「頭一つ抜けて好評」『うつヌケ』ヒットの理由を書店員が語る
ananweb / 2017年12月28日 20時0分
目利きの書店員さんが「ライフスタイル」に特化した注目の専門書をセレクト。2018年の生活を向上させるために読んでみたい7冊をご紹介します。
■ めざせ脱力上手。
こだわり、とらわれ、他人の目、同調圧力から自由になろうとする人々が増えてきた。
もっと気楽に、楽ちんに。そんな人々のニーズを満たした本は。「今日からやればすぐに結果が出る、時間もお金も気力も使わずできるだけ賢く効率的、システマティックに、という類の本がやはり好評のようです。『もうレシピ本はいらない』や『最高の睡眠』の勝因もそこにあるのかも。図版が多く、わかりやすいことも大事。『ずぼらヨガ』などは、うまく人々の心を捉えたと思います」(『丸善日本橋店』和書一般書売り場担当・葛目麻子さん)
メンタルヘルス本では『うつヌケ』が話題をさらった。「メンタルヘルスの本は‘17年から表舞台に出てきた印象があります。以前は動かなかった発達障害関連の本もよく売れました。特に漫画でわかりやすく解説した『うつヌケ』は、メンタルヘルス系では新鮮な、軽やかな装丁も功を奏して、頭一つ抜けて好評でしたね」(『紀伊國屋書店新宿本店』1階コーナー担当・加藤翔さん)
■ 『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』田中圭一/KADOKAWA
10年近くうつを患っていた著者をはじめ、ミュージシャン、小説家、研究者など、総勢17人それぞれのうつ発症のきっかけから症状、回復までの道をコミックエッセイ化。現在うつの人、うつの一歩手前の人、ただ気分がふさぎがちな時にも助けになる本。1000円
■ 『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治/サンマーク出版
質のいい睡眠は、脳と体のパフォーマンスを高めるのに欠かせない。どんなに忙しくても時間がなくても、「最初の90分」をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠がとれると謳う。最新科学で初めてわかったことを、わかりやすく解説。1500円
■ 『人生を救う最強の食卓 もうレシピ本はいらない』稲垣えみ子/マガジンハウス
献立を考える無間地獄から脱出し「聡明な女は料理がうまい」の呪縛から自由に。たくさんの調味料や調理道具、レシピ本も「出汁をとる」ことさえ不要な「一汁一菜」生活のすすめ。1食200円、10分で完成する最高の食卓が生活に革命をもたらす!? 1400円
■ 『自律神経 どこでもリセット! ずぼらヨガ』崎田ミナ 著 福永伴子 監修/飛鳥新社
とにかく運動が面倒、ジム通いの時間がない、続かない、上手にポーズがとれずストレス。そんな運動嫌い、ずぼらさんに寄り添ったヨガストレッチの本。イラストでの解説は、モデル写真が並ぶタイプの教則本よりぐっとイメージがつかみやすいと好評。1111円
■ 急がない焦らない。
現状を変えるのは小さな一歩からという気づきが広がった。
書店に行く理由が「自分が変わるきっかけになる本」を探すためという人も多いはずだ。そんな人の心をつかんだのは?
「『論理的思考力を鍛える33の思考実験』ですね。イラストが多用され、楽しみながら日々思考力を鍛えられる本でした」(加藤さん)。「自己啓発の類で売れたのは『小さな習慣』。可愛いクマが描かれた装丁とは裏腹に中身は骨太なしっかりした内容。そのギャップがよかった」(葛目さん)。
北欧発の「ヒュッゲ」も、これから話題になりそうなキーワード。「うちでは2~3年前からヒュッゲ関連書は置いていましたが、ここへきて再び動きだして。‘16年からのマインドフルネスの流れが影響しているのかな」(『代官山 蔦屋書店』ビジネス人文売り場ビジネスコンシェルジュ・湯澤洋介さん)
■ 『ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』マイク・ヴァイキング 著 アーヴィン香苗 訳/三笠書房
「世界で最も幸せな国」上位常連国デンマーク発祥の「ヒュッゲ」という概念。安らぎのある空気や経験を表すそのライフスタイルが今、世界で話題に。衣食住から、旅、人間関係まで、一年中「ヒュッゲ」を作り出す方法を美しい写真とともに紹介。1600円
■ 『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ 著 田口未和 訳/ダイヤモンド社
私たちの毎日の行動は「何も考えずにやっている」ことがほとんどで、脳は「習慣化された行動」が大好きとか。自分を変えるために、強い意志力やモチベーションがなくても小さな行動を繰り返すことで自然と習慣化し、ストレスなく自分を変えられると説く。1400円
■ 『論理的思考力を鍛える 33の思考実験』北村良子/彩図社
有名な「トロッコ問題」から、「アキレスの亀」など、全33本の思考実験で、凝り固まった脳、少々鈍っている脳をトレーニングする本。電車の中や、布団の中、空いた時間にトライすれば、いつのまにか、道筋立てて語れる説明上手になっているかも。1300円
湯澤洋介さん 『代官山 蔦屋書店』ビジネス人文売り場ビジネスコンシェルジュ。今は『人生の勝算』の著者、前田裕二氏の活動から目が離せないとか。
加藤 翔さん 『紀伊國屋書店新宿本店』1階コーナー担当。ミステリー好き。‘17年「鮎川哲也賞」を受賞した新人、今村昌弘氏に注目している。
葛目麻子さん 『丸善日本橋店』和書一般書売り場担当。漫画『大家さんと僕』でデビューしたカラテカの矢部太郎さんの今後の動きが気になるとのこと。
※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・内山めぐみ 取材、文・片岡まりこ
(by anan編集部)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
うつの薬を飲むのと同じくらい効果がある…ストレスを取り除き、頭の回転を速くする最善のルーティン
プレジデントオンライン / 2024年9月7日 15時15分
-
「ゆっくり過ごしているのに疲れが取れない」そんな現代人が今すぐしっかり休ませるべき"体の部分"
プレジデントオンライン / 2024年9月6日 10時15分
-
なぜ年齢と共に「使えない人」化してしまうのか…45歳から脳がヨボヨボになる人と元気な人の決定的違い
プレジデントオンライン / 2024年9月2日 7時15分
-
最も成績がよい群の睡眠時間は「8~9時間」…小中学生4万人調査で判明"ぐうの音も出ない"生活習慣
プレジデントオンライン / 2024年8月31日 9時15分
-
体の疲れよりもっと厄介…脳内科医が指摘「45歳以上に多くみられる"脳の機能低下"を招くNG生活習慣」
プレジデントオンライン / 2024年8月31日 7時15分
ランキング
-
1「SHOGUN」エミー賞受賞を喜ぶ人と抵抗ある人 日本人がアメリカで最多受賞した本当の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 13時0分
-
2「高齢者に炭水化物は毒」は大ウソである…長寿国では「パン、そば、うどん」をもりもり食べている事実
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 15時15分
-
3「ぜんたーい、止まれ!」その入場行進なんのため? 元体育主任が語る、運動会で廃止すべきこと3つ
オールアバウト / 2024年9月20日 20時35分
-
4朝食前に歯を磨かない人は「糞便の10倍の細菌」を飲み込んでいる…免疫細胞をヨボヨボにする歯周病菌の怖さ
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 14時15分
-
5メルカリで「マイナス評価」が1つでもあったら売れなくなる? 購入を敬遠される可能性も……
オールアバウト / 2024年9月20日 20時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください