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年金は繰下げして増やした方がお得なの? 注意したいこと5つ

オールアバウト / 2025年2月11日 18時30分

年金は繰下げして増やした方がお得なの? 注意したいこと5つ

公的年金の繰下げ受給は、年金額が最大で84%も増え、受給開始後は、増額した年金が生涯にわたってずっと続きます。ただし繰下げ受給をする上で注意点もありますので押さえておきましょう。

73歳から年金を受給開始し、平均余命まで生きると受け取り額は最大になり、お得?

「年金をできるだけお得に受け取りたい」と誰もが思うでしょう。年金をいつから受け取り、いつまで受け取るか、トータルの年金受給額で損得は決まります。

年金を多く受け取るために活用したいのは繰下げ受給です。公的年金の繰下げ受給は、年金額が最大で84%も増え※、受給開始後は、増額した年金が生涯にわたってずっと続きます。

※昭和27年4月1日以前生まれの方は、繰下げの上限年齢が70歳までなので増額率は最大で42%

繰下げ増額率と平均余命からみた総受給額倍数

公的年金を73歳から受け取ると、平均余命まで生きた場合の受取額が最大に。厚生労働省「2024年簡易生命表」を参考に筆者作成
実際、男女とも73歳から公的年金を受給し平均余命(男性86.49歳・女性90.4歳)まで生きるとトータルの年金受け取り額は最大となります(2024年簡易生命表の平均余命から算出した総受給額倍率による)。

そのため「73歳から繰下げ受給するのがお得です」と言いたいところですが、年金の繰下げには注意点もあります。5つの点を押さえておきましょう。

繰下げ受給する時の注意点5つ

繰下げをする際は、以下の5つの点に注意しましょう。

①繰下げ待機(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができません。また、加給年金額や振替加算額は繰り下げによる増額の対象になりません。

②繰下げ待機中に亡くなった場合は、遺族からの請求により、65歳時点の年金額を決定した上で、過去分の年金額が一括して支払われます。ただし、請求した時点から5年以上前の年金は時効により受け取れなくなります。遺族がもらえる遺族年金の金額も同様、65歳時点の年金額で計算されます。

③年金受給額が増額することにより、医療保険・介護保険の自己負担額や保険料が増加し、所得税・住民税も増える場合があります。

④日本年金機構と共済組合から複数の老齢厚生年金を受け取ることができる場合は、原則全ての老齢厚生年金について同時に繰下げ受給となります。

⑤厚生年金基金または企業年金連合会(基金など)から年金を受け取っている方が、老齢厚生年金の繰下げを希望する場合は、基金などの年金もあわせて繰下げとなります。

次からは繰下げ受給を活用する方法を考えてみます。

繰下げ受給の活用方法

繰下げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰下げることができます。

例えば、「70歳まで働くつもりだけど、給与収入だけで生活するのは厳しい。だけど年金額も増やしたい」場合、老齢基礎年金、老齢厚生年金のどちらか一方を65歳から受給し、一方を繰下げ受給することも可能です。

女性は長生きなので、老齢基礎年金のみ繰下げておくという選択肢も

結婚している女性の場合、女性は男性に比べて平均寿命が長いので、夫が先に亡くなると、女性が受給できる年金だけでは生活が苦しくなる可能性があります。そういった不安がある方は、老齢基礎年金のみ繰下げておくとよいでしょう。また遺族厚生年金を受け取れる場合、遺族厚生年金の支給額は配偶者が65歳時点でもらえる老齢厚生年金の3/4と決まっていて課税されません。老齢基礎年金は繰下げた金額がそのまま受け取れます。

また、加給年金を受け取れる場合も、老齢基礎年金だけを繰下げるとよいでしょう。加給年金は老齢厚生年金を繰下げているときには支給停止になりますが、老齢基礎年金には影響はありません。

振替加算額を受け取れる場合、老齢厚生年金のみを繰下げするのも1つの手

妻が老齢基礎年金から振替加算額を受け取れる場合、老齢厚生年金のみを繰下げをすれば、老齢基礎年金と振替加算を受け取りながら老齢厚生年金を増やすことができます。
繰下げを活用するには? 出典・第12回社会保障審議会年金部会『繰下げ制度の柔軟化』(厚生労働省)
以上のように、繰下げ受給のメリットを生かしつつ、ご自身や配偶者の就労状況やライフプランなどに合わせて年金受給の方法を選択していきましょう。年金は一度受給を開始すると途中変更はできません。より確かな選択をしたい方は、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談しながら決めるのも1つの手段です。活用してくださいね。

執筆・監修/京極 佐和野(きょうごく さわの)さん

FPオフィス ミラボ代表、マネープランと働き方の両面から「稼ぐ・使う・借りる・貯める・増やす」をアドバイス。「情報がちまたにあふれ、どのような選択をすればいいのかわからない」方のために寄り添い、オーダーメイドの提案・実行支援を行っています。これまで1400人以上のライフプラン相談の経験とFP向け継続研修、企業向けライフプラン研修の講師として活躍。2024年からはJ-FLEC(金融教育支援機構)認定アドバイザーとしても活動している。
(文:All About 編集部)

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