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男性の「平均寿命」が世界1位の国といえば? 世界屈指の長寿国に住んで感じた長生きの理由

オールアバウト / 2025年1月31日 20時15分

男性の「平均寿命」が世界1位の国といえば? 世界屈指の長寿国に住んで感じた長生きの理由

世界的にも有名な長寿国として知られる日本の平均寿命は、最新のデータでは女性が1位で男性は5位。ヨーロッパにも世界有数の長寿国が存在しますが、筆者が暮らす国もその1つ。人々の生活習慣には、どんな特徴があるのでしょう。

失礼ながら、筆者はこれまでスイス人に対して長寿というイメージを持っていませんでした。確かにナチュラルなライフスタイルを心がける人は少なくないし、他のヨーロッパ諸国の人と比べると痩せ気味ですが、日本人より全然ふくよか。

特に食生活はチーズやオイルたっぷりの料理に、砂糖とバターがたんまり含まれたスイーツなどで、和食に慣れている日本人から見るとヘルシーとは言い難いもの。まさか、そんなアルプスの民が私たち日本人と向こうを張るほどの長寿だなどと誰に想像できるでしょう?

スイスの男性は世界一のご長寿だった

【図1】平均寿命の国際比較(厚生労働省「令和5年簡易生命表」よりAll About ニュース編集部作成)厚生労働省が公表した平均寿命の国際比較(【図1】令和5年簡易生命表より)を見ると、2023年度は日本人が女性で第1位(87.14歳)、男性が順位を下げて第5位(81.09歳)であるのに対し、スイス人は女性で第2位(85.9歳)、男性は第1位(82.3歳)と大健闘しています。

こうなると、スイス人の健康の秘訣(ひけつ)がどこにあるのか気になりますよね? スイス在住の筆者が独断と偏見で理由を考えてみました。

長生きの秘訣1. アルプスの民に根付くスポーツ魂

スイス人は自転車通勤 出典元: PixHound / Shutterstock.comスイス人はとにかくよく動きます。

職場は遠くても自転車通勤がファーストチョイスで、日本人なら電車に乗るような距離でもヘルメットを着用して自転車で爆走します。犬を飼っていれば1日複数回の散歩は基本で、雨が降ろうと傘もささずにいそいそと出かけます。

休暇先といえば夏はキャンプかハイキング、冬はスキーと相場が決まっており、バケーションの季節には「どの山に出掛けるか?」という話題で持ち切り。大和魂ならず、アルプス魂とでもいいましょうか。

フィットネスジムに入会すれば周りは鍛え上げた人だらけで、午前中のクラスともなれば細マッチョなご年配であふれかえっています。筆者は間違えて60歳以上を対象としたクラスを受講したことがあるのですが、体力でも筋力でもスイス人シニアたちに惨敗を喫して涙目となりました。

こんな調子ですので、コロナ禍のロックダウンでスーパーマーケットと薬局以外へのアクセスを禁止された際にも、人々は近所の野原や山をひたすら散歩するという通常運転を続けていたのが印象的でした。

長生きの秘訣2. 水質のよさ

チューリヒ市内を流れる川。スイスはどこへ行っても水の透明度が驚くほど高い人間が生命を営むうえで不可欠なものの筆頭は水でしょう。

スイスの飲料水はアルプス山脈からの湧き水や地下水からの天然水が約80%を占めており、水質が厳しく審査・管理されています。蛇口をひねると日本では考えられないような無味無臭のおいしい水を飲むことができますし、チューリヒ市内を流れる川やジュネーブほとりのレマン湖は水底が余裕で見えるほどの透き通り具合。水質のよさは一目瞭然です。

特にスイス三大都市であるバーゼル、チューリヒ、ジュネーブの優れた水管理は国際的にも高く評価されており、2010年の上海万博では汚染克服方法や塩素を使用しない上水の浄化技術などのサクセスストーリーが紹介されていたほど。

スイス国内ではどこでも見られる路上の水飲み場。足元にある貝殻型の器は犬用!水道水に添加される塩素も最小限にとどめられており、その制限値はスイスでは 1Lあたり「最大0.1mg」となっています。一方、日本では残留塩素濃度を「0.1mg以上」保持するよう定められており、上限は1mg以下に抑えるという目標値が設定されている(水道法施行規則第17条第3号/東京都水道局)ようです。

生涯にわたり毎日使用し続けるものですし、飲用や入浴で体内に取り入れる水の質は塵も積もればで、水質のよさがスイス人の健康に貢献している可能性は十分にあるでしょう。

長生きの秘訣3. 有機食品の消費額が日本の33倍?

加えて、スイス人の食の安全に対する意識の高さも見逃せません。

ヨーロッパでは、第一次世界大戦後から合成化学肥料や農薬を使用した近代農業が環境・健康被害を引き起こしているとする社会運動(オーガニック・ムーブメント)が起こりました。その上、山岳国スイスは農牧適地面積の少なさを補うため、有機農業による高付加価値化を国家を挙げて推し進めてきた経緯もあり、有機食品が大変普及しています。

【図2】国別1人あたりの年間有機食品消費額(2022年)出典:農林水産省「有機農業をめぐる事情」より【図2】のグラフは2022年の「国別1人あたりの年間有機食品消費額」ですが、スイスがトップの6万円強で、2位のデンマークに約1万円もの差をつけています。3位以下は欧州諸国が続き、日本はかなり下がって1800円弱と世界平均(2346円)をも下回っています。(※2025年1月30日現在は1ユーロ160円程度)

いくらスイスが物価高とはいえ日本の33.6倍もしませんし、単純にスイスでは食の安全に投資する人が圧倒的に多いということなのでしょう。

しかもスイス認定のオーガニック認証ラベルはEU諸国よりもさらに基準が厳しいものが多く、化学合成農薬と化学肥料だけでなく、遺伝子組み換え技術や放射線照射の禁止、時には環境への配慮から飛行機での輸送まで厳格に規制するなど、大変高いスタンダードを保持しています。

他にも、スーパーマーケット内に大きなBIO(有機食品・生活用品)コーナーが設けられていたり、地元の有機農家からの野菜・肉の配達サービスが充実していたりと、健康的なオーガニックライフはスイス人の大きな支持を得ており、生活の一部に溶け込んでいると言えます。

このように摂取する食品に気を付ける姿勢も、スイス人全体の寿命を延ばしている一因なのではないでしょうか。

過去にスイスの公共放送局SRF(Schweizer Radio und Fernsehen)が制作した動画では、スイス人が長生きする理由として「物質的豊かさ」、「幸福度」、「牛乳とチーズ」を挙げています。長寿の要因は複合的で断言しづらいものがありますが、長寿国の暮らしの中に参考にできる長生きのヒントが隠れているかもしれません。

<参考>
「令和5年簡易生命表」(厚生労働省)
「水質に関するトピック 塩素消毒」(東京都水道局)
「有機農業をめぐる事情」(農林水産省)

この記事の筆者:ライジンガー 真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。(文:ライジンガー 真樹)

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