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【ガチで怖すぎーっ!】中野京子先生おすすめ! 女子必見「怖い絵」3選

ananweb / 2017年10月2日 21時0分



10月7日から上野の森美術館ではじまる『怖い絵』展。2017年に開かれる展覧会のなかでもひときわ注目度が高く、開催を待ちわびているファンも多い同展について、特別監修者の中野京子先生に見どころなどをうかがいました。

■ 『怖い絵展』まもなくスタート!

【女子的アートナビ】vol. 85

『怖い絵』展は、作家でドイツ文学者の中野京子先生が2007年に出版した大ベストセラー『怖い絵』の世界を本物の名画で楽しめる、ちょっとユニークな展覧会です。「怖さ・恐怖」にスポットをあてて選び抜かれたのは、近世~近代にかけてヨーロッパで描かれた油彩画など約80点。セザンヌやターナーなど巨匠たちの作品も登場します。

同展は先に7月から兵庫県立美術館で開かれていたのですが、2か月弱の開催期間にもかかわらず入場者数はなんと27万人を突破。まもなく東京会場での展示がはじまるということで、開催を心待ちにしているアートファンの間では期待がどんどん高まっています。

■ 中野京子先生にインタビュー


そんな盛り上がりを見せている『怖い絵』展ですが、アート初心者でも展覧会を楽しむことができるのでしょうか? また、anan世代の女子が共感できる作品はあるのでしょうか? そこで、特別監修者の中野京子先生に『怖い絵』展の楽しみ方についてお話をうかがいました。

■ 「怖い絵」ってどんな絵ですか?


中野先生
 怖い絵というと、スプラッターみたいなグロテスクな絵を想像して美術館に来られる方もいらっしゃるでしょうが、全く違います。もちろん、実際に怖い絵もありますが、ほとんどはパッと見るときれいで美しい絵。でも、その絵の背景を知ると怖くなるというのが展覧会のコンセプトです。

■ アート初心者でも楽しめますか?

中野先生
 (『怖い絵』展の神戸会場では)ananの読者さんのような若い方や、はじめて美術館に来たという人も多くいましたよ。若い人たちがSNSで発信しているのを見ると「おもしろい」という感想がすごく多かったです。みなさん、美術館で絵の解説をじっくり読んでくれたようで、作品の背景や意味がわかったら「絵ってこんなにおもしろいんだ!」と思ったそうです。

ふだん美術館に行っても一時間あれば見終わってしまうという人も、今回の『怖い絵』展では気づいたら二時間も三時間もいた、という人が多い。つまり解説を読んで絵の意味がわかるとおもしろくなって、何度も繰り返し見たくなるのでしょうね。

■ anan女子におすすめの「怖い絵」を3点教えてください!


中野先生
 まずはビアズリーの《踊り手の褒美》。大皿に斬られた男の首が乗っている絵です。恋する相手が自分のものにならないなら首だけでもいいから欲しい…というサロメの話は、女性は惹かれるものがあるかなと思います。


中野先生
 また、スザンナの水浴を描いた《スザンナと長老たち》も現代女性に身近な主題だと思います。働き始めるとセクハラとかパワハラとかありますよね。それの古代版がこの絵です。

(※「スザンナの水浴」は『旧約聖書外典』に収録されているエピソード。裁判官でもあるスケベな長老二人が人妻スザンナを襲おうとする。しかし拒まれたため、彼女に罪を着せて死刑を宣告する、というストーリー)


中野先生
 この絵では、スザンナが「神さま、助けてください」という感じで天を仰いでいる。長老たちに迫られ絶体絶命、もうダメ…という場面。でも大丈夫。絵の横に解説を書きましたが、最後まで読んだらホッとしますよ。

スザンナの水浴をテーマにした絵はたくさんあって、長老たちに覗かれているのを全然知らずにルンルンと水浴しているスザンナを描いたものが多いのです。聖書のこのエピソードはヌードを描くためのエクスキューズ。男性注文主のために男性画家が女性のヌードを描いていました。


中野先生
 3つめは、《レディ・ジェーン・グレイの処刑》。絵を見れば、斬首される場面というところまではわかります。さらに解説を読んでいただくと、ジェーンがわずか9日間だけ女王の座にあったこと、自分が望んだわけでもないのに女王にさせられ反逆罪で処刑されること、そのときまだ16歳だったということがわかります。この史実を知ると、みなさん鳥肌が立ったり、涙ぐんだり、本当に泣いてしまったりするのです。

しかもこの作品は等身大の大きさで、実物を見るとかなり大きくて迫力があります。描写も迫真的で、写真のように描いているように見えて、実は写真とは違う。現実をそのまま描いているわけではなくて、例えばジェーンは本来黒い服で処刑されましたが、画家のドラローシュは彼女の無実で無垢な部分を示すために白いドレスを着せている。目隠しもしていませんでした。とても演出を凝らし、効果を上げている。だから見る人の胸に迫るのだと思います。


中野先生
 あとは、画家によってどれだけ表現が違うのかがわかるとおもしろいですよ。そんな作品が会場でちょうど2点並んでいます。主題はセイレーン。ドレイパーの《オデュッセウスとセイレーン》では美しい人魚として描かれているのですが、その隣にあるモッサの《飽食のセイレーン》は人魚ではなく鳥女として表現されています。みなさんビックリされますが、この2点はほぼ同じ時代に描かれています。モッサのほうは感覚が新しい。これは驚きますよ。日本のアニメっぽくて。そんな対比とかも楽しんでほしいですね。

(※上の写真では左がドレイパーの《オデュッセウスとセイレーン》です。モッサの《飽食のセイレーン》は著作権の関係で図版を掲載できません)

■ 『怖い絵』展、とてもおもしろそうですね!

中野先生
 絵画は、テレビや映画といった動画のなかった時代のエンターテインメントでした。その中から、時代も国も超えて長く生き残ってきた作品が、芸術品となり資産となってきたのです。現代の我々は芸術として、つい崇めたてまつってしまいがちですが、エンターテインメントだった時代を思い返して「楽しむ」というスタンスがあってもいいと思うのです。初めて美術館を訪れ、初めて実物の西洋名画に触れ、画家の名前がわからなくても「絵っていいなー」と思う人が少しでも増えればいいことじゃないかな。そう思います。

■ 取材を終えて…

中野先生は現在新聞や雑誌に連載をもち、日テレの『世界一受けたい授業』などにも出演。絵画に潜む「怖さ」に着目し、文化や歴史的背景をもとに作品をわかりやすく解説してくださるので、先生の本をきっかけに絵を “読む” 楽しさに目覚めた人もたくさんいます。私もそのひとり。もともと好きだった美術鑑賞が『怖い絵』に出会ったおかげでさらに楽しいものとなりました。

実は中野先生とお話しするのは今回がはじめてではありません。まだ『怖い絵』が出版されていない20世紀末、大学で教鞭をとられていた先生に、編集者としてお目にかかったことがあります。その時はドイツ語教材についてお話をうかがった記憶がありますが、まさかアートについて先生にインタビューすることになるなんて、当時は想像もできませんでした。

個人的にも非常に思い入れの強い『怖い絵』展、いつもより記事が長くなってしまいましたが、ぜひぜひ多くの方に足を運んでいただき、絵を “読む” 楽しさを体験してほしいです。会期は10月7日から12月17日までの2か月強。どうぞお見逃しなく!

■ Information

会期:10月7日(土)~ 12月17日(日)※会期中無休
時間:10:00 ~ 17:00 (最終入場16:30)
会場:上野の森美術館
料金:一般 1,600円/大学生・高校生 1,200円/中学生・小学生 600円/小学生未満無料



※『怖い絵』展の見どころが載った中野京子先生の本も発売中です!

怖い絵のひみつ。 「怖い絵」スペシャルブック

著者 中野 京子 定価 1,404円(本体1,300円+税)



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