良妻賢母、大黒柱は不要! “事実婚”をする3つのメリット
ananweb / 2018年9月2日 19時0分
あえて入籍しない、事実婚という選択。事実婚を選んだご夫婦に実際のところを聞きました!
■ 事実婚の魅力は?
名義変更などの手続きが不要。 夫婦の絆が契約でなく信頼関係で成り立つ。 二人だけの結婚スタイルを築いていく楽しみがある。
「事実婚は解消する際、別居して住民票を別にするだけと、とてもカジュアル。離婚にまつわる手間が少ないのはメリットですが、その分継続するための努力をお互いがすることが大切」 と野田さん。バツイチ同士の再婚ということもあり、「できればもう別れたくない」という共通の見解があるので、いくつかルールを設けているそう。
「たとえば、『要望をはっきり伝えるのは気がひけるけど、察してほしい』は禁止。言った責任と言わなかった責任は、同等に扱うようにしています。しっかり話し合い、お互いが納得して行動できるよう心がけるようにしています」(水谷さん)
また、二人の場合、生活費は基本的にワリカン。家事もしっかり分担している。「炊事は彼、掃除と洗濯は私。“良妻賢母”や“一家の大黒柱”みたいな固定観念に縛られず、自分たちに向いている役割分担をすればいいというのが私たちの考え方。結婚のために自分を変えるのでなく、結婚の形を自分たちに合わせればいい、という意識を共有しやすいのが事実婚だと思います」(水谷さん)
■ 不便なことは?
「うちは子どももいますが、事実婚だからといって特に不便を感じることはないです」 と野田さん。ちなみに、長男は父親である野田さんの姓。事実婚で夫婦の戸籍が別のまま出産すると、子どもは自動的に母親の姓になり、その後に野田さんの姓にしようとすると家庭裁判所の許可が必要になる。父親の姓にする場合、一番簡単な方法は、出産前に法律婚し「野田」の戸籍で出産、その後に水谷さんだけ戸籍を抜くというもの。この方法だと役所だけで簡単に手続きができる。
「不便があるとすれば、配偶者に相続権がないことくらい。遺言によって相続することはできますが、相続税が法律婚よりも多く課されます。私たちの場合は、相続は子どもだけと約束しているので、遺言は作っていません」(水谷さん)
ちなみに、葬儀など死後処理にかかるお金は、お互いに掛け捨ての共済に加入していて、受取人に設定しているそう。
■ 事実婚って、実はこんなこともできる!
手術の同意書にサインができる。 浮気したら慰謝料が請求できる。 解消時に財産分与の請求ができる。
手術などに関しては、実質的に家族であることがわかれば、同意書にサインができる。水谷さんと野田さんも、事実婚後に手術をしたことがあるけれど、何も問題はなかったそう。 また、子どもに影響が及ぶようなことも特にない。
「周りの目もまったく気になりません。私と息子の名字は違いますが、ママ友たちにも事実婚です、と自分から言わなければわからない。私が事実婚してから『実はうちも』と言われたことが数回あります」(水谷さん)
ちなみに、法律婚同様、事実婚でも相手の浮気による慰謝料請求の権利は認められている。財産分与に関しても、法律婚と同じく結婚期間中に夫婦で作った財産に関しては請求できる。
「私たちは家などの共有財産を持たないようにしています。これは一生一緒にいる前提で家庭設計をするのはやめよう、という考えからです」(野田さん)
■ どんな人に向いている?
名字を変えたくない。 夫婦ともに、ずっと続けたい仕事がある。 結婚に対してロマンティックなイメージを抱いていない。
「私は事実婚して本当に良かったと思っていますが、必ずしもどんな人にもおすすめできるというわけではありません」 と水谷さん。名字が変わらないことは、フリーランスで働く水谷さんのような人には特に好都合だけど、親など家族の理解を得るのが大変な場合も多い。
「私の親も保守的な考え方なので、最初は『なぜ入籍しないのか』と言われましたが、何度か話し合ううちに、理解してくれました」(水谷さん)
また事実婚は、お互い関係を維持する努力が不可欠。「フリーランスに限らず、自分のやりたい仕事があって、結婚をしようと思ったら、家事の分担など少なからず違和感を抱くことがあるはず。型にこだわらず、二人に合った結婚生活を模索し、継続していく努力をしようとする人には、事実婚がいいのでは、と思います。私たちが楽しくやっていることで、事実婚もいいかも、と思ってもらえたら嬉しいですね」(水谷さん)
野田真外さん 映像ディレクター。グラナーテ代表。監督をつとめたDVD『東京静脈』『東京静脈R 』『大阪静脈』『名古屋静脈』(すべてグラナーテ)などが発売中。
水谷さるころさん 漫画家。著書に『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)、『目指せ!夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)など。
※『anan』2018年9月5日号より。イラスト・徳永明子 取材、文・古屋美枝
(by anan編集部)
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