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【バカリズム脚本】話題ドラマ『ホットスポット』の魅力とは? 元テレビ局スタッフが徹底解説!

オールアバウト / 2025年1月25日 11時55分

【バカリズム脚本】話題ドラマ『ホットスポット』の魅力とは? 元テレビ局スタッフが徹底解説!

バカリズムさん脚本のドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系)が、面白過ぎると話題になっています。この記事では、『ホットスポット』の魅力を、元テレビ局スタッフが解説します。(サムネイル画像出典:『ホットスポット』公式Webサイトより)

お笑い芸人・バカリズムさんが脚本を担当するドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系)が、面白過ぎるとSNSなどで話題を集めています。第1話はTVerでの総再生数が、配信開始から11日間で307万回を突破。そこまで目立った視聴率ではないものの、TVerでお気に入り登録は73万人を超え、今期の冬ドラマでは常にTOP3に入る人気です。

しかし、まだ見ていない人の中には、摩訶(まか)不思議な設定やストーリーを楽しめるのかと不安視している人もいるでしょう。そこで、この記事では、冬ドラマとして絶対に見逃せない傑作である『ホットスポット』の魅力を、元テレビ局スタッフが分かりやすく解説します。

『ホットスポット』はどんな内容のドラマ?

今回取り上げる『ホットスポット』は、山梨県のとある田舎町が舞台の“地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー”ドラマです。制作陣は、バカリズムさんと2023年にドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)を生み出したチームが再集結。市川実日子さん演じるビジネスホテルに勤める遠藤清美が主人公で、清美がひょんなことから宇宙人と出会い物語はスタートします。

 清美は、シングルマザーで世の中の酸いも甘いも経験してきた女性です。だからか、宇宙人の存在に取り乱すことなくすんなりと受け入れ、なぜか仕事や私生活のささいな騒動の解決を依頼するようになります。この設定が、作品に妙な面白さを生み出し続けます。

このドラマには、市川さんのほか、お笑いトリオ・東京03の角田晃広さん、鈴木杏さん、平岩紙さん、夏帆さんといった個性派俳優が出演。さらに、小日向文世さん、野呂佳代さん、坂井真紀さんが参加し、第3話以降では木南晴夏さん、池松壮亮さん、菊地凛子さんが登場する予定となっています。

壮大なことが起こらない、新感覚のSFドラマ!?

そんな『ホットスポット』ですが、作品の魅力はほかのドラマにない秀逸な脚本になります。これまでの宇宙人を扱ったドラマや映画から見ても、かなり異色の作品です。

まず、宇宙人を題材としながらも、異世界との交流や地球侵略といった壮大な出来事は現時点ではまったく起きません。それどころか、宇宙人がここまで能力を使って実行したことは、10円玉を指で曲げることやホテルのテレビを持ち去った犯人を見つけるなど、ささいなトラブル解決ばかり。序盤で主人公が車にひかれそうになったところを助けた以外は、大活躍とはいえない状況です。通常、宇宙人が登場する作品は、何かしら大きなトラブルや出来事が起きるところ。しかし、『ホットスポット』は特別なことがなく、淡々と日常の様子が描き出されます。

この普通のドラマにはない「ハズし」のテクニックは、バカリズムさん脚本で2020年に放送した『殺意の道程』(WOWOW)に通じるところがあります。この作品では、父親を自殺に追い込んだ男への復讐(ふくしゅう)を企てる主人公たちを描くサスペンスに挑戦。殺しのトリックや残虐な復讐(ふくしゅう)劇が見られるかと思いきや、作品では打ち合わせや道具の買い出しなど普通のサスペンスドラマでは描かれない“無駄”なシーンが多く登場しました。今回の『ホットスポット』も無駄なシーンが多いのですが、独特な世界観の構成に一役買っています。

 また、ここから若干のネタバレを含みますが、第1話でいきなり宇宙人が誰なのか、重要な部分があっさりと明かされます。宇宙人は角田さん演じる高橋孝介なのですが、見た目もファッションもどこにでもいる冴えないおじさん。角田さんが、抜群の演技力で普通の中年を熱演していますが、能力を使うときでさえ変身するわけでもなく普通のおじさんのまま。このなんともいえない独特な世界観がバカリズムワールド全開で、一度見ると癖になってしまう中毒性を持っています。

バカリズムならではの絶妙な会話劇が面白い

これまでドラマや映画の歴史を変えてきたバカリズムさんですが、『ホットスポット』も新感覚のドラマに仕上がっています。前述したように、宇宙人・高橋が活躍する場面は独特なものばかりです。

第2話では小学校の体育館にて、天井に挟まったボールを驚異的な運動能力で取ることに。その流れで、小学校の校庭に落書きする愉快犯を成敗するのですが、そもそも高橋自身もボールを取るために学校に不法侵入している身分。勧善懲悪な雰囲気もなく、何を訴えかけているのかよく分からないままストーリーは進んでいきます。

また、至る所で繰り広げられる会話劇の面白さも秀逸です。バカリズムさんといえば、連続ドラマの脚本にて初執筆となった『素敵な選TAXI』(カンテレ・フジテレビ系)で、竹野内豊さんが演じる主人公・枝分のユーモラスな会話が話題となりました。また、2017年に放送した『架空OL日記』(読売テレビ)では、リアリティーあふれるOLたちの会話劇を描き出しています。同作は、バカリズムさんが原作・脚本・主演まで担当した意欲作。更衣室や休憩室で繰り広げる女子ならではのトークが妙にリアルで、女性視聴者たちから共感を得ることに成功しています。

『ホットスポット』でも、主人公・清美を中心に、友人の日比野美波(平岩紙)と中村葉月(鈴木杏)が喫茶店やレストランでどうでもいい会話を展開します。会話の内容は、昔話からテレビを見た感想など世間話ばかり。ただ、そんな世間話はあるある要素が満載のセリフで構成され、いつまでも聞いていたくなるような気持ちのいいテンポで3人が雑談を繰り広げます。

 さらに、清美は同僚である都市伝説好きの磯村由美(夏帆)とも、他愛もない会話を披露。この会話が絶妙にストーリーとリンクしていき、いつの間にか視聴者も一緒に山梨県の田舎町に住んでいるような錯覚に陥っていくのです。

また、ドラマには細かな伏線が用意されています。第2話で高橋に退治された愉快犯は、第1話にも声のみ登場していたことが後に判明。細かい設定やセリフにこだわっているので、現在行われている世間話が壮大な伏線になっている可能性もあり、ドラマに緊張感を持たせて面白くしています。

バカリズムの脚本を表現できるレベルの高い俳優陣の演技力

さて、ここまで『ホットスポット』の魅力を解説してきましたが、俳優陣の演技力も魅力です。市川さんや角田さんをはじめ、ほかの出演者も絶妙に気持ちのいい間でセリフを発します。この独特なテンポ感は、これまで芸人として傑作のコントやピン芸を見せてきたバカリズムさんだからこそ作り出せるもの。その脚本をしっかりと演技で表現できる名俳優が、『ホットスポット』にはそろっています。

脚本も俳優も素晴らしい『ホットスポット』ですが、SNSでは考察祭りが起きていて、「高橋のほかにも宇宙人がいる」「舞台が2025年ではなくかなり未来の話」などさまざまな意見が書き込まれています。これはほかのドラマにはない現象であり、それだけ摩訶不思議なストーリーが続く『ホットスポット』に、視聴者が熱狂している証拠でしょう。

間違いなく、今期の冬ドラマで一番の問題作であり、見逃せない作品の『ホットスポット』。まだ見ていない人も、見逃し配信サービスなどで追いつけるので、ぜひバカリズムワールドにドップリとハマることをおすすめします。

この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。
(文:ゆるま 小林)

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