「眠くてたまりません……」冬の強い眠気は、うつの可能性も【医師が解説】
オールアバウト / 2025年1月7日 20時45分
【日本睡眠学会所属医師が回答】冬に限定して強い眠気に悩まされる場合、「冬季うつ病」の可能性も考える必要があります。不眠や食欲不振などが起きやすい一般的なうつ病とは反対に、強い眠気や食欲の増加が特徴的です。分かりやすく解説します。
Q. 寒い季節になると、眠くてたまりません。自然なことでしょうか?
Q. 「寒い季節になると、いつも眠くてたまりません。冬眠する動物もいますし、冬に強い眠気に悩まされるのは、自然なことなのでしょうか? 食欲は普段以上にあるのでメンタルの問題ではないと思うのですが、眠気が強過ぎて集中できず、やる気も起きなくて大変です。いい解消法があれば教えてください」A. 季節性の「冬季うつ病」の可能性もあります
眠気だけで断定はできませんが、寒い季節に限定して強い眠気に悩まされているのであれば、季節性感情障害の1つである「冬季うつ病」の可能性も捨てきれません。冬季うつ病になると、一般的なうつ病と同じく、気分の落ち込みや、集中力や意欲、精力の低下、疲労感などの症状が現れます。一方で、一般的なうつ病では食欲不振や体重減少、不眠の症状が起こりやすいのに対し、冬季うつ病では、食欲や体重、睡眠時間の増加がしばしば見られるのも特徴です。
午後から夜にかけて、炭水化物や甘いものが欲しくなる傾向もあります。加えて、夜の睡眠時間が長くなるにもかかわらず、日中にも強い眠気が起こり、昼寝や居眠りが増えてしまったという訴えも多く聞かれます。
冬季うつ病の主な原因は、日照時間の減少だと考えられており、効果的な治療法は「高照度光療法」です。専用の照明器具の前に毎日1~2時間座り、2500~1万ルクスの強い光を浴びることで、1週間ほどで症状が改善していきます。4万円ほどと少し高額ではありますが、専用の照明器具を使えば自宅でも行える治療法です。
冬季うつ病になると、深い睡眠が少なくなります。睡眠時間が長くなり、それでも眠気が取れにくくなるのは、そのためです。高照度光療法を行えば、睡眠の質が改善できます。
坪田 聡プロフィール
日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。医師とビジネス・コーチという2つの仕事を活かし、医学・生理学と行動計画の両面から睡眠の質の向上に役立つ情報を発信している。(文:坪田 聡(医師))
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