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「冷房の28℃」と「暖房の28℃」はいったい何が違うの? 【家電のプロが解説】

オールアバウト / 2024年12月29日 20時15分

「冷房の28℃」と「暖房の28℃」はいったい何が違うの? 【家電のプロが解説】

同じ28℃に設定した場合、冷房運転と暖房運転では何が異なるのでしょうか。「All About」ガイドで、企業の製品開発のお手伝いやPR支援なども行うコヤマタカヒロが回答します。

冷房運転と暖房運転ができるエアコン。それぞれの運転方法で同じ温度設定の場合、いったい何が異なるのでしょうか。

「All About」ガイドで、企業の製品開発のお手伝いやPR支援なども行うコヤマタカヒロが、正しい処分の方法を解説します。

(今回の質問)
冷房で28℃に設定するのと、暖房で28℃に設定するのは何が違うんでしょうか?

(回答)
暖房と冷房ではエアコンはまったく逆の働きをしています。寒い日に28℃の冷房を付けても、部屋が暖まることはありません。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

冷房と暖房の動きはまったく逆です

エアコンは室外機に搭載されたコンプレッサーで「冷媒」と呼ばれるガスを圧縮し、室内機の熱交換器を冷やしたり温めたりすることで暖かい風や冷たい風を作り出し、室温をコントロールしています。これは冷媒が気体から液体に変わるときに熱を放出し、逆に液体から気体に変わるときに周辺の熱を奪う特性を利用したもの。冷媒を高圧で圧縮したり、減圧したりすることで温度をコントロールしているのです。

暖房運転の場合、コンプレッサーで圧縮されて高温になった冷媒が室内機に送られ、熱交換器を暖め、そこに室内の空気を通すことで暖かい空気を作り出して部屋を暖めています。冷房の場合は、逆に室内の空気に含まれる熱を冷媒が奪い、その熱を室外機が屋外に放出。さらに減圧器によって冷やされた冷媒が熱交換器を冷やすことで涼しい空気を作り出しています。

このように、冷房と暖房では冷媒の状態やコンプレッサーの働きがまったく逆になります。このため、寒い日に冷房運転で28℃に設定しても部屋が暖まることはありません。暑い日に暖房の28℃設定にしても同じです。

暖房の設定温度は20℃が推奨されています

夏場の冷房の設定温度は一般的に28℃が推奨と言われていますが、環境省の「家庭でできる節電アクション」では暖房の設定温度は20℃が推奨とされているので注意しましょう。エアコンメーカーのWebサイトなどを確認すると、18〜22℃としていることが多いようです。

ただし、実際にどの設定温度が最適かは、住宅条件によって変わってきます。例えば新しいマンションなどの高断熱住宅の場合は、20℃ぐらいでも快適に過ごせます。それに対して、機密性の低い戸建て住宅や、天井が高かったり、部屋の構造的に暖かい空気が対流しにくい場合、20℃設定でも寒く感じる場合があります。このほか、同じ設定温度でも湿度が低いと寒く感じるようです。

せっかくエアコンをつけて部屋を暖めているのに、寒がっているようでは意味がありません。部屋の構造や生活の状況に合わせて最適な暖房温度に設定しましょう。ただし、暖房は設定温度を上げると、それだけ電気代に跳ね返ってくるため、温め過ぎには注意しましょう。

この記事の筆者:コヤマ タカヒロ
1973年生まれ。家電とデジタルガジェットをメインに雑誌やWebなど様々な媒体で執筆するライター。執筆以外に監修やコンサルティングなども行っており、企業の製品開発、人材教育、PR戦略に関するアドバイザーなども務める。米・食味鑑定士の資格を所有。家電のテストと撮影のための家電スタジオ「コヤマキッチン」を用意。
(文:コヤマ タカヒロ)

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