「保活は妊娠中に始めないと」33歳・育休中女性、保活は個人戦ではなく“団体戦”だと嘆くワケ
オールアバウト / 2025年2月1日 21時25分
2016年「保育園落ちた日本死ね」と激しい言葉で母親の怒りがつづられた匿名ブログが話題を呼び、保活の厳しさが注目を集めるきっかけとなった。あれから9年、待機児童数は減少傾向にあるが、子育て世代から聞こえてきたのは「保活の厳しさ」だった。
「保活」とは、認可保育園への入園を目指して行動すること。2016年「保育園落ちた日本死ね」と激しい言葉で母親の怒りがつづられた匿名ブログが話題を呼び、保活の厳しさが注目を集めるきっかけとなった。あれから9年、待機児童数は減少している傾向にあるが、子育て世代から聞こえてきたのは「保活の厳しさ」だった。
「早生まれの保活は厳しい」と聞いていたが……第5希望まで全て落選
「第5希望まで区の認可保育園を記入しましたが、全て落選しました」こう語るのは、ミチコさん(仮名/33歳/会社員)だ。都内在住のミチコさんは現在育休中。3月に子どもを出産し、1年後の職場復帰に向けて3月期の途中入園を希望したが、届いたのは「不承諾通知書(落選通知)」だった。
「区の公式Webサイトには随時、途中入園のための保育園の空き情報が掲載されていて、最新の空きが数人あり、家から徒歩15分圏内の園を記載しました。『早生まれの保活は厳しい』とは聞いていたものの、5つ書けばどこかには入れると思っていたんです」
ミチコさんが“どこかには入れるだろう”と思ったのは、自治体が待機児童ゼロをうたっていたことも大きかった。落選通知を受け取ったミチコさんは「あわてて認可外保育園を調べ始めた」という。
「保活は妊娠中に始めないと」園には入れるが、“希望の園”には入れない現実
ミチコさんは、区のサービスや子育て広場などで、保活に関する情報を集めるようになった。出会った保活仲間のママ友からは「保活は妊娠中に始めないと。情報戦だよ」と言われたそうだ。ミチコさんは早生まれの子どもを持つ多くのママ友が妊娠中に保活を始めていたことにとても驚いたという。「妊娠中、つわりをはじめとした体調不良に悩まされ、早めに仕事を休んで田舎に里帰りしていました。子どもが元気に生まれてくるかすら分からないのに、保育園のことなんて考えられない」と本音を漏らす。
さらに話を聞いていると、「待機児童ゼロ=必ずしも希望の園に入れる」のではなく、希望の園に入れない場合も多く、認可外や、保育室、幼稚園の延長サービスなど、“代替手段”を使って、どうにか職場復帰を目指しているという現実も見えてきた。
「ママ友や区役所の職員の話を聞いて、保育園は本当に情報戦なんだなということに気付きました。自分の認識の甘さが招いた結果だなという感じです」
そう言って、ミチコさんは肩を落とす。
保活失敗に関して、ミチコさんは“自身の責任”だと語るが……果たして本当に母親だけの責任だろうか。
最新の保活事情を取材してみると……
ミチコさんのように、保活に苦労したエピソードを持つ親は多いようだ。筆者の周囲で子どもを持つ人に保活エピソードを聞いてみると、以下のような体験談が集まった。保育園に入れるために就職
「子どもが0歳の時は、社会人学生かつ途中入園だったため、認可保育園は落選。無認可の保育園に入れたが、1歳の4月に認可保育園に入れるため、保育園の書類に間に合うように急いで就活をし、入園した」(33代女性/九州在住)希望の園は諦め、保育室に入れた
「元から希望園は人気でなかなか入れないと聞いていた。育休の延長は厳しく、保育室(待機児童解消を目的として区が設置した保育施設)を当初から見学し、検討の末に入れた」(30代女性/都内在住)3人の子どもは全て別の園
「3人子どもがいるが、自身の就業状況が変化したため、それぞれ別の保育施設へ入れた。1人目は、当時の就業状況から認可保育園は厳しいと思い託児所へ。2人目は企業主導型保育園へ。3人目は、近くの認可保育園の0歳児クラスに希望を出したらタイミングよく空きがあり入園することができた。“とりあえず預け先を”という気持ちだった。保育園のありがたみをすごく感じた」(30代女性/関西在住)このように、希望園に入れたという人は少なく、子どもの入園に対して苦労した経験者は多い。
また、「娘たちは姉妹で別々の保育園に通ったが、保育園によって、親の休日の預かり可否が違った」(30代男性・東京在住)など、それぞれの園の特徴もあるため、希望の園に入れなかった場合の対策などは、家族で話し合っておく必要がありそうだ。
そんな中、保活に関するポジティブなエピソードも寄せられた。
「息子(1歳2カ月)を9月に認可保育園へ途中入園させた。定員は既にオーバーしていたものの、家から最も近い園だったため、検討したいと相談したら、副園長先生が各所と交渉し入園させてくれた。田舎だからこそ融通が利いたのかもしれないが、とてもありがたかった」(30代女性/関西在住)
保活の厳しさには地域差もありそうだ。
「待機児童ゼロ」でも希望する園には入れない現実
保護者たちは保活に関して、どのように感じているのだろうか。ベビー用品を展開するケラッタ株式会社が実施した保活に関するアンケートによると2024年に保活を経験した保護者329人のうち、82.4%が保活中は普段と比べてストレスが増えると回答した。
また、ストレスや悩みの周りへの相談状況を見てみると、 69.9%が保活中の悩みを「よく相談する」「多少相談する」と回答した一方で、27.4%の保護者が「あまり相談しない」「どちらとも言えない」と回答している。
「待機児童がゼロ」である自治体でも、希望する保育園に入れず、やむをえず保育料の高い認可外保育園を検討したり、兄弟が別々の保育園に通うことになったりなど、まだまだ厳しい現実もある。
冒頭のミチコさんは「1人で抱え込まず、早めに行政やママ友などと事前に相談しておくべきだった」と自身の保活を振り返る。
保活は個人戦ではなく、団体戦だ。
この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。
(文:毒島 サチコ)
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