家事育児をしない夫を改心させるには? 離婚届を突きつけたワンオペ妻が夫に「指示したこと」
オールアバウト / 2025年2月4日 22時5分
家事育児をしない男性はいまだに多い。ワンオペで働く妻が愚痴ると、「じゃあ仕事やめれば」とのたまった42歳男性もそのひとりだった。しかしその後、彼は妻へ心からの謝罪をすることになる。そのきっかけとは何だったのだろうか。
夫が担う家事といえば、相変わらず「ゴミ出し」とせいぜい「風呂掃除」。妻が専業主婦なら、それさえもしないという男性がまだまだ多いようだ。
家にいても家事をしない夫
ヒロキさん(42歳)も、そんな夫達のひとりだった。10年前に結婚したサエさんとの間には9歳と7歳の男の子がいる。サエさんはパートで1日5時間ほど働きながら、ほぼワンオペで家事と育児をこなしてきた。「下の子が1歳の時、妻が子ども達を預けて働くと言い出した。僕の給料はたいしたことはないけど、会社の借り上げ住宅に住んでいるから家賃は安い。やりくりすれば一家4人、暮らせない額ではないし、いざとなれば両方の親だって助けてくれるはず。そう言ったら『私は親には頼りたくない。私たちの家庭なんだよ』って。
じゃあ、家事育児に支障がないようにしてよねと言いました。家事育児は妻の仕事だと思っていたんですよ、あのころは」
自分の子なのに、具体的な世話は妻に任せ、父親としては一緒に遊ぶことくらいしかしなかった。しかも週末のどちらかは接待ゴルフや友人との遊びに明け暮れていたという。
「コロナ禍で週末、家にいるようになっても家事はしませんでしたね。妻が少しでも愚痴ると、『じゃあ、働くのやめればいいじゃん』と言ってた」
妻にいきなり離婚届を突きつけられて
昨年、下の子が小学校に入学した日、妻はいきなり離婚届を突きつけてきた。もう無理、我慢できない、これなら1人で子どもたちと暮らした方がよっぽどいい。サエさんはそう言ってヒロキさんをにらんだ。「なにがどうなってそうなったのか、まったく分かりませんでした。僕ら夫婦はケンカしたこともない。友達にもそう言っていたくらいだったから」
離婚ってなに、頭おかしいんじゃないのとヒロキさんは笑い飛ばした。サエさんはさらに怖い顔になり、「だからもう無理。そういうこと言われるのがつらすぎる」と叫んだ。
「その日、子どもたちは妻の実家に行っていました。妻はわざわざ実家から戻ってきて僕に離婚届を突きつけたわけです。そしてそのまま実家へと戻っていきました」
テーブルの上に置かれた、妻のサイン済みの離婚届だけが残された。
「家事育児なんてどうってことない」と思っていたけど
妻の反乱だと受け止めていたヒロキさんは、翌日、仕事が終わってから妻の実家へ行った。さあ、帰ろう、僕にはサエが必要なんだと言えば、妻はあっさり帰ってくると高をくくっていた。「ところが妻は、きちんと話を聞いてくれない限り帰らない、と。とにかく子どもを連れて帰って、1週間ほど生活してみてほしい。私がやっていたのと同じような食事もさせてよねと。ああ、分かった。家事育児が大変だからすねてるわけねと思って、そのくらいどうってことないよと大見得を切りました」
子どもの世話を放棄するなんて、主婦としても母親としても失格だよとヒロキさんは捨てゼリフをサエさんにぶつけた。
「結婚前は僕も1人暮らしだったから、家事くらいなんてことない。ところが、家に帰る前にスーパーに寄ったのですが、子どもたちがうろちょろするから買い物もままならない。黙ってついてきなさいと大声を上げながらようやく買い物を済ませ、帰ると子どもたちがおなかがすいたと大騒ぎ。
とりいそぎ買ってきた菓子パンを食べさせて、夕飯の支度をして、食事が終わったら息子たちを風呂に入れました。さあ寝かせようと思ったら、上の子が『学校からのプリントがある』と。運動会に向けての準備として何やら持っていかなければならないものがあるらしい。
確認してから皿洗い。朝食の下準備をして僕が寝たのは午前1時を回っていました」
翌日は6時に起きて子どもたちを起こしつつ朝食の準備。とはいえ時間がなくてまたも菓子パン。妻は朝から菓子パンなんてことはなかったなと思いがよぎる。
「今日の夕飯はどうしようか。ランチをとりながらそんなことを考えていたら、午後イチの仕事で数字をミスってしまいました。義母から電話があって、僕が帰るまでうちで子どもたちを見ていてくれるという。それだけはサエが指示したそうです」
ヒロキさんは4日ほどでもう無理だとさじを投げた。
「4日間、結局、洗濯は1回したけど部屋干ししたまま。掃除は1回もしていません。夕飯を作って、子どもの学校のことを確認して風呂に入れて寝かせる。それしかできない。朝食はずっと菓子パンですよ」
妻へ心からの謝罪
初めて、妻がどれほど苦労していたかが分かった。ほとんど文句ひとつ言わず、妻は仕事をしながら家事育児を完璧にこなしていたのだ。それなのに自分は、今日はおかずが少ないね、なんて何の気なしに言ってた。冷凍食品が出てくると「手抜きしてる?」とつぶやいたこともある。「食事の用意がこんなに大変だったとは。1人暮らししていたとはいえ、僕が作っていたのは1人用の鍋とかパスタとか、そういうものばかり。妻の料理は栄養のバランスが考えられていた。野菜も多かった。僕には野菜料理は面倒でできない」
妻の実家へ足を運び、心から謝罪した。自分1人では家庭はどうにもならない。家の中も子どもたちの心も日に日に荒れていくように思う。今後は頑張るから、戻ってきてほしいと妻の前で離婚届を破った。
「稼いできてくれるのはありがたいと思ってる。私、あなたの給料日にいつもありがとうって言ってるよね。でもあなたは、私にありがとうも言ったことがない。家庭内のことは私がやって当然、しかも完璧で当然と思われていることがつらい」
サエさんにそう言われて、一言も反論できなかったとヒロキさんは言う。
現在は平日1日、週末の2日間はヒロキさんが食事を担当している。洗濯機を買い換え、お掃除ロボットや食洗機も導入した。少しでも妻の負担を減らそうと考えたのだ。
「家事育児をすべて担当した4日間、僕はほぼパニック状態でした。何もうまくいかない、料理もろくにできない、ごはんが固かった、味噌汁はまずい。1日だけならなんとかなっても、4日連続となると……。妻はそれを365日×10年近くやって来たんだと思うと、さすがに申し訳なくてたまらなかった」
妻の笑顔が変わった。以前よりずっと心から笑っているのが分かるようになった。家事の重要さが身に染みましたとヒロキさんは恥ずかしそうな笑顔を見せた。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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