過払い金請求、弁護士と司法書士どちらに頼む?

オールアバウト / 2017年6月2日 21時35分

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過払い金請求、弁護士と司法書士どちらに頼む?

過払い金が140万円以下なら司法書士にも弁護士にも頼める

以前、「弁護士?司法書士? 誰に頼むか、過払い金返還請求」という私の記事の中で、過払い金返還請求の代理を頼む相手について、次のように説明しました。

・過払い金の返還を求める交渉と訴訟の代理は、専門家である弁護士か司法書士に依頼するのがよい。
・返還を求める金額の合計が140万円を超える場合は、弁護士にしか依頼できない。
・返還を求める金額の合計が140万円以下の場合は、弁護士にも司法書士にも依頼できる。

今回はこのうち3の場合で、弁護士と司法書士のどちらに依頼するのがよいのかを詳しくお伝えします。

まず、その前提として、過払い金返還請求の裁判について、大まかにご理解いただきたいと思います。

過払い金返還請求訴訟を起こせる裁判所は2種類ある

過払い金返還請求の訴訟を起こす裁判所としては、

・地方裁判所
・簡易裁判所

の2種類がありえます。この2つは様々な点で違いがあるのですが、過払い金返還請求訴訟において重要な意味を持つ違いは、訴訟に出席できる人の範囲です。

詳しく説明しますと、地方裁判所での訴訟に出席できるのは、訴訟の当事者である債務者(返還請求をする本人)、その代理をする弁護士、相手方消費者金融会社の代表取締役等に限定されています。

これに対して、簡易裁判所は、小さな事件を簡潔に処理する裁判所であることから、これらの者に加えて、司法書士、消費者金融会社の平社員までも出席することができます。

そのため、債務者が消費者金融会社に対して訴訟を起こす場合、地方裁判所で起こすと、消費者金融会社としては、会社の代表者が出て行くのは現実的に困難であるため、弁護士を立てざるを得ないことになります。

他方、簡易裁判所で起こすと、単なる平社員を出席させれば足りることになります。

地方裁判所で訴えるほうが有利な理由

では、消費者金融会社にとって、果たしてどちらがより「イヤ」でしょうか?

いうまでもなく、地方裁判所での訴訟ですね。わざわざ費用をかけて弁護士を立てなければならない上に、万が一訴訟が長引くようであれば、それだけ弁護士費用がかさんでいってしまうからです。

そのため、地方裁判所の訴訟では、消費者金融会社は、こうしたムダな費用を抑えたいがために、早い段階で債務者側にとって有利な和解案にも応じてくれて解決することが多いのです。

このような理由から、過払い金返還請求訴訟を起こすのであれば、簡易裁判所よりも地方裁判所のほうが、債務者にとって有利に解決できる可能性が大きいといえるでしょう。

140万円以下だと地方裁判所が使えない!?

だったら、なんでもかんでも地方裁判所で訴訟すればいいじゃないか!と思われるかも知れません。しかし、そうそう都合のいいことばかりではありません。

実は、請求する金額、つまり過払い金の総額が、140万円を超える訴訟は地方裁判所が扱うけれども、140万円以下の訴訟は簡易裁判所が扱う、という法律上のルールがあるのです。そのため、140万円以下の金額で訴訟をする場合は、簡易裁判所での扱いになってしまうのです。

では、過払い金額が140万円以下の場合は、先ほど書いたような地方裁判所の利点は使えないのでしょうか?ご安心ください。140万円以下の場合であっても、なんとかして地方裁判所に訴えを起こすというワザが、実務上は使われているのです。

それは、請求を「束ねる」「乗っける」という2つのワザです。

140万円のカベを超える2つのワザ、束ねる&乗っける

1つめは、「いくつかの請求を束ねる」というワザです。

制度上、1つの訴訟の中で、複数の請求をまとめて訴えることができます。そして、その場合、それら複数の請求の合計金額が140万円を超えていれば、地方裁判所に訴えることができるとされています。

例えば、A社に過払い金が80万円、B社には70万円あるとします。別々に訴訟をすると、2社とも140万円以下であるため、どちらも簡易裁判所での扱いになってしまいます。ところが、2社を合わせて一括で訴えると、合計150万円となるため、見事、地方裁判所で訴訟が起こせるのです。

また、同じA社に対して、太郎さんの過払い金が100万円、花子さんの過払い金が50万円、というように債務者が異なる場合でも、一括で合計150万円の請求として地方裁判所に訴えることができます。3人以上であっても、同様に合算して訴えることができます。

このように、いくつかの会社に対する請求を束ねたり、何人かの債務者の請求を束ねたりすれば、140万円を超えさせることができるのです。

2つめは、「別の請求を乗っける」というワザです。

どういうことかというと、過払い金それ自体だけではなく、訴訟を起こすために弁護士に依頼したときの弁護士費用や、取引履歴の開示が遅れたことなどによる慰謝料という、別の名目の請求を合わせて訴訟を起こすのです。これによっても、140万円を超えさせることができます。

以上のようにして、過払い金額が140万円以下の場合でも、ワザを駆使してなんとか140万円を超えさせれば、地方裁判所で訴えを起こすことができ、債務者に有利に解決しやすくすることができるのです。

過払い金が140万円以下でも弁護士に頼むべし!

では、結局、過払い金が140万円以下である場合、司法書士と弁護士のどちらに依頼するのがよいのでしょうか?

今まで説明してきたとおり、過払い金額自体が140万円以下の場合でも、140万円を超えるものとして訴訟を起こせば、債務者に有利に解決しやすいという地方裁判所のメリットが活用できます。

そして、この記事の最初にも書きましたが、このような140万円を超える訴訟を依頼することができるのは、弁護士のみとされています。そのため、結局、過払い金が140万円以下の場合であっても、弁護士に依頼して140万円を超える請求にする方がよいであろう、というのが私の考えです。

以上、少しややこしかったかもしれませんが、過払い金の返還請求をご検討する際の参考にして下されば幸いです。
(文:奥山 光幸)

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