唐田えりか『寝ても覚めても』好演 その裏に監督の意外なアドバイス…
ananweb / 2018年12月9日 19時0分
転機があったからこそ今がある。初のヒロイン映画がカンヌで大絶賛された、女優・唐田えりかさんの運命が動いた瞬間とは?
今年公開された映画『寝ても覚めても』のヒロイン・朝子を好演。その吸い込まれそうな透明感で、「第71回カンヌ国際映画祭」でも注目を浴びた唐田えりかさん。
――唐田さんにとって、最大の転機とは。
『寝ても覚めても』で濱口竜介監督に出会ったことです。ちょうどその頃、モデル志望だったこともあり、お芝居なんてできないと思っていた暗黒時代で(笑)。オーディションに落ちるたび、自分を否定されているような気がして自信も失ってしまって。『寝ても覚めても』のオーディションがあったのは、「もうこの仕事辞めたい」って、事務所の方にも母にも伝えた直後でした。
――オーディションではどんなお話を?
監督に「お芝居はどうですか?」って聞かれたので、「全然楽しくないです」って正直に言ってしまって(笑)。でも後日、脚本を読ませていただいた時、初めて号泣してしまうくらい感情移入できたというか。今までは役になりきらないといけない、と思っていたのに、朝子の場合は役が自分の中にすんなりと入ってきた感覚だったんです。そんな経験が初めてだったので、これは絶対にやりたいと思いました。受かったっていう知らせを聞いた時は、嬉しかったと同時に、直感で「これで変われる気がする」って思えたんです。
――濱口監督から何かアドバイスは?
クランクイン前に、「役作りがどういうことなのかわからないんです」って言ったら「何もしないでください。相手の芝居をちゃんと見て、聞いてください。ただそれだけでいいです」と。最初の本読みの時も、感情を一切入れず、「相手の心の中に鈴が垂れていると思って、その鈴を揺らすように読んでください」と言われて。最初は何を言っているんだろうって思ったんですけど、やっていくうちに少しずつわかってきたんです。濱口さんが言いたいのは、“ちゃんと聞いて、ちゃんと届ける”ということなんだなって。そういうレッスンを続けていくうちに、相手の声をちゃんと聞いていたら、何も考えずに自分の中からセリフが自然と出てくるような感覚になって。お芝居ってこういうことなんだと、その基盤を濱口さんに教わったような気がします。
――苦手意識はなくなりましたか?
やっぱりまだ、お芝居って難しいなって思うんですけど、前は「できないから辞めたい」だったのが、「できないから知りたい」に変わりました。今は『寝ても覚めても』の頃の自分を超えることが目標です。
■ 唐田えりかさんの運命が動いた瞬間年表
10歳:お年玉で初めてデジタルカメラを買い、写真を撮り始める。
写真が好きでファッション雑誌をよく読んでいて、モデルへの憧れを抱くようになる。
17歳:マザー牧場で今の事務所にスカウトされる。
直感で“この事務所なら、ちゃんと見てもらえそう”と感じ、芸能界入りを即決。
18歳:事務所の寮に入り、東京で活動を始める。
最初の3か月は楽しめたものの、その後、演技の壁にぶち当たり、“暗黒の時代”に突入。
雑誌『mini』の連載が始まる。
昔から大好きだった雑誌で連載が決まり、“夢を見ているような気分”だった。
19歳:映画『寝ても覚めても』のオーディションに合格。クランクイン。←ターニングポイント
濱口竜介監督との出会いをきっかけに、苦手だったお芝居に対する意識が変わる。
20歳:韓国の大手芸能事務所「BHエンターテインメント」と契約。韓国での活動開始。
K‐POPが好きで、“いつか韓国と関わる仕事がしたい”と考えていた夢が現実のものに。
雑誌『MORE』専属モデルになる。
小さい頃からずっと憧れていた、ファッションモデルとしての活動も本格化。
韓国版『ハーパース バザー』の撮影にて、カメラマンのチェ・ムンヒョク氏に出会う。
ゆっくり動きながら瞬間を切り取るという撮影方法で、写真にも感情がのるようになる。
21歳:雑誌『週刊文春』の「原色美女図鑑」でカメラマンの横浪修さんと撮影。
撮影中に感情が入りすぎて大号泣。写真でも“演じたい”という気持ちが一層強くなる。
からた・えりか 1997年9月19日生まれ、千葉県出身。女優、モデル。ヒロインを演じる映画『覚悟はいいかそこの女子。』が上映中。来春公開の映画『21世紀の女の子』にも出演。
ワンピース¥87,000(ナンバーシックス/シティショップ TEL:03・6696・2332)
※『anan』2018年12月12日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・仮屋薗寛子 ヘア&メイク・George インタビュー、文・菅野綾子
(by anan編集部)
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