“高プロ”はさらなる過労につながる危険な制度? 堀潤の意見
ananweb / 2018年9月4日 7時0分
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「高度プロフェッショナル制度」です。
6月、8つの法律から成る働き方改革関連法が成立。長時間労働をなくすため、残業時間の上限が原則月45時間、年間360時間に定められました。上限を超えると使用者側に6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。また、「同一労働同一賃金」を導入。同じ企業で同じ仕事内容の場合、正規雇用と非正規雇用の待遇格差を是正することになりました。
8つの法律の一つが「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」です。年収1075万円以上の専門職は、残業や休日、深夜労働などの割増賃金の支払い対象から外すというもの。証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントなどが対象とされています。残業せずに自分の裁量で効率よく働けばいいという制度なのですが、現実問題、自分の仕事が終わったからと、残業せずに帰ることができるでしょうか。上司に新たな仕事を頼まれ、サービス残業を強いられるのではないか。家族が過労死した遺族らはこの法案に反対していました。優秀で責任感の強い真面目な人こそ、過労に至ります。本来、法律はそういう働き手を守るためにあるべきなのに、「高プロ」はそうではないと肩を落としていました。
実はこの法案、第1次安倍内閣のころにも「ホワイトカラー・エグゼンプション」という名で推し進められましたが、猛反対にあい、潰されました。安倍内閣が、なんとしてもこの法律を通したかった背景には、アメリカからのリクエストがあります。「日米投資イニシアティブ」という、経済的にパートナーシップをとろうという交渉のなかで、アメリカは日本の雇用環境を、従来の終身雇用型の家族的なあり方ではなく、成果主義ですぐに首を切れる外資系スタイルに変えることを要望。そうして、日本企業でアメリカ人の雇用を増やすことを望んでいるのです。
高プロは、労働者側に、拒否する権利を与えています。しかし、有給休暇の申請さえしづらい日本の職場環境で、対象者は拒否できるのか。また、現在は一部の高所得者、専門職のみが適用対象になっていますが、それも将来もっと広げられるのではないかと、危惧する声も上がっています。
堀潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN
※『anan』2018年9月5日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
転勤しなくていいが…「月1、2万円の住宅手当廃止」正社員のリモートワークは得か損か
プレジデントオンライン / 2022年6月23日 11時15分
-
コロナ対策は「逆に育児女性を苦しめた」過酷現実 「新しい資本主義」は女性の貧困を救うのか
東洋経済オンライン / 2022年6月17日 16時0分
-
「フリーランス」の響きはいいけれど……驚くべき“脱法契約”の実態
ITmedia ビジネスオンライン / 2022年6月10日 10時13分
-
【正社員になるべき?】手取り18万の契約社員、「正社員」になると給与は変わりませんが残業が増えます。どうすればよいでしょうか…
ファイナンシャルフィールド / 2022年6月4日 23時0分
-
いつでもクビにできるから助かる…「安くてうまい日本の飲食業」は外国人労働者の酷使が前提になっている
プレジデントオンライン / 2022年5月31日 11時15分
ランキング
-
1厚労省、「サル痘」の国内発生に備え医療従事者に天然痘ワクチン接種検討
読売新聞 / 2022年6月29日 20時6分
-
22022年上半期、買ってよかった「無印良品の隠れた逸品」5選
roomie / 2022年6月29日 21時0分
-
3【魔法なの?】ダイソーの『KAERU GRIP』は貼ってはがせる両面テープ! 水で洗えば粘着力も復活
マイナビニュース / 2022年6月29日 16時30分
-
4【無印良品】「電気代が超安くなる!」と話題! 節約の夏を乗り越えられる神アイテム! 完売注意
LIMO / 2022年6月28日 12時10分
-
5貯蓄が多い人ほどやっている!? 貯めている人の「共通点」
オールアバウト / 2022年6月26日 19時30分
ミッション中・・・
記事を最後まで読む

ミッション中・・・
記事を最後まで読む

エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
