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【ニチガク倒産は序章に過ぎない】SNSの更新が止まったら要注意? “ヤバい予備校”の見分け方

オールアバウト / 2025年1月14日 21時5分

【ニチガク倒産は序章に過ぎない】SNSの更新が止まったら要注意? “ヤバい予備校”の見分け方

「受験シーズンに突入」というタイミングで、東京都新宿区の大学受験予備校「ニチガク」が倒産してしまった。“被害者”にならないよう、子どもの塾選びの際にチェックすべきポイントは何なのかを解説しよう。(サムネイル画像出典:ニチガク 公式Webサイト)

「これからいよいよ受験シーズンに突入」という最悪のタイミングで、東京都新宿区の大学受験予備校「ニチガク」が閉鎖してしまった。

代理人弁護士によれば昨年末から資金繰りが行き詰まっていたということだが、多額の授業料を先払いしていた受験生と保護者からすれば「詐欺」のようなものだ。

ニチガク倒産は序章に過ぎない

これから大学受験を控える子どもを持つ親などは、「もしこんな予備校を選んでしまったら」と不安になるばかりだろう。

ただ、恐怖をあおるわけではないが、これからニチガクのような「ヤバい予備校」はさらに増えていく。少子高齢化が進んでいくからだ。

経済産業省・経済解析室の「止まらない少子化、学習塾への影響は?」の中には、6〜18歳までの人口推計と、学習塾の受講生徒数に基づいて作成される「学習塾指数」が並べられている。
学習塾指数と人口(6~18歳までの合計)の推移(画像出典:経済産業省)
これを見ると、子どもの数が右肩下がりで減少をしているにもかかわらず、2018年までは学習塾指数は上がっていた。そのため一時期は「少子化に教育ビジネスはそこまでマイナス影響はない」なんて楽観論も唱えられたのが、この学習塾指数はコロナ禍を経て2021年に多少持ち直したものの2023年にガクンと落ち込んでいる。

10年前は1500万人ほどいた子どもが2023年には約1350万人まで減っているのだから当たり前といえば、当たり前だ。これは学習塾のデータだが、教育ビジネスということでは大学受験予備校も同じような苦境に陥っていくのは容易に想像できよう。

そんな「予備校大淘汰(とうた)時代」に拍車をかけているのが、「子どもの奪い合い」だ。資源が少なくなれば、熾烈(しれつ)な争奪戦が始まって、力の弱い者からつぶれていくというのは自然界の掟(おきて)だ。それは予備校も変わらない。

「昔ながらの予備校」が苦境に立たされる理由

分かりやすいのは、少子化の時代、神奈川県を中心に急成長している「臨海セミナー」だ。ここは同業者からクレームが入るほど激しい生徒勧誘活動をしており、校舎数も生徒数も右肩あがりで増えている。

その勢いはとどまることを知らず、2021年度には受講生は約6万人、校舎数も478校だったものが、2024年9月時点で、校舎は535校に増えて、生徒数も7万375名(臨海セミナー 公式Webサイト)となっている。わずか3年で1万人も生徒数を増やしているのだ。

子どもが減っていく中で、こういう形で生徒数を増やしていくプレーヤーがいれば当然、「昔ながらの大学受験予備校」はどんどん衰退していく。

そこに加えて、「参入組」も増えてきた。分かりやすいのは「アルプスの少女・ハイジ」のCMでおなじみの「家庭教師のトライ」だ。学習塾指数がガクンと落ち込んだ2023年、難関大学合格を目指す高校3年生・高卒生を対象に、「大学受験予備校のトライ」をスタートした。
 
もともとトライは家庭教師業界の中のトップで、2022年度入試では1万6204名の大学合格者を出していた。そこが満を持して「予備校なのに完全個別」というスタイルを始めた。

ニチガクのようにいくら40年以上の実績があろうとも、「少人数制授業」「スタディルーム(自習室)で講師が巡回していて質問できる」くらいが特徴という「昔ながらの予備校」はどうしても霞んで見えてしまうのも致し方ないだろう。

「先払い」に注意……計画倒産も

そこに加えて、学習塾・予備校の倒産が増えていく理由として、今回のような「先払いビジネス」がある。

今回、一部で報道されているが、ニチガクは昨年から経営が悪化していたにもかかわらず、冬期講習を名目に多くの生徒から授業料を前払いで受け取っていた。

しかも、経営が傾いてから経営者がコロコロ変わり、現社長は経営の素人。前社長らは今も高級マンションで生活していることなどから「計画倒産」の疑いまでかけられている。

このような疑惑は、2018年に破綻した振袖レンタル業者「はれのひ」や、脱毛サロン、英会話教室の倒産劇でもよく指摘された。「先払いビジネス」を悪用してカネを集めるだけ集めてドロンということをもくろむ詐欺師が、この世の中には確かに存在する。そのような「闇の仕事師」が、苦境の大学受験予備校を悪用していく可能性が高いのだ。

「ヤバい予備校」を選ばないためには?

では、そのようなリスクが増す中で、「ヤバい予備校」を選ばないためにはどのようなところをチェックしていけばいいか。

まず基本的なところで言えば、「大学受験」だけの予備校を選ぶのはやめた方がいい。パッと見た感じ、大学受験に特化しているところの方が、任せて安心のような印象を受けるだろうが、実はこれは経営的にはかなり危ない。

これから日本の少子化は加速度的に勢いが増すからだ。子どもが激減する中で教育ビジネスを成功させるには、幅広い世代をカバーしていくしかない。その道を放棄している、やりたくてもできないというところは、これから年を追うほど経営は厳しくなっていく。

実際、先ほどの臨海セミナーや東進、駿台、代々木ゼミナール、早稲田ゼミナールなど名だたる大手予備校・学習塾は小学生コースから完備している。

そのような経営スタイルに加えてチェックしておくべきなのはSNSだろう。本来、少子化で苦しんでいる業界なのだから、生徒の勧誘や定着を促すためにもSNS戦略を有効に活用するのが筋だ。実際、大手・学習塾や予備校の公式SNSでは、受験情報はもちろん、オリジナルの勉強法などを積極的に発信している。

しかし、ニチガクはそれほど熱心ではなかった。X(旧Twitter)に関しては、公式アカウントは2022年5月3日の「毎年、多くの生徒が上智大学に合格しています」という投稿が最後だ。

インスタグラムはニチガク予備校新宿本校(大学入試戦略相談室)という教育コンサルタントが投稿をしていて、昨年6月くらいまでは積極的に発信をしていたが最近はほとんどない。

不祥事企業では、こういうパターンは非常に多い。本来やらなくてはいけない施策をやっていないというのは、組織内部に何かしらの問題が発生して、そのような施策をやれるほど余裕もモチベーションもないのだ。

これから学習塾・予備校は厳しい淘汰(とうた)の時代に突入する。これらのチェックポイントを参考に「被害者」にならないようにしていただきたい。

この記事の筆者:窪田 順生
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。
(文:窪田 順生)

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