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心筋梗塞や脳梗塞を起こすことも……命にかかわる糖尿病のリスク【医師が解説】

オールアバウト / 2025年1月24日 20時45分

心筋梗塞や脳梗塞を起こすことも……命にかかわる糖尿病のリスク【医師が解説】

【医師が解説】糖尿病は全身の血管に深刻な影響を与え、糖尿病網膜症や腎症、また、命に関わる心筋梗塞・狭心症・脳梗塞などの深刻な合併症を引き起こします。合併症のリスクを、分かりやすく解説します。

糖尿病は、「血糖値が高い状態が続く病気」です。高血糖が続くと、全身の血管が深刻なダメージが受けることになります。全身の血管がむしばまれることで、命に関わるさまざまな合併症が引き起こされるです。これらの「血管障害」こそ、糖尿病の本当の怖さと言えるでしょう。

糖尿病による血管障害は、主に細小血管障害と大血管障害の2種類に分けられ、体への影響はそれぞれ異なります。これらの障害がどのように健康を脅かすのかを、分かりやすく解説します。

糖尿病の合併症として起こる細小血管障害……網膜症・腎症・神経障害など

糖尿病が進行し、血糖値が高い状態が続くと、細い血管(細小血管)にダメージが蓄積されます。細小血管障害が引き起こす主な合併症には、以下のようなものがあります。

1. 糖尿病網膜症
目の網膜にある細小血管が傷つくことで発症します。初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると眼底出血や網膜剥離を引き起こし、最悪の場合失明に至ることもあります。糖尿病は成人における失明原因の第3位となっています。

2. 糖尿病性腎症
腎臓の糸球体という細小血管の集まりが障害されることで、腎臓の働きが低下します。進行すると腎不全となり、人工透析が必要になることもあります。糖尿病は、透析患者の原因疾患として第1位を占めています。

3. 糖尿病性神経障害
神経に酸素や栄養を供給する細小血管が障害されることで、手足のしびれや痛み、感覚の鈍さが生じます。この結果、足の傷に気づかず放置してしまい、感染や壊死など重症化する場合があります。

上記のような糖尿病による細小血管障害の発症や進行を抑えるには、血糖値を適切にコントロールすることが重要です。多くの研究から、HbA1cを7.0%未満に維持することが目標とされています。

糖尿病の合併症として起こる大血管障害……心筋梗塞・狭心症・脳梗塞など

糖尿病は、動脈硬化を進行させる病気でもあります。動脈硬化は大きな血管(大血管)にダメージを与え、以下のような重大な疾患を引き起こします。

1. 心筋梗塞や狭心症
心臓の冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで発症します。糖尿病患者では、心筋梗塞や狭心症を発症するリスクが2~4倍に増加し、命に関わることも少なくありません。

2. 脳梗塞
脳の動脈が詰まることで脳梗塞を発症します。半身麻痺や言語障害などの後遺症が残る場合があり、生活の質を大きく低下させることがあります。

3. 末梢動脈疾患(PAD)
足などの末梢の動脈が狭くなったり詰まったりすることで、痛みや潰瘍、壊疽(組織の壊死)が生じます。進行すると最悪の場合、足の切断が必要になることもあります。

大血管障害は、動脈硬化の進展によって引き起こされます。糖尿病に加え、高血圧、脂質異常症(高LDLコレステロール血症、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症)、喫煙、肥満、加齢、ストレスなどの要因が動脈硬化をさらに悪化させます。

糖尿病がある場合、これらのリスクを抑えるためには、血糖値を正常に保つことが重要です。多くの研究により、HbA1cを6.0%未満に維持することが推奨されています。

まとめ

糖尿病が全身の血管に及ぼす影響は深刻であり、放置すれば命に関わるリスクを高めます。目や腎臓、心臓、脳、そして足など、全身の重要な部位が影響を受けるため、糖尿病は「全身病」とも言えるのです。しかし、糖尿病による合併症は早期発見による適切な治療で予防や進行を遅らせることが可能です。

糖尿病と向き合い、定期的な検査を受けることで、健康な未来を守る一歩を踏み出しましょう。

荒牧 昌信プロフィール

日本内科学会総合内科専門医。「やさしい言葉とわかりやすい説明」をモットーに、クリニック院長として外来診療に従事。糖尿病・生活習慣病に関するセミナー・講演会も多数。ひとりでも多くの人が健康的な生活を送れるよう、役立つ医療情報を発信中。
(文:荒牧 昌信(医師))

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