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豪徳寺駅の魅力は「招き猫」だけじゃない! 南北の商店街におしゃれカフェ、西洋建築や銭湯も充実してた

オールアバウト / 2025年1月3日 20時15分

豪徳寺駅の魅力は「招き猫」だけじゃない! 南北の商店街におしゃれカフェ、西洋建築や銭湯も充実してた

小田急小田原線と東急世田谷線の交わる場所と近い「豪徳寺駅」は、その名の由来ともなった豪徳寺の最寄り。お寺以外の見所や街の雰囲気は? 行って調べてきました!

「豪徳寺駅というからには近くに『豪徳寺』があるんだろうな」と思われる人も多いでしょうが、その豪徳寺は……あります! こちらはあの「招き猫」が誕生したことで有名なお寺であり、世田谷区内を代表する史跡であり散策スポットの1つです。

駅前の商店街はなかなかに栄えており良店や量販店が多く、豪徳寺以外にもギャラリー付き西洋建築やおすすめ銭湯もあるなど、その住環境はかなり良好。豪徳寺を参拝する時だけでなく、住居を構えたい時にもおすすめです。

豪徳寺駅の基本情報:家賃相場はいくら?

豪徳寺駅(筆者撮影、以下同)豪徳寺駅に乗り入れるのは小田急小田原線の1本のみ。しかし実際には東急世田谷線の山下駅とも直近、というよりほぼ直結しており、実質的に小田原線と世田谷線の2路線が使用可能という、電車の利便性に優れた駅です。

豪徳寺駅周辺の家賃相場は駅徒歩10分以内、築年数10年以内でワンルームが約8.8万円、1LDKで約14.4万円、2LDKは約18.2万円となっています。(SUUMO、2024年12月11日確認)。小田急線の起点である新宿駅と比べて2万円弱安く、前述のアクセス利便性とも合わせれば、かなり「おトク」な相場と呼べるかもしれません。

豪徳寺駅の開業は1927年で、2004年に高架駅へチェンジ。駅名と地域名の元でもある豪徳寺については後述します。

駅の南北に商店街がぐねぐね伸びる

豪徳寺駅を乗り降りするだけで運気にあやかれそう豪徳寺駅を降りると、招き猫の石像に迎えられました。南側から。商店街の出口がすぐ駅です豪徳寺駅の駅舎は、高架部分が住宅や商店街のただなかを横切っているようで、なかなかの大きさと存在感! こうした構造は小田急線の高架部分ではポピュラーなものです。チョコクロが食べられる豪徳寺駅駅ナカ施設は少ないながら「サンマルクカフェ」と「デニーズ」があるので、軽食や休憩、簡単な仕事は駅前でできそうです。

この世田谷線に関する施設が後で登場します豪徳寺駅と隣接しているのがこちらの東急世田谷線「山下駅」。形式上は別々の駅ながら、極めて駅が近いので実質的な同一駅と扱われることも。昼間はだいぶ静かです。写真奥が山下駅そんな山下駅と豪徳寺駅の中間にある細い路地には、かなり渋めな店舗が集中。入口に置いてある台は、ひょっとして昔のミシン台でしょうか?何ともレトロな「カラーテレビ」のフォントが印象的な電気屋さんも。調べてみると、店内がレトロなバーのようです昼間に行った時はシャッターを下ろしている店も多くありましたが、看板だけでも「どんな店なんだろ……?」と惹かれてしまいます。山下商店街側。昼間の人影はまばらです豪徳寺駅の真下を横切る形で、駅の南北には細長い商店街が伸びています。北側は「山下商店街」、南側は「豪徳寺商店街」です。バン◯シーっぽいアートを発見道路幅がかなり狭い上に道が細かく湾曲しているので、先までが見通せず、どことなく迷宮めいた雰囲気。

飾らない雰囲気なのが、むしろ意外な良品を数多く扱っていそうです商店街内には個人経営からチェーン店までさまざまなお店が入っており、年季と貫禄を感じさせる古着屋も営業中です。猫に由縁あるお店を豪徳寺駅近辺ではいくつか見かけます招き猫と縁の深い町・豪徳寺らしい猫グッズのお店も。店舗自体は普通の印象ながら、隣に緑があるだけで印象わりと変わりますねスーパーマーケットも小さいながら複数あり。こちらの「まいばすけっと」は北沢川緑道沿いにあるので、ちょっとした量の買い物であれば、帰りにちょっと緑道散歩なんてことも出来そうです。豪徳寺の商店街で比較的大きめな店舗の1つこちらの「トップパルケ」は豪徳寺の商店街でも特に大きな方。左側のテントの下には青果類が並んでいました。こうした買い物スポット全てが駅から南または北に歩いてすぐアクセスできるので、通勤・通学の買い物に不便を感じることはありません。こちらはフード類もなかなか充実そして、このように豊かににぎわう商店街には、そのにぎわいを求めて良質なカフェも集まるもの。

IRON(鉄)という店名からして、かなりハードなコーヒーを出してくれそう豪徳寺の商店街には個人経営でおしゃれなカフェが複数見つけられます。散策中の休憩に訪れてみてはいかがでしょうか。

豪徳寺の「招き猫」で開運祈願!

豪徳寺の駅~お寺間はそこそこの距離ありさて、豪徳寺駅を紹介するからには、その名の由来である「豪徳寺」をスルーするわけにはいかないでしょう。豪徳寺の山門。外国人を含む多くの観光客が出入りしています世田谷区を代表する寺社である曹洞宗・大谿山(だいけいざん)の豪徳寺は1480年に創建。江戸時代に入って1633年には彦根藩藩主・井伊家の菩提寺と定められました。それ以降の長年にわたって地域の中核となってきた寺社であり、国の指定史跡ともされています。

三重塔。紅葉がちょうどいいアクセントです境内には井伊家の墓所をはじめとして歴史的に重要な史跡や見どころがいっぱい! 非常に荘厳かつ穏やかな気配で、実に500年以上も江戸〜東京の街を見守ってきた風格をたたえています。お寺や招き猫以外に、この紅葉もかなりの見もの取材した2024年12月上旬時点では境内のモミジが燃えるような鮮やかさで色づいていました。

この招福殿の左側に、豪徳寺でも最大のSNS映えスポットが境内の「招福殿(しょうふくでん)」は昭和16年に建立された建物で(2022年に改修)、多くの招き猫がまつられています。彦根藩主・井伊直孝公がこの寺の近辺で猫に手招きされ、寺内でとどまったことで雷雨の難を逃れた故事に由来するそうで、それ以来「家内安全」「商売繁盛」などを願う多くの人々が訪れています。ギョッとするレベルで招き猫だらけ招福殿の左脇に入ると、大小ものすごい数の招き猫が大集合! 1匹ずつであればかわいらしい招き猫も、ここまで集まると異様さや迫力すら感じられます。

豪徳寺境内の6~7割くらいは外国人という印象このユニーク&どこかコミカルな様子を見るために、外国人観光客もたくさん訪れていました。豪徳寺は、movが2024年に発表した「インバウンド人気観光地ランキング」で、なんと浅草寺などと並んで7位にランクインしているのだとか。現地で見るとすごいインパクトこれだけ大量の招き猫戦隊が一斉に福を招いてくれるなら、さぞや運気もブンブン爆上げ……かと思いたくなりますが、実はそう単純にも行かないそうです。

天は自ら助くる者を助く、ということでしょうか。​​​​豪徳寺の招き猫は一般的な招き猫と違い、小判を持っていないことが特徴です。これは猫が招くのは人と人との良縁であり、その縁を良い方に生かせるかは当人の心構えや努力次第、といった意味があるとのこと。こうした教えに日頃から親しみ、商店&客の縁や住民同士の縁を大切にし続けた人々が、現在でも豪徳寺周辺が人々でにぎわい続ける下地を作ったのかもしれないですね。

招き猫ちゃんを自宅にお招きしてはいかがでしょうか何事も待ち一辺倒だと良い結果は巡ってこないもの。積極的に考えて動くことも大切です。とりあえず本堂横の寺務所で「招き猫」を買ってみるところから始めてみてはいかがでしょうか。サイズによっては売り切れのものが出るほどの人気商品です。

豪徳寺以外にも見どころあり

豪徳寺周辺の歴史スポット・散策スポットは、実は豪徳寺だけではありません。江ノ電に神社に西洋建築、きれいな並木通りに銭湯と、コンパクトながら注目スポットは多くあります。写真の左端にチラ見えしているのが宮の坂駅実は豪徳寺への最寄り駅は、豪徳寺駅ではなく東急世田谷線の「宮の坂駅」。そこに隣接する「世田谷区立宮坂区民センター」は、会議室や就労施設、体育館など併設のコミュニティー施設です。

ピザレストランだけにピザっぽい円形の設計が個性的同敷地内にはピザレストラン「POCO(ポコ)」も。豪徳寺詣での前後にランチを済ませたい時にちょうどいいお店です。来年で製造から100周年世田谷線でかつて使用されていた旧車両も展示されていました。この車両は1925年に製造され、1969年までは世田谷線を含む区間を実際に走っていたものです。

旧車両の中は、どことなく穏やか車両は後に江ノ島電鉄に譲渡され、なんと平成に入った1990年まで現役だったそうです。現在の車両は内部を自由に見学できるので、緑色のシートに腰を落ち着けながら、往時にこの車両が世田谷線を行き来していた風景に思いをはせてもよさそうです。寺だけが豪徳寺ではありません豪徳寺からほど近い「世田谷八幡宮」は入り口の真っ赤な大鳥居が何とも威風堂々!

こちらは平日昼だと本当に静かで、おごそかな空気階段を少し上がった境内は大銀杏の木に見下ろされ、なんとも穏やかな気配です。観光客が多くてにぎやかな豪徳寺とは対照的な雰囲気。神社・神道と相撲は実は深い関係にありますまた、世田谷八幡宮では作物の豊作・凶作を占う神事として奉納相撲が行われていたため、現在でも境内に土俵などがあり、毎年秋の例大祭では東京農業大学の相撲部員が奉納相撲を実施しています。

夕方に差し掛かった時間だと水色というより緑色にも見えますそのほかには豪徳寺の北側地区にある「旧尾崎テオドラ邸」も、豪徳寺を代表する名スポットの1つ。こちらは明治期の官僚・男爵であった尾崎三良(さぶろう)氏が、イギリス生まれの娘・尾崎テオドラ英子女氏のため(現在の)東京都港区で1888年に建築し、それを譲り受けた英文学者が1933年に豪徳寺へ移築したものになります。

取材時点では漫画家・水野英子さんの作品展が行われていました邸宅は現在も水色に塗られた外壁が空の色のように鮮やか。この建物は老朽化のため2020年に取り壊し予定だったものが、近隣住民の助力やクラウドファンディングにより修繕されたそうで、こうした所からも豪徳寺地域の住民同士で縁や絆が深いことが感じられますね。現在はギャラリー部分を有料で見学可能なほか、レンタルスペースの貸出しも行われています。

車道と緑道が並走している風景はなかなかレア豪徳寺駅〜経堂駅の間に続く「ユリの木通り」もお散歩スポットの1つ。秋の盛りにはユリの木が黄色く色づき、さながら銀杏並木のような黄金色になります。通りと併走する「北沢川緑道ユリの木公園」は「せたがや百景」に選ばれ「せたがや界隈賞」を受賞したこともあります。

入ってみたいですが、取材時は定休日でした。残念!そして豪徳寺巡りの後は、豪徳寺商店街の中にある「鶴の湯」がおすすめ。1949年建築の年季が入った建物を2012年にリノベーションしており、浴室内は開放的で清潔。サウナはないものの露天風呂・軟水風呂・水風呂・ジェット・バイブラと設備が充実しており、銭湯マニアにとってはたまらない店舗ですよ!

豪徳寺は商店よし、散策スポットよし、電車よし!

ニャンとも見どころの多い豪徳寺豪徳寺駅は小田原線と世田谷線の2路線が使えることや、招き猫と縁の深い豪徳寺が有名なだけでなく、商店街の雰囲気や寺以外の見どころの多さも手伝って、非常に住環境が整った街と言えます。豪徳寺&世田谷八幡宮など寺社仏閣から開運パワーをもらい、銭湯で心身をデトックスすれば、健やかで快適な生活を送れそうな気がしてきます。

この記事の筆者:デヤブロウ プロフィール
都内在住の街歩きライター。Yahooエキスパートとして台東区の地域情報を発信するほか、「macaroni」など複数メディアで執筆を行う。飲食店、博物館、銭湯巡り、寺社探訪を中心に地域情報を発信中。東京シティガイド検定を取得済み。
(文:デヤブロウ)

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