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【要注意】羽田に行くはずが品川へ!? 武蔵小杉と京急蒲田…首都圏2大“迷宮駅”の絶望トラップ

オールアバウト / 2025年1月6日 21時25分

【要注意】羽田に行くはずが品川へ!? 武蔵小杉と京急蒲田…首都圏2大“迷宮駅”の絶望トラップ

1本のホームにさまざまな方面へ向かう電車が次々と到着する。行先をしっかり確認せずに乗ってしまうと、思わぬ遠回りを強いられることも。首都圏には、そんな複雑な構造を持つ駅が点在している。その代表格である武蔵小杉駅と京急蒲田駅を取り上げる。

同じホームにさまざまな方面へと向かう電車が発着。確認しないで乗り込むと大変なことに……。そんな迷宮のような駅が首都圏には複数存在する。今回は、その中から武蔵小杉駅と京急蒲田駅を紹介しよう。

【武蔵小杉駅】東京、品川、横浜、川崎、渋谷、新宿……どこへでも行けるのが仇(あだ)?

15年以上前、武蔵小杉駅は南武線と東横線しか乗り入れていない簡単な乗換駅だった。その南武線も車両が新しくなり様変わりしたJR武蔵小杉駅(神奈川県川崎市中原区)は南武線および横須賀線の乗換駅だ。

と、簡単に言ってしまうけれど、この乗り換えが一筋縄ではいかない。2つの路線が交差しているところにホームがあれば問題はないのだけれど、かつて横須賀線には駅がなかった。2010年になってようやく停車駅となったのだが、さまざまな理由から南武線ホームと横須賀線ホームはかなり離れている。南武線から横須賀線ホームまでの道のりは長くて遠い現状、3つほど長いエスカレータを経由する。その距離、南武線ホームの中ほどから約400m! 元気な人が速歩きしても6~7分。横須賀線のホームは15両編成の電車が停車するので長く、グリーン車や特急の指定席の位置が決まっていると、10分は見ておいた方がいいかもしれない。「成田エクスプレス」「踊り子」「サフィール踊り子」といった特急列車を利用する場合は、たっぷり乗り換え時間を確保しておかないと乗り遅れることもあり得る。

さらに横須賀線のホームには多方面への電車が発着しているので要注意だ。さまざまな行き先がある3番線と4番線の案内板3番線は横浜方面。横須賀線は、横浜、大船を経由して鎌倉、逗子、横須賀、久里浜方面へ向かう。湘南新宿ラインは横浜、大船を経由するが、大船で二手に分かれる。逗子行きは横須賀線に直通して鎌倉、逗子に至るけれど、東海道線方面の国府津、小田原行きは大船から別ルートとなるので注意を要する。どちらも車体の色は同じ緑とオレンジのストライプなので、行先をしっかり確認し、乗り間違えないよう気を付けたい。3番線に停車中の湘南新宿ラインの電車。東海道線直通の平塚行きだが、横須賀線直通の逗子行きもあるので要注意さらに、相鉄線直通電車もある。こちらはヨコハマネイビーブルーの車体あるいは埼京線の車両が使われている。武蔵小杉を発車するとまったく異なる線路を走り、次の停車駅は羽沢横浜国大駅なので要注意だ。相鉄線直通電車の次の停車駅は羽沢横浜国大。新川崎、横浜には行かない4番線は都心方面。横須賀線の電車は次の西大井駅から分かれて品川、新橋、東京駅へと向かう。湘南新宿ラインは西大井を出ると横須賀線とは分かれ、大崎、恵比寿、渋谷、新宿と停車していく。西大井駅に停車しない快速電車もあるので留意したい。4番線に到着した横須賀線の電車。最近はほとんどが新型車両E235系だ

8社局の電車が入り乱れる東急の武蔵小杉駅

武蔵小杉には東急の駅もある。こちらはJRとは改札口が別だ。ホームは2本で、それぞれ両面に電車が停車する。横浜方面のホームは、1番線が東横線の横浜、みなとみらい線直通、2番線が目黒線で日吉行、その先は東急新横浜線・相鉄線直通となる。1&2番線案内。新横浜と相鉄方面への電車は、どちらのホームにも発着するもっとも、1番線からも東横線の新横浜線・相鉄線直通電車が走っているからややこしい。東横線の電車が全て横浜駅に向かうわけではないから、よく注意しよう。3番線と4番線の発車案内。行先に西武線、東武東上線、埼玉高速、都営三田線の駅が表示されていて壮観だ都心方面へのホームは、3番線が目黒線乗り場で、目黒から先、都営三田線直通の西高島平行きおよび東京メトロ南北線直通の赤羽岩淵行きや埼玉高速鉄道直通の浦和美園行きなどの2系統がある。

隣の4番線は東横線乗り場だが、渋谷から東京メトロ副都心線に乗り入れ和光市行き、東武東上線直通の川越市、森林公園行き、小竹向原から西武線に乗り入れて石神井公園行きや小手指行き・飯能行きなど実にバラエティーに富んだ行き先が続々と発車していく。くれぐれも乗り間違えないようにしたい。武蔵小杉駅ホームから新丸子方面を見渡した写真。東京メトロ副都心線の電車がやってきた万一、乗り間違えても武蔵小杉まで戻る必要はない。複雑な路線網が張り巡らされている首都圏なので、迂回(うかい)ルートは幾通りもあるのだ。東横線に乗って横浜駅へ行こうと思ったのに、新横浜に着いてしまった場合は、JR横浜線あるいは横浜市営地下鉄ブルーラインで横浜駅へ向かうことができる。

東横線に乗って渋谷へ行こうと思ったのに、目黒線に乗ってしまった場合は、目黒駅でJR山手線に乗り換えるか、大岡山で大井町線に乗り換えて自由ヶ丘に向かえば、再び東横線に乗れる。目黒線の南北線直通に乗るつもりが、都営三田線直通に乗ってしまった場合、春日と後楽園は駅名こそ違うもののほぼ同じ位置にある乗換駅なので、ここでリカバリーが可能だ。じっくりと首都圏の路線図をチェックすれば回復策はいくらでもある。

【京急蒲田駅】慌てると乗り間違い必至

京急蒲田駅の3階ホーム。3番線は横浜方面行きが発着する京急蒲田駅は品川方面と横浜方面をつなぐ本線と羽田空港へ向かう空港線が分岐する駅だ。単純に都心から横浜方面へ向かう電車と空港へ向かう電車しか発着していないのであれば、それほど困ることはない。

ところが、横浜方面からやってきて、京急蒲田駅でスイッチバックして空港へ向かう電車が存在するので話がややこしくなってしまう。3階からエスカレータに乗ると、2階には品川方面行きのホームがある京急蒲田駅は2層構造の高架駅だ。3階が横浜方面へ向かう本線(3番線)および空港へ向かう支線(1番線)の乗り場だ。1番線には羽田空港からやってきて、横浜方面へ向かう電車も発着する。羽田空港行き専用の案内板。発車する電車は2階と3階に分かれているからややこしい2階は品川方面へ向かう本線上り線(6番線)、そして4番線がある。単純な運行形態ならば、この4番線は空港からやってきて品川方面へ向かう専用の乗り場となるはずである。

ところが、横浜方面からやってきて羽田空港へ向かう電車は線路配置の関係から、この4番線に発着せざるをえないのだ。したがって、同じ線路を品川行きと羽田空港行きが併用することとなる。行先を確かめずに電車に乗り込むと、羽田空港へ行くつもりだったのに、品川まで連れていかれる悲劇が待っている。運悪く、それが快速特急であれば次の停車駅は品川。搭乗手続きの時間に余裕がなければ、飛行機に乗れなくなる事態も想定されるだろう。

ホームの乗車位置には、品川方面への乗車位置と羽田空港方面への乗車位置が大きく書かれてはいるものの、発車間際に慌てて車内へ駆け込む人の目には留まらないのかもしれない。誤乗を防ぐため、羽田空港行きと品川方面行きの整列位置は色分けされているが、初めてかつ慌てている人には目に留まらないかもしれない結論として言えることは、羽田空港へ向かうのに、品川や横浜から何でもいいから京急に飛び乗って京急蒲田で乗り換えるのは止めた方がいい、ということだ。不慣れな人ならなおさらのこと、直通の羽田空港行きを待つべきだ。空港行きが出た直後であっても、京急蒲田駅での接続がいいとは言えないので、次の羽田空港行きを待った方が無難である。

なお、京急蒲田駅の2番線と5番線は優等列車を待避するときの普通列車専用で、横浜寄りに目立たなくひっそりと佇んでいて、空港方面へ向かう旅行者の目に留まりにくいので、ここでは触れない。

京急のアクロバット的な車両や列車ダイヤの運用は、鉄道ファン目線では興味深いものの、不慣れな利用者にとっては恐怖かもしれない。

この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。(文:野田 隆)

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