エアコン暖房を一晩中つけっぱなしにしていると、電気代はいくらになる？【家電のプロが回答】

寒さの影響で、一晩中暖房をつけている人もいるかもしれません。この場合、電気代はいくら程度になるのでしょうか。「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が解説します。

寒さが厳しいこの季節。眠っている一晩中、暖房をつけっぱなしにしている人もいるかもしれません。電気代はいくらくらいになるのでしょうか。

「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が解説します。

 （今回の質問）
一晩中暖房をつけっぱなしにしていると、電気代はいくらになりますか？

（回答）
部屋の大きさや断熱性能、設定温度などによってまちまちですが、一晩で100～200円ほどかかる可能性があります。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

100～200円ほどかかると考えられます

一般的なエアコンは、室温が設定温度に近づくと温度を一定に保つ制御が働くため、同じ設定でも消費電力は常に一定ではありません。さらに、エアコンを設置する部屋の広さや断熱性能、気温の変化などによっても消費電力、つまり電気代は変化してきます。一概にいくらというのは難しいのです。

そこで今回は、参考になる実験結果を紹介します。ダイキンが2017年に行った実験によれば、深夜（23時）から早朝（6時）まで7時間エアコンをつけっぱなしにした場合、消費電力量は約5kWhとのこと。当時は1kWhあたりの電力料金単価を27円としていますが、現在は1kWhあたり31円で計算するため、7時間で約155円という結果になります。

この実験を行った際の条件は、天気は「くもり時々晴れ、一時雨（12月26日）」、最高気温は7.8℃（12月26日）で、エアコン設定は「暖房24℃、風量自動」でした。また、部屋は約14.1畳のリビングルームを想定し、使用したエアコンは「うるさら7 RXシリーズ（S40VTRXS‐W 4.0kW）」（主に14畳用）です。そのため、さらに狭い寝室で設定温度を下げて使用した場合、より電気代が安くなる可能性があります。目安としては、大体100～200円ほどかかると考えておくとよいのではないでしょうか。

電気代を抑えて快適に一晩中使うには

エアコンを一晩中つけっぱなしにして寝たい場合、以下のような点に気を付けることで、電気代を抑えながら快適に過ごすことが可能です。

設定温度を見直す

就寝時には少し低めの温度設定にするのがおすすめです。環境省では、暖房時の室温の目安を20℃としていますが、寝る時はそれよりも少し低い18～20℃程度に設定すると、快適に過ごせるでしょう。

寝具を工夫する

エアコンの設定温度を低めに設定する場合は、保温性の高い寝具を使用することで、暖かく快適に過ごすことができます。羽毛布団や毛布、フリース素材のパジャマなどを活用するとよいでしょう。足元が冷える場合は、湯たんぽなどを併用することで、体全体を暖かく保てます。

就寝時用のモードを活用する

エアコンに「おやすみモード」や「快眠モード」などが搭載されている場合は、積極的に活用しましょう。これらのモードは、就寝中の体温変化に合わせて温度を自動で調整してくれるため、快適な睡眠をサポートしつつ、無駄な電力消費を抑える効果が期待できます。

加湿器を併用する

乾燥した空気は体感温度を下げてしまいます。加湿器を使って部屋の湿度を上げることで、体感温度を上げられるので、エアコンの設定温度を下げることができます。

室内機・室外機をメンテナンスする

一晩中使用したい場合に限った話ではありませんが、エアコンのフィルターが汚れていると、暖房効率が低下し、無駄な電力消費につながってしまいます。2週間に1回程度、定期的にフィルターを清掃しましょう。また、室外機の周辺に物を置いていると、暖房効率が低下する可能性があります。室外機の周辺は風通しが良くなるように、ものを置かないようにしましょう。

この記事の筆者：安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。
(文:安蔵 靖志)