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【秋のデートに】あの劇団が10周年! 記念作品に隠された秘密とは?

ananweb / 2017年10月16日 11時15分



藤田貴大さんの「マームとジプシー」10周年企画第3弾として上演する『IL MIO TEMPO -わたしの時間-』。イタリアの同世代俳優たちとともに3年にわたりクリエイションを続けてきたプロジェクトがここに!

文・望月リサ

■ 日本人俳優4人+イタリア人俳優4人の出会いが生み出す。
3年という時間をかけ熟成させた藤田貴大さんの最新作。


田んぼに囲まれた田舎道を歩く時の頰に触れる風。古い納戸を開けた時の、埃っぽいのにどこかワクワクした気持ち――。藤田貴大さんが紡ぎ出す、マームとジプシーの舞台を観ると、体験していないはずの知らない記憶がくすぐられ、昔からずっと知っていたような懐かしさに、なんだか泣きたくなるような、そんな思いに駆られる。

弱冠26歳にして岸田國士戯曲賞を受賞し、早くから故・蜷川幸雄さんをはじめ、野田秀樹さんなどの演劇人から高い評価を受けてきた藤田貴大さん。その藤田さんが主宰し、作・演出を手掛けるマームとジプシーが、今年10周年を迎えた。

この節目に、マームとジプシーが企画したのは、過去に作り上げた作品群の再演。再演といっても藤田さんは、かつての作品を、ただそのまま板の上に乗せたりはしない。かつて紡いだ言葉をもう一度自らの体内に取り込み、時により洗練された形で、時により強度を増した演出で、新しいものにして魅せたのだ。それは、藤田さんという人自身が、過去の劇作をなぞるノスタルジー的演劇に興味がないからだろう。まさにそれこそが、岸田戯曲賞を獲ったあの頃から、変わらずずっとマームとジプシーが新しい存在でいる理由なんだろう。

そのマームとジプシーが、10周年の第3弾としてこのたび上演するのは、15年よりイタリアの同世代俳優たちとともに3年にわたりクリエイションを続けてきたプロジェクト『IL MIO TEMPO -わたしの時間-』。13年のイタリア・フィレンツェで行われた初の海外公演以来、さまざまな国、さまざまな土地で公演と同時に現地ワークショップを開催してきた藤田さん。この作品は、そんななかで出会った4人のイタリア人俳優たちと、日本から参加した4人の俳優たちとで、時間をかけて作り上げてきたものだ。

はじめは、個々の俳優たちにインタビューを行うところから。そこで語られた彼らパーソナルな記憶を断片化し、それをホテルというシチュエーションに置き換えて、ひとつに構成したもの。15年にイタリアの劇場を拠点に始まったこのプロジェクトは、昨年、イタリア人俳優を彩の国さいたま芸術劇場に呼び、さらにブラッシュアップさせてきた。

3年の時をかけて(その間にも、藤田さんはさまざまな俳優、さまざまなクリエイターとのコラボレーションを形にしていきながら)、ゆっくりとじっくりとクリエイションを行ってきた『IL MIO TEMPO -わたしの時間-』。それが今回、公演としてようやく日本で上演されることに。熟成を重ねた作品でありながら、現状に止まることをせず、つねに進化し続けているマーム、そして藤田さんの〝いまこの時〟が詰まった最新作となるのは間違いない。また新しい感動と驚きを観客にもたらしてくれるはずだ。

■ Information

■ マームとジプシー
『IL MIO TEMPO-わたしの時間-』

10月17日(火)~22日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 NINAGAWA STUDIO(大稽古場) 作・演出/藤田貴大 衣装/suzuki takayuki 宣伝ビジュアル/名久井直子 出演/荻原綾、川崎ゆり子、成田亜佑美、波佐谷聡、Andrea Falcone、Giacomo Bogani、Sara Fallani、Camillia Bonacchi 前売り3500円 当日4000円(ともに税込み) 問SAFチケットセンター☎0570・064・939


■ 『おんなのこはもりのなか』

以前、ananで連載していた藤田さんのエッセイが書籍化。又吉直樹さん曰く「透きとおった変態性と切なさが最高でした」という、女子のことを微に入り細に入り、藤田さんが探求し尽くした日常と妄想の入り混じった世界…。好評発売中です。マガジンハウス刊 1300円(税別)

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