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中学受験は親の頑張り次第で結果が決まる? その考えが危険な理由

オールアバウト / 2025年2月8日 21時15分

中学受験は親の頑張り次第で結果が決まる? その考えが危険な理由

「中学受験は親の頑張り次第で結果が決まる」と言われますが、実はこの考えは危険をはらんでいます。親の過干渉が子どもの自主性や意欲を奪い、かえって成長を阻むことも。中学受験を豊かな経験にするための親の関わり方と陥りがちな過ちについて解説します。

中学受験は、子どもにとって人生の一大イベントであると同時に、親にとっても大きな挑戦です。親がどのように関わるかによって、子どもの経験や成長の仕方が大きく変わることは、多くの方が実感していることでしょう。

『中学受験 親がやるべきサポート大全』(著:菊池洋匡、刊:SBクリエイティブ)では、中学受験を単なる試験突破の手段として捉えるのではなく、親子で共に成長し、豊かな人生を築くためのプロセスと考える視点をお伝えしています。

今回は本書から一部抜粋し、中学受験にまつわるウワサの1つ「中学受験は親の頑張り次第で結果が決まる?」についての考え方をご紹介しましょう。

Q:中学受験は親の頑張り次第で結果が決まる?

✕:親の頑張り次第で入試結果が決まるのだから、ファイル整理も予定管理も、勉強を教えるのも全部、とにかく親がやらなくちゃ!

「私がこんなに頑張っているのに、どうして頑張ってくれないの!?」という憤りが、極端な場合は教育虐待につながることも。

〇:中学受験は「親次第」というより、「親が冷静に一歩引いて見られるか次第」と考える。親を追い立て、駆り立てるような情報に踊らされないことが大事。「目標を見るか、わが子を見るか」と問い直し、そこでわが子を選ぶ意識を持つ。

こんなに頑張っているのってすごいことだよね、という穏やかな目で子どもを見守れると、子どもが勉強を「自分ごと」と捉えられる。

中学受験は親次第? 中学受験は親の受験?

「中学受験は親次第」「中学受験は親の受験」などという言葉を聞いたことはありませんか? このような言葉に対して、どのようなイメージを持っていますか?

・中学受験は、親の頑張り次第で結果が決まる
・課題プリント、ファイルの整理は親の仕事
・部屋を整え、勉強の環境を用意するのは親の仕事
・子どもの予定管理、宿題をいつやるのか決めるのは親の仕事
・家で課題を印刷できるよう、大きいサイズのプリンターを買っておく
・宿題がわからない、となったら教えるのは親の仕事
・ノートに問題番号や問題文を写して、解きやすくする
・親の経済力――どこまで塾や家庭教師に課金できるかで結果が決まる
・最善の情報を求めて、SNSで情報収集するのは親の仕事
・実際に入学した家庭が満足しているか、SNSで口コミを確認
・今年の志望者動向を知るため、SNSで他の保護者の志望校を確認
・合格した家庭がどういう生活スケジュールだったか調べてわが子の生活に反映
・合格した家庭がどの塾でどのテキストを使っていたか調べて同じ道を歩めるようにする

そして、なかなか学習机に向かってくれない子を、どうにか勉強に向かわせるのも、親の仕事……。

「私がこんなに頑張っているのに、なぜ頑張ってくれないの!?」
「私がこんなに頑張っているのに、なぜ偏差値が上がらないの!?」

でも、本当にこれでいいのでしょうか? 「親が頑張る受験」に待っている最悪のシナリオとは何でしょうか?

勉強が楽しくない子どもと、そんな子どもを叱って怒鳴って勉強へ追い立てる親。親が予定を管理し、子どもは言われるがまま勉強するため、自分で学習を進める力が育つわけでもなく、ただやらされている感を味わうだけ。

うまくいかないことがあるたびに、親の焦りはエスカレート。ネットで調べれば、目に映る成功例と今のわが子を比べて、恐怖を感じる日々……。

「なんでこんな問題もできないの?」
「何でこれくらいのこともやろうと思えないの!」
「○○さんはこんなの4年生のときでもできたっていうのに!」

不安の先で、つい手が出てしまうことも……。本人も親もつらい思いをして、どうにか受験を乗り越えたとしても、中学では本人が独力で勉強を進められるわけでもなく、伸び悩む……。不本意な受験結果であれば、さらに敗北感までプラスされ、何事にも無気力になってしまうことも……。

確かに、中学受験は「親が伴走する受験」といわれることがありますが、こうなってはもはや伴走とはいえません。親が頑張れば、頑張るほど広がっていく子どもとの意欲の差、必死さの差。マラソンを親だけが全力疾走しながら「叱責」というロープ1本でわが子を引きずっていくかのようです。

大事なのは「子どもを主役にすること」

さて、最悪のシナリオを避けるためにも、今一度冷静に考えましょう。確かに、中学受験には、「親に求められる役割」や「親にしかできないこと」があります。

ただ、最初に挙げたような努力のすべてが必要なわけではありません。このような努力を始める前に、意識すべき重要なことがあります。

「子どもを主役にすること」です。「中学受験は親次第」とは「親の頑張り次第」ではなく、「親が冷静に一歩引いて見られるか次第」です。

親がいかに脇役に徹することができるか。受験を終えて、本人が「自分が頑張ったから受かったんだ!」と言えるように、脇役になれるか。さらには背景になれるか。

中学受験という物語で、最も意欲に燃えるべき人は誰か? それは本人です。本人と親と塾講師で燃えるべき順序をつけるなら、「本人>講師>親」です。これが逆になると親が講師と本人を追い立て、親に追い立てられた講師も本人を追い立てる、という不幸な構図になります。

講師と親もこの順序(講師>親)です。成績を上げることを目指して、ときに叱咤しながら生徒を指導するのが塾講師の仕事ですが、ときおり、塾講師を飛び越えて「塾講師より怖い親」が出現することがあります。

そうなると「家で親が『勉強しろ!』と怒鳴ってきて怖い……」と子どもが塾講師に泣きつくという、本来あり得ない逆転現象が起きてしまうのです。

家庭は、子どもにとって一番の安全地帯、心のよりどころであり続けてください。このことは子どもの成績や頑張りに応じて変えていいことではありません。

まずは本人が頑張り、それを周囲の大人は応援する。親は、子どもの生活面を見ているからこそ、一歩引いた立場から、無理が生じていないか見守ることができます。

とはいっても、常に冷静にわが子の受験勉強を見ていられる親はいません。最後まで平気な顔をして、何ひとつ心配なく中学受験を通り過ぎる方は、まずいないのではないでしょうか。中学受験が親にとっての試練であるのは確かです。

中学受験に向かない子どもはいないのですが、中学受験に向かない親はいます。それは、子どもより先に余裕がなくなって、わが子を追い立ててしまう親や、勉強は苦しいものであると思い込み、勉強に苦しんでいる姿を見ていないと「やっている感」を得られず、安心できない親です。

中学受験では、そういう親が「ふるい」にかけられていきます。親の度量を試されているという意味で「中学受験は親の受験」なのです。

「目標との差を見る」か「以前との差を見る」か

ここで、「目標との差を見る」ことと「以前との差を見る」ことの意味と違いを覚えておいてください。

■目標との差を見る
「わが子は目標に向けてどれだけ距離があるか」「どれだけ遠いか」を見るということです。

「このままでは目標に届かないから、もっと頑張らないといけない」といったことは、親よりも本人がよく考えるべきことです。また、塾の講師たちは、過去の経験から生徒の目標と現状の差をよく知っています。本人との相談の中で、講師から伝えられることでしょう。

■以前との差を見る
これは、わが子だけを見て、「以前と比べて、今はどれくらい成長したか」を見るということです。

よその子の話も、SNSを飛び交う武勇伝も、関係ありません。目標は遠くても、ペースは遅々としていても、受験生たちはみんな頑張っています。小学校の勉強に加えて、塾の勉強をしています。前には解けなかった問題を解けるようになっています。

他者と比較すれば小さな成長かもしれませんが、本人にとっては大きい前進を見つけて、認めてあげることこそが大切です。

「頑張るなんて当たり前だよ、目標を考えたら全然足りないじゃん」と言いたくなるかもしれません。でも、そんなことを言う必要はありません。ほとんどの場合、言われなくても本人は薄々わかっています。本人がわかっていることを重ねて言えば、嫌な気持ちにさせて、勉強への意欲を奪うことになります。

「前より字がきれいになっているんだね」などと、ささやかな前進を見つけるのは難しいことです。ですが、この「以前との差を見る」ことこそが中学受験を、ひいては子育て全体を成功裏に終えるために必要なことなのです。

菊池洋匡 プロフィール

中学受験専門塾 伸学会代表。
10年間の講師歴を経て、2014年に自由が丘校を開校し、現在は目黒校・中野校を合わせて3校舎を運営。
(文:菊池 洋匡( 中学受験ガイド))

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