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義父母との生活でメンタルをやられて……パチンコにのめり込み、借金まみれに

オールアバウト / 2021年9月22日 21時40分

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お金のちょっとしたすれ違いが縁の切れ目にもなれば、逆に人間関係のこじれがお金の問題に発展することも……。今回は、ストレスから借金を重ねたものの、立ち直るために歩みだした女性のお話――。

お金のちょっとしたすれ違いが縁の切れ目にもなれば、逆に人間関係のこじれがお金の問題に発展することも……。男女の人間関係に関する著書も多いフリーライター、亀山早苗さんが、お金にまつわる複雑な人間模様のお話をお届けします。

独立法人国民生活センターによると、2019年に寄せられた「多重債務」に関する相談は2万3588件。All Aboutの人気連載「お金の悩みを解決!マネープランクリニック」でも、ストレスから多重債務に陥って家計が立ち行かない、という悩みはいくつか寄せられています。

今回は、ストレスから借金を重ねたものの、立ち直るために歩みだした女性のお話――。

* * *

人間には「反動」というものがつきまとう。自分を押し殺して生きていると、いつしか反動がやってきて、とんでもないことになる。それでも、人は「やり直し」がきく。

同居しなくていいはずが……

とある地方都市に住むサエコさん(45歳)は、結婚して15年になる4歳年上の夫との間に3人の子がいる。6年前から夫の両親、妹と同居している。

「そもそも夫とは東京で知り合ったんです。ふたりとも都内の会社で働いていて、共通の友だちの食事会で出会って。私は東京出身ですが、夫は次男だし故郷には帰らないというから結婚したんですよ」

ところが結婚して8年、子どもが3人できたところで、夫の両親が経営していた小さな会社が倒産の危機に陥った。

「義兄と義父の折り合いが悪くて、ことごとく対立、だんだん経営に悪影響が出てきたようです。義姉と義母も以前からうまくいっていなかったこともあり、義兄夫婦は義姉の実家のほうへ移住すると。夫は相当、悩んだようです。義父は会社を畳んでもかまわないと思っていたみたいですし、私もそれがいちばんいいと思っていました」

そうなると10人ほどいた従業員の生活はたちゆかなくなる。だが、就職先を見つけてやればいいんじゃないかと夫は言っていた。

「それなのにどういう風の吹き回しか、ある日突然、夫が『家族で越さないか』と言い始めたんです。東京は家賃が高いし、子どもたちも自然と触れあうことさえできない。このまま会社に所属しているより、オヤジの会社を継げば仕事を広げていくこともできる。夫はいいことばかり言っていました」

気持ちはわかるが、義父母や義妹との生活を担うのはサエコさんだ。彼女自身の仕事はどうなるのか。夫婦は毎日じっくり話し合った。

「夫とあんなに話したのは結婚以来、初めてかもしれません。話し合いを進めていくうち、私には夫の夢も理解できたし、私自身も何かできるような気がしてきたんです」

半年以上話し合い、夫の実家にも行った。そして夫婦は夫の故郷で暮らすことを決めたのだ。

仕事は順調だったけれど

越してすぐは、とにかく多忙だった。上の2人の子の学校のこと、義父母と義妹との家事分担のこと、なにより小さな町での近所づきあいや親戚づきあい。わからないことばかりだったから、周りの意見を聞きながらひとつずつ進めていった。

「夫も大変だったみたいですけど、まあ、義父がいましたからなんとかなる。夫はすぐに仕事に馴染んでいったようです。子どもたちも大家族が楽しかったみたい。義妹は離婚して戻ってきたんですが、仕事をしながら姪や甥にあたるうちの子たちをかわいがってくれました。私は義妹をいちばん頼りにしていましたね」

ところが、1年足らずで義妹は家を出ていってしまう。好きな人ができて、一緒に住むようになったらしい。

「2人ともバツイチだし、彼は離婚して間もないからまだ婚姻届は出さないけど、と言っていました。頼りにしていた義妹がいなくなるのはつらかったけど、彼女が幸せなら祝福するしかありません」

義妹がいなくなると、義母の態度が変わった。それまで実の娘の目を気にしておとなしかったのだが、急にサエコさんに冷たく当たるようになったのだ。

「夕食の支度は義母がやってくれていたんですが、それをやらなくなった。家事をいっさいしなくなったんです。子どもたちへの態度も少し変わった。私は義妹がいなくなっただけではなく、少し認知症が入ってきているのではないかと思ったんですが、夫も義父も『そんなことはない』と否定する。あるとき、義母自慢のぬか床にテレビのリモコンが入っていたんですよ。それを見て、すぐに病院につれていきました」

やはりアルツハイマーの初期だった。サエコさんは義母のために割く時間が増えていく。

「少しずつですが、義母が変わっていく。それがなんだか怖かったし、義父も夫もすべて私に任せきりで相談できる相手もいない。義妹に相談したかったけど、彼女も恋人の親のことで悩んでいましたしね。本来なら会社の仕事をしなければいけない時間に、私、逃げるようにパチンコ屋に出入りするようになったんです」

軽自動車を運転して時間を見つけてはパチンコ屋へ逃避した。負けが込むとカードでキャッシングを繰り返した。

「それから2年ほどで300万円の借金を作ってしまいました。毎月、利子を返すだけでも大変。会社の仕事を手伝って、月に8万円ほど給料をもらっていたんですが、それでは返済が滞る。義母の財布から1万円、2万円と抜いたこともあります」

夫や義父に知られずに……

いよいよ返せない。夫に話すしかない、離婚されたらどうしよう。そう思っているとき、たまたま通りかかった市役所で法律相談をやっていると知り、飛び込んだ。

「本当は予約が必要だったんですが、せっぱ詰まっていたのでなんとかお願いしますと。たまたまキャンセルがあったので相談に乗ってもらえました。そこで債務整理を勧められたんです」

ただ、ギャンブル依存の場合、いくら債務を整理してもまた手を出してしまう可能性も高いと弁護士に言われた。彼女自身、それはよくわかっていたという。

「それでも夫や義父に知られずに整理したい。もうそれしか考えられなかった。改めて弁護士さんを訪ね、債務整理の手続きをしました。月に5万円くらいずつ4年で返済することになって。ほっとしました」

同時に、夫には義母の状態を医師から詳細に話してもらい、施設も入れることも視野に入れ、家族で話し合っていくことにした。

「それでようやくパチンコ屋には近寄らないですむようになりました。振り返るとあの時期、子どもたちのめんどうもまともにみていなかった。夫はそれをさりげなくフォローしてくれていたんだと思う。お義母さんがおかしいと言ったとき、『おかしいのはサエコじゃないのか』と夫がつぶやいたことがあるんです。まさかパチンコ依存だとは思っていなかったでしょうけど、夫の目からは私がヘンにうつったんでしょう。でもきっと夫は踏み込むのが怖かったんだと思う。義母の件がそうだったように」

家族の“恥部”が明らかになるのを怖がる夫は少なくない。だが見て見ぬふりをすれば、事態はもっと深刻になっていく。

「私も、もう大丈夫と言える状態でもないので、心療内科には通っているんです。いつか夫にすべてを話すことができればいいなと思っています」

ただ、子どもたちはいちばん上がまだ中学生。これからしばらくは、子どもたちのことを最優先しながら駆け抜けていきたいとエリコさんは神妙に語った。

教えてくれたのは……亀山 早苗さん

フリーライター。明治大学文学部演劇学専攻卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、講談、浪曲、歌舞伎、オペラなど古典芸能鑑賞。All About 恋愛ガイド。
(文:あるじゃん 編集部)

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