ。子どもの顔を見ながら、『どうしてきみに似たんだろう』とため息をついたり、『メシがまずくて働く気がしない』とつぶやいたり。そういう時は何か返すと怒鳴るから、黙っています」

カエデさん(40歳)はため息をついた。7歳と4歳、2人の子がいる共働き主婦だ。自分も仕事をしているし、以前は職場も一緒だったから、夫のストレスは分かる。だが、大変なのは夫だけではないといつも感じているという。

夫の機嫌が悪い時は子どもたちも寄りつかない。それがまた癪(しゃく)にさわるらしく、「子どもにオレの悪口を吹き込んでいるんじゃないか」と言ったりもする。

「いつもはそうじゃないんです。楽しいお父さんだし、私にも優しいところがある。でもストレスがマックスになると、ねちねちと言いがかりをつけてくる。結局、大人になりきれない人なんだと思います」

頻度は数カ月に1度、我慢しようと思えばできるが、いつかは自分が爆発しても不思議ではないとカエデさんは思っていた。離婚という言葉が頭をよぎったこともある。

義母の前ではおとなしいモラハラ夫

「近くに義母が住んでいて時々来てくれるんですが、義母がいる時の夫はおとなしいんですよ」

ところが先日の週末、義母が来てみんなで食卓を囲んでいた時、ふいに夫のスイッチが入ってしまった。

「上の子が『この前、学校で○○くんとケンカした』と無邪気に言ったんです。どうして? ○○くんが何か言ったのと聞いていたら、夫が突然『男の子に逆らうな』と言い出して……。ケンカしたことを注意するならともかく、男の子に逆らうなってどういう意味なんだとこればかりはカチンときました。

私が口を開きかけた時、義母が『何言ってんの、あんた。男に逆らうな? 私はそんな教育をしたことはないよ。ふざけちゃいけない』と怒りだした。義母は代々続く江戸っ子ですから、こういう時の早口の啖呵(たんか)がすごいんです」

夫はタジタジとなり、口をつぐんだ。だが義母は引き下がらない。ねえ、男の子に逆らうなってどういう意味よと、夫に詰め寄る。

「あんた、もしかしたら自分は男だから偉いなんて思ってるんじゃないだろうね。カエデさんにモラハラなんかしたら、あたしが許さないからね」

核心を突いた言葉だった。義母は何か気づいていたのかもしれない。

義母をますます好きになる私

「以前から義母は、さらりとかっこよく私の味方でした。出産後もみんなが赤ちゃんへのお祝いを持って来てくれる中、義母だけは私にすてきなスカーフをくれたんです。『赤ちゃんの世話に疲れたら、このスカーフをして遊びに出なさい。私が子どもを見てるから』と言ってくれた。

その一方で、自分の息子がムラのある性格だとも分かっていたみたいです」

だが義母に対し、事細かに夫の言葉を告げ口する気にはなれなかった。なんだかんだ言ってもあちらは親子。息子の悪口を聞かされてうれしい母親はいないだろう。だが、義母はカエデさんの想像を超えた器の持ち主だった。

「ずっと我慢してるんでしょ、あいつが何を言ったか教えてと義母が言い出して。夫がキレた時、こっそり録音したことがあったから聞かせたんです。すると義母は顔を真っ赤にして怒り出した。そして『もういいわよ、離婚して』って。こんな男と一緒にいたら、あなたのいいところがつぶれてしまう、とりあえずプチ家出しなさいって」

あまりに義母が勧めるので、今年の夏休みに子ども2人を連れて、近場の温泉に旅行に行った。夫に黙ってある日突然、出かけたのだ。「探さないでください。そのうち連絡します」という置き手紙を置いて。これも義母の企みだ。そして義母は一緒についてきた。

「子ども2人と義母と私で数日間、旅行をしたんです。レンタカーを借りてドライブしたり、子どもたちはホテルのプールで楽しんだり。みんなでホテルでバーベキューもしました。『ほらね、あいつがいなくても楽しいでしょ』と義母が私をハグしてくれた時、私、思わず涙が出ました」

そのころ、夫はカエデさんに必死に電話をし、つながらないため義母にも連絡。これもつながらず、実家を訪ねたが誰もいないことでかなりパニックになったらしい。

「私は夫に連絡した方がいいんじゃないかと思ったんですが、義母は『少しは思い知らせてやりなさいよ』って。3泊4日、4人で遊び倒して、挙げ句、支払いはすべて義母がしてくれました」

義母の言動で夫のモラハラはどうなった?

ようやく自宅に戻ると、週末だったため夫が1人リビングでぼうっとしていた。カエデさんが何か言おうとした時、義母が「私がカエデさんたちを旅行に連れだしたの。あんた、自分だけがストレス抱えていると思っているかもしれないけど、カエデさんにはあんたの存在そのものがストレスなのよ。大人になりなさいよ、父親なんだから」と言いたい放題。

「あんた、カエデさんに見捨てられても不思議はないと思うよ。カエデさんは何も言わないけど、私は分かってる。あんたが暴言吐くところを見てるから」

そこまで言われた夫は、「分かってる。カエデに謝ろうと思ってた」とポツリと言った。あ、そう、じゃあねと義母はさらっと帰ってしまった。

「思わず夫と顔を見合わせて笑ってしまいました。お義母さんらしい、と。言いたい放題でさらっと去っていく。でもあの義母の言動に救われました」

以来、数カ月、夫のモラハラはなりをひそめている。ストレスがたまっていそうだなと思うと、カエデさんはこっそり義母を呼んで食卓を囲む。義母は息子に軽口を叩き、孫たちを褒めそやして帰っていく。

「一時期、私は本気で離婚も考えました。でも義母がいる限り、離婚はしたくない。今後は夫とももっときちんと向き合っていこうと思っています」

70歳になったばかりの義母は、ますます意気軒昂でパワフルな毎日を送っているそうだ。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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