色気にドキドキ! 吉田秋生、東村アキコ…エロスが詰まった漫画3作
ananweb / 2019年3月31日 20時30分
専門家が、色気を感じるあれこれをピックアップ。偏愛的にその魅力を語ります。今回紹介するのは、大人のための色気あふれる漫画編です。
『四十路越え!』をはじめ、女性の生き方に提言する著書を多く手がける一方、『ベルばら手帖 マンガの金字塔を大人読み!』を執筆するなど、少女漫画にも精通している湯山玲子さん。今回は、色気の描かれ方が大人に刺さる漫画を、3作品選んでもらいました。
「SNSが発達した今、セルフブランディングを意識する人が増えています。しかし、自他ともに認めるキャラに縛られすぎて、紋切り型の“あるある”な人物になりがち。実は、色気やエロさは、いつものキャラクターからはみ出したところや、思惑とは違うところに生まれる“意外性”に出現するのです。友人の枠を越えた、恋愛がらみのセックスも、普段の人間関係を外れた瞬間に起こるものなんです。例えば、『ラヴァーズ・キス』には異性、同性それぞれの複雑な人間関係が描かれ、表面上は普通だけれど、割り切れない思いを抱える人物がたくさん登場する作品。そんなミステリアスな部分にこそエロが漂い、異性として惹かれる一因になるのでは」
また、セックスへの肯定感を持つ女性が登場する作品は、いまだに女性性を乗りこなすことが苦手な、女嫌い=ミソジニー感覚を強く持つ日本人女性にはカンフル剤。
「『うらめしや』では、セックスの快楽を謳歌しつつ、翻弄されない主人公が登場。また、カッコいいエロスが描かれているのが『雪花の虎』。上杉謙信が女性だったらという設定で、まさに、それは現代版のベルばらのよう。宿敵・武田信玄と岩風呂で会い女性として口説かれるシーンは、コマ割りの上手さと、ふたりの表情がゾクゾクするほど美しい。謙信の確信的な処女喪失シーンも含め、カッコいいエロスが詰まっています」
■ 複雑な人間関係
吉田秋生『ラヴァーズ・キス』小学館、フラワーコミックス
母との関係に悩む高校3年生の朋章と里伽子を中心とした男女の恋愛を、キスを巡るドラマを通じて描く。「紋切り型のキャラクターとは真逆の、割り切れない、思惑からはずれた行動をとる人物がたくさん登場します。そういう複雑系の人には色気があるし、現実でもモテます。なかでも、誰にも言えない家族の事情を抱え、孤独で群れない朋章のような男を、女子は永遠に好きなもの。大人になって読んでもドキドキする、現代のエロスの金字塔です」人によって、色気を感じる対象や傾向もさまざま。
■ 性的イニシアティブを取る女たち
魔木子『うらめしや』(既刊25巻)双葉社、ジュールコミックス
舞台は江戸時代。幽霊や化け物などの不思議ごとを、主人公である“拝み屋”のお妖が解決する。「登場する女性キャラクターの多くがセックス好きという、今日び珍しい設定です。10ページを超える絡みのシーンが登場することもありますが、お相手は美形のイイ男ばかりで絡みのバリエーションも豊富とエロスエンタメ度が高い。セックスへの肯定感を持てる日本人女性が少ない中で、一条ゆかり作品の延長線上にある、“女性万歳”系エロスでもある」
■ 男装した女と男の関係
東村アキコ『雪花の虎』(既刊7巻)小学館、ビッグコミックススペシャル
戦国武将である上杉謙信が、実は女性であったという説を題材にした歴史漫画。「上杉謙信がお風呂に入っていると、そこへ武田信玄がやってきて謙信を口説こうとします。後に宿敵となる二人が裸で出会い目が合うシーンは、画角も含め、すごくカッコいいエロスが描かれているので必見ですよ。また、謙信が一人前の女になるために、お世話になっていた僧に『俺を女にしてくれ』と体の関係を持つのですが、そういう二人のやり取りもセクシーです」
湯山玲子さん 著述家、ディレクター。『ごごナマ』(NHK)などレギュラー番組多数。月1回開催される音楽イベント「爆クラ!」を主宰。
※『anan』2019年4月3日号より。写真・内山めぐみ 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)
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