50年以内に巨大地震発生確率90%!? 気を付けたい“速報慣れ”
ananweb / 2017年10月19日 11時0分
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「緊急地震速報」です。
■ 予知より、対策。緊急地震速報も無視しないで。
緊急地震速報が導入されて、ちょうど10年が経ちました。地震が起きると、震源からP波とS波の2種類の揺れの波が伝わります。P波のほうが先に、そのあとにS波が到来します。P波を察知し、その後大きな揺れが来るであろう地域に知らせるのが、緊急地震速報。速報を受け、列車やエレベーターなどが自動で止まる仕組みを作り、被害が広がるのを防いでいます。
日本の地震観測の歴史は古く、気象庁では明治17年から続いています。最初は体感による観測でしたが、平成3年に世界に先駆けて震度計を開発。高感度震度計を全国に1000か所設置し、国立研究開発法人「防災科学技術研究所」なども含めると、国が運用する震度観測点は4200地点にも上ります。おなじみの10階級の「震度」は、日本独自の計測単位。世界共通なのは、マグニチュードです。マグニチュードが小さくても震源が近ければ、体に感じる揺れは大きくなるので、それを測る指標に「震度」を使っているんです。
政府の地震調査委員会は、南海トラフでの、マグニチュード8以上の巨大地震が発生する確率を20%程度から、20~30%に引き上げました。50年以内に期間を広げると、90%程度からそれ以上と予測されています。
ただし、現在の科学では、日時を特定した地震予知はいまだ研究段階にあるといわれています。大地震は頻繁には起きないので、発生前に震源域でどのようなことが起きているかを十分に解明できないからです。なので、たまに流れてくる「○月×日に大地震が起きる」という情報に科学的根拠はないので、惑わされないようにしましょう。
それよりも起きたときの対策のほうが重要です。緊急地震速報も、認知はされていても、聞いても何もしないという人が大勢います。気象庁は、来年3月下旬より、S波のデータも組み入れた、続報も発表することにしました。
食料の備蓄や避難経路の確認。帰宅困難になった場合にどうするかなど、調べておくのも大事です。東京都が作った、防災ブック『東京防災』は災害時に有用な情報がたくさん載っています。サイトからPDFを入手することもできるので、とても便利ですよ。
堀潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN
※『anan』2017年10月25日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
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