「50の手習いで株式投資」は避けた方が無難

オールアバウト / 2018年1月13日 21時40分

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知人が50歳で失職しました。大手メーカーに勤務していた彼は、まさか定年まで10年も時間を残して仕事を失うことになるとは思ってもいなかったようですが、幾ばくかの退職金は入ったようで、それを元手に株式投資をしようと考えています。これ、とても危険です。

株式投資は怖い世界

先月、あるバイオベンチャーの株価が大暴落しました。この株価の足跡を追うと、次の安値が3900円で、数日後には7700円まで値上がりしました。もし1000株持っていたら、わずか5営業日で380万円の利益です。「いや~、株式投資って儲かるんだな~」って人もいるでしょう。

でも、この会社の株価は、その後からが悲惨でした。7700円の最高値を付けたその日の午後の取引に入った途端、急に売り物が出て、5790円まで値下がりしました。そこから、それはもう恐ろしいほどの売り物が出て、連日のようにストップ安が続き、ようやく株価が寄り付いたのは、6営業日後。その時の株価は、寄付時点で1100円でした。

7700円という株価が付いたということは、誰かがその株価で買っています。7700円で買った後、1100円まで値下がりしたら、1000株の取引で損失額は660万円です。退職金なんて簡単に吹き飛んでしまいます。

簡単に儲かるようにはならない

株式投資は、買ってそのまま寝かせておけば儲かる、などと考えている人もいます。だから、退職金で株式投資をしようなどという発想が出てくると思うのですが、これは非常に甘い考え方と言わざるを得ないでしょう。

私は仕事上、株式の個人トレーダーに取材をする機会があり、中には「億単位」の資産を築いた方もいらっしゃいます。でも、そういう方のほぼ全員は、過去において幾度となく株式投資で大損をしています。それでも諦めず、自分でさまざまな手法を研究してきたからこそ、今のポジションがあるわけです。

もっと言えば、それだけの努力をしても、損をすることがあります。株式投資の世界に100%勝てる保証はどこにもありません。だから多くのトレーダーは、損を最小限に抑える一方、利益が得られそうな時は適宜チャレンジをして、多くの利益を稼ぎ出し、その差し引きで負けないようにするなど、緻密にリスクをコントロールをしながらトレードしています。

問題は、それだけの技術を身に付けるのに、どれほどの時間を掛けてきたのか、ということですが、今まで私が会ったトレーダーは、10年選手が大半です。

サブプライムショックやリーマンショック、欧州債務危機、東日本大震災など、マーケットを揺るがせるような出来事を幾度となく潜り抜け、それでも今、株式のトレーディングを続けていられるのは、運の良し悪しではなく、やはり株式のトレードで「億」を稼ぎたいという強い意志と、無心になって良いトレード手法を研究できる努力があったからです。

退職金は余裕資金ではなく将来の生活費

50歳で失業し、全く株式投資の経験がないのにも関わらず、退職時に得た退職金で「なんとなく」株式投資を始めてみようという人は、恐らく失敗します。しかも、若いうちの失敗ならともかく、50歳になってから資産運用で大失敗すると、取り返しのつかないことになる恐れがあります。そもそも、退職金は余裕資金でも何でもなく、将来の生活費ですから、それを元手に株式投資をするという考え方自体が間違っているのです。

確かに、全くの投資未経験者が、50歳から老後の生活資金を築くために資産運用を始めるのは大事なことですが、前出のバイオベンチャー株のように、下手を打てば大きな損失が生じるような株式への直接投資は、避けた方が良いでしょう。FXや先物取引も然りです。資産運用は必要なことですが、あなたがもし50の手習いで資産運用を始めるのであれば、くれぐれも過大なリスクを取らないようにすることが肝心です。
(文:鈴木 雅光)

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