占い師しいたけ.さんがアドバイス、ふと気持ちが軽くなる方法とは!
ananweb / 2018年11月27日 20時0分
日頃から親交のある、話題の占い師のしいたけ.さんとテレビでもお馴染み、精神科医の名越康文さんが“生きづらさ”を感じる人たちへアドバイス。ふと気持ちが軽くなる幸福へのヒントを教えてくれました。
■ 周りを意識しすぎて、自分の軸がブレていない?
S(しいたけ.さん):僕は長い間、家にひきこもっていたので、ひとりで過ごす時間にも慣れていますが、昨今はSNS などの影響で、ひとりより誰かと一緒にいるほうが、よしとされる風潮があるようですね。
N(名越さん):しいたけ.とはたびたび“想像力”の大切さについて話すけど、それはひとりでいる時間にこそ、磨かれるものなのに…。
S:人と一緒にいると、僕の「ひとり密着番組ごっこ」(※)のように、架空の相手と話す余裕もないですしね(笑)。
N:そう、そう。
S:あと、架空の相手といえば、最近は仏壇に手を合わせる習慣も、なくなってきているじゃないですか。昭和の古い映画を観ていると、親が子供に「おばあちゃんの仏壇に、ご挨拶した?」なんて言うシーンがけっこうあるんですけど、僕はあれが好きなんです。というのも、仏壇に手を合わせるのは“見えない相手” との対話であって、自分の核を形成していくうえで、すごく大切な気がするから。
N:それこそ「ひとり密着番組ごっこ」でお年寄りインタビュアーと対話している感じ。
S:そうなんです。それと同じように、亡くなった方との対話も、目の前にいらっしゃらないぶん、思いきって本音が話せるという利点があります。
N:一方で、相手が生身の人だと、そうはいかない。
S:やっぱり、何の話がウケるんだろう、何に食いついてくれるんだろうって、探りながら話しちゃいますよね。視聴率を稼ぎにいく、みたいな…。
N:それももちろんコミュニケーションとして必要なことなんだけど、あまりにも相手を意識しすぎると、自分の本質からは、どんどんズレてしまうからね。要はバランスで、ひとりでいる時間もきちんと持って、自分と楽しくつきあって、自分の納得の“軸”を養っておくことが大切です。
S:その点、僕がよかったのは、ひきこもっていた期間が長かったこと。今こうして文章を書くとか、いろいろできているのは、まったく友達がいなくて、その間、ずっとひとりで日記を書いていたからだと思うんです。まさに仏壇に報告する、みたいな感じで日記を書いているうちに、自分の考えが熟成されていったような気がします。
N:しいたけ. の独特な感性は、そうやって出来上がっていったんだね!
S:名越先生はいかがですか? 普段、ひとりでいる時間をどれくらい持っていますか?
N:僕は、自覚的に8割方ひとりかな。
S:自覚的に?
N:そう。人としゃべっていても、“ひとりでいる”と設定することがあるんです。
S:それは、面白いですね。
N:たとえば行きつけのカフェで店主としゃべっているでしょ。2時間お店にいたとして、そのうち1 時間半、店主としゃべっていても、それは僕の中ではひとりの時間なんです。だって、そのカフェは僕のホームグラウンドで、そこで起こっていることは、すべて自分と同化しているというか、違和感がないわけだから。
S:なるほど。そんなふうに考えられたら、ひとりでいる時間も、ぐんと広がりそうですね。
N:いろんなところを、パーソナルな空間に変えてしまうんです。とはいえ、人といる時間も大切だと思いますよ。だからといって誰でもいいというわけではもちろんなくて、僕の場合は、独特な話を仕掛けた時に、とりあえずノッてきてくれる人が基準です。それこそ、しいたけ.とかね。
S:ありがとうございます(笑)。それでいうと、僕もブログやツイッターを書いている時に、世の中の人全員を対象にしていないというか…。過去に出会った人も含めて、自分のことを面白がってくれる人たちに向けて、書いているような気がします。
N:わかる、わかる。
S:僕が仕事をするうえですごく参考にしているのが、村上春樹さんが、ジャズ喫茶と小説家の経営理論について書かれていたこと。村上さんは小説家になる前にジャズ喫茶を経営されていましたが、それと小説家の経営の仕方は、あんまり変わらない。10 人のうち、3人のコアなファンをつくればいい、と。つまり、ほかの人たちからは嫌悪されるかもしれないけれど、お店でも表現でも、エッジが立っていないと、面白がってくれる人がいないから。
N:みんなに好かれる必要はない、と。
S:はい。有名な映画監督の方も言っていたんですけど、一番やってはいけないのが幕の内弁当をつくることだって。偏りまくれって。そうじゃないと言いたいことがぼやけて、むしろ誰からも注目されなくなってしまうから。
N:そんなふうに自分の個性を見極めるためにも、自分と向き合う時間を持つことは、やっぱり必要ですよね。集団から離れることを恐れず、ひとりの時間をうまく取り入れてもらいたいですね。
※しいたけ.さん流自問自答メソッド「ひとり密着番組ごっこ」
自分がドキュメンタリー番組の取材班に密着されるという妄想を開始。インタビュアーは、ある時は血気盛んな若手、ある時はライバルとなり得る同年代、そしてある時は定年間近の年配…。こうして架空という片肘張らない世界の中で、さまざまな相手から取材を受けるうちに、本心を探り当てられる。
なこし・やすふみ 精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。NTV系『シューイチ』ほか、さまざまなメディアでコメンテーターとしても活躍。著書多数
しいたけ.さん 占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)ほか。最新刊『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(KADOKAWA)が12月15日に発売予定。名越先生から「体癖」について学ぶなど師弟関係にある。ツイッターでのふたりのやりとりに注目者多数
※『anan』2018年11月28日号より。文・保手濱奈美 ©UygarGeographic
(by anan編集部)
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