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ゲイ当事者だと職場でカミングアウトした僕の、リアルな生活 #10

ananweb / 2018年5月22日 21時30分

LGBTという言葉自体は聞いたことがあるけれど、あまり身近でないという方も、まだまだ多いかと思います。LGBTへの偏見は強く、実は当事者だけどカミングアウトしていないのだという人が、あなたの近くにいるかもしれません。ゲイ当事者であり、職場でそのことをカミングアウトしたというはじめさんにお話をうかがいました。LGBT関連の話は、決して遠い世界の出来事ではないということをお伝えできればと思います。
■ マイノリティだからといって間違っているわけではない…学生時代のボーイフレンドからの影響


【多様な性、LGBTの世界】vol. 10

僕自身、ゲイだと自認した時期は早かったと記憶しています。しかし、ゲイ当事者であることに否定的だった面もありました。大学への進学で上京後、週末に新宿二丁目(ゲイ・タウンとしても知られています)へ足を運んでいました。普段はゲイであることを隠し、週末だけ本当の自分を出せる場に行っていたのです。

そんななか、初めてのボーイフレンドができました。彼はアメリカ人の留学生で、僕とは違った価値観を持っていました。彼は、「LGBT当事者だからといって、マイノリティだからといって、間違っているわけではない」という考え方でした。僕は納得し、自分のセクシュアリティを肯定的に捉えられるように。

そして、LGBTをより可視化していきたいという思いも芽生え、ゲイサークル設立や大学生向けのイベント開催などをしました。そこで出会ったのは、テレビなどで見るようなキャラクターとは違って、今まで話してきたクラスメイトのような、LGBT当事者でない人と何も変わらない人たちでした。当時、1990年代後半の話です。

■ 不本意なアウティングと、ポジティブなカミングアウト

それから社会人になり、都内のクリエイティブエージェンシーに勤めるようになりました。周囲の人への影響を考えて、ゲイであることは職場でカミングアウトしていませんでした。

しかし、当時いたある同僚が、共通の知り合いを通じて僕がゲイであることを知ったようです。その同僚は社内でそれをアウティング(LGBTなどで、本人の了解を得ないまま公にしていない内容を暴露する行動)したのです。名指しはしなかったものの、たくさんの人がいるなかで、笑い者にするような表現でした。僕はとても悔しく、悲しい思いをしました。こうした状況が自分の働いているオフィスで許されているのを変えたいと思ったのです。

月に1度、みんなの前で話をして良いという習慣がある、僕の会社。僕はそこで、LGBTの広告についてプレゼンテーションをしました。「LGBTを知っていますか?」という質問に対して挙手をしたのは8割程度でしたが、深くは知らないという人がほとんど。「僕自身ゲイですが、世界にはこうしたLGBTに関する広告があります」と、世界のLGBT広告の動向を伝えるとともに、ゲイ当事者であることをカミングアウトしたのです。

10分程度のプレゼンテーションでしたが、資料が欲しいと言ってくれる人や、これまでの発表で一番良かったと言ってくれる人もいました。僕は、雰囲気が変わったなと感じました。カミングアウトしたことで、同僚とより打ち解けて話せるようになり、クリエイティビティも上がったと実感しています。風通しも良くなり、広告にLGBTカップルを入れるなど、今までできなかったことにもチャレンジできるように。

2016年には、LGBTに関する広告を制作して海外の賞を受賞しました。マイノリティが元気だと会社も元気になると考えています。自分らしくいられることが、あらゆる発想の原動力にもなり得るのです。

アウティングされたことは不本意でしたが、結果としてポジティブな方向に進みました。僕の経験は、カミングアウトしたことで、自分自身と仲間が前向きになれた一例だと思います。

■ カミングアウトは信頼の証。僕が伝えていきたいこと

LGBT当事者のなかには、辛い思いをしている人もいるかと思います。特に地方だと、LGBTがほとんど認識されておらず、孤立しやすい場合も多いと危惧しています。僕は思いを伝えたいから広告業界にいます。LGBT関係の広告を見たときに、辛い思いをしている人が希望を持てたらという気持ちもあります。特に子どもはいじめに遭ってしまうこともあるかと思いますが、仕事を通して明るい未来を伝えていきたいです。

当事者かもしれないという人が身近にいる方は、そっと側にいてあげられる優しさを持ってもらえると嬉しいです。もしもカミングアウトされたら、それはあなたが信頼されている証です。噂を聞いてしまった場合も、その人の立場になって考えてください。その人はカミングアウトを望んでいないかもしれません。まだまだ風当たりが強いのが現実。アウティングをしないよう、相手の気持ちを考えられる優しさが必要だと思います。

カミングアウトを望んでいる場合はカミングアウトできるよう、セクシュアリティをオープンにできるような環境づくりが大切です。生徒や部下、後輩など、若い世代も生きやすい社会になるよう、LGBTへの理解が深まるよう切に願っています。僕の例がそうでしたが、マイノリティを組織が受け入れると、組織自体が強くなります。誰しもに優しく、プラスになる社会になるよう、僕自身、想いを伝えていきたいと考えています。

■ 〜LGBTのバトン〜

今回は、はじめさんにお話をうかがいました。

次回は、LGBTが働きやすい職場づくりに尽力している、アサコさん。彼女はLGBT当事者(レズビアン)でもあります。「LGBTは外資系の話。日本企業にはいない」といわれていた数年前、伝統的な日本企業から国際色豊かな企業に転職。性的指向・性自認は個人的かつ家庭の話なだけではなく、働く上でも密接に関わってくる話だとのこと。

積極的に活動しているアサコさんの視点から、「働く」という身近なことを通してLGBTをお伝えします。

■ Information

認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ



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