はだけた胸元も…ヤバい傑作がウィーンから来日!『クリムト展』
ananweb / 2019年5月11日 10時0分
上野の東京都美術館で『クリムト展 ウィーンと日本 1900』が開かれています。この展覧会では、19世紀末のウィーンで活躍した画家、グスタフ・クリムト(1862-1918)の貴重な作品が集結。ドキッとする官能的なアートや貴重な初期作など、見どころをご紹介します!
■ 過去最多の油彩画、来日中!
【女子的アートナビ】vol. 147
『クリムト展 ウィーンと日本 1900』では、世界最大級のクリムト・コレクションを誇るベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館から、貴重な作品が多数来日。日本では過去最多となる25点以上の油彩画が集まり、さらに素描や関連作品など含めて100点以上が展示されています。
2019年は、日本とオーストリアの間に国交が樹立して150周年となる記念の年。そして、前年の2018年はクリムトの没後100年ということもあり、今回の企画が実現したとのこと。日本にいながら上質なクリムト作品をまとめて見られる貴重なチャンスです。
■ クリムトの生い立ちからスタート
展示は8章で構成され、まずは画家の初期作品から見ることができます。ウィーン郊外の金工師の長男として生まれたクリムトは、1876年からウィーンの工芸美術学校で素描と絵画を学びます。
その後、市立劇場の天井画や壁画、ウィーン美術史美術館の壁面装飾などを手がけながら力をつけて、ウィーンを代表する画家となっていきました。
クリムトといえば、金を使った装飾的な絵画が有名ですが、初期のころはアカデミックで古典的な絵も描いていました。会場では、最初期に描いた男性裸体の習作や銅製彫金のレリーフなども見ることができます。
■ エロティックな傑作
1897年、ウィーンの保守的な芸術団体から脱退したクリムトは、「ウィーン分離派」を結成。初代会長となり、個性的な作品を手がけるようになります。そのころに描いた傑作が、この展覧会のメインビジュアルとなっている傑作《ユディトⅠ》。
半開きのうつろな目や口元、はだけた胸元などの描写がかなりエロティックで、薄暗い展示室でこの作品と向き合うとドキドキします。
東京都美術館の学芸員、小林明子さんの解説によると、「1900年以降、およそ10年間はクリムトの黄金様式の時代と称され、金箔をはじめ、金の表現を非常に洗練させていった」とのこと。この金箔は、日本美術からの影響も指摘されているそうです。
また、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の学芸員、マークス・フェリンガーさんによると、この作品には「女性のエロス、生身の身体と彩る装飾品など、クリムトの代名詞となっている要素が含まれている」とのこと。
さらに、クリムトは複数の女性と関係を持つなど、奔放な恋愛関係で知られているのですが、そんな彼自身が抱いていた不安から生じる不安定な気持ちがこの作品に込められているそうです。
■ ローマからきた傑作も必見!
もうひとつ、見逃せないのがローマから来日した傑作《女の三世代》。展覧会を監修された成城大学名誉教授で広島県立美術館館長の千足伸行さんによると、本作はクリムトの中でも完成度が高く、すばらしい作品とのこと。
赤ちゃんと母親、高齢の女性という三世代の女性の姿が表現されているのですが、老いた女性が残酷なくらい醜く描かれています。
「この作品では、時代や宗教に関係なく誰もがたどる“運命”を表しているが、そんな暗いテーマでもクリムトは装飾的なモチーフを使い、色彩的にも美しい作品に仕上げている」と千足さん。この装飾的な部分にも、日本美術の影響があるそうです。
ほかにも、風景画や肖像画、ウィーンの分離派会館に描かれている壁画《ベートーヴェン・フリーズ》の原寸大複製なども展示。作品を通して、クリムトの人生をたどることができます。
東京都美術館での会期は7月10日(水)まで。その後は、豊田市美術館(愛知県)に巡回します。ぜひ、本物の美しいクリムト作品をご覧になってみてくださいね!
■ Information
会期:~7月10日(水)
開館時間:9:30~17:30 ※金曜日は9:30~20:00 ※入室は閉室の30分前まで
開催場所:東京都美術館 企画展示室
休室日:5月20日(月)、27日(月)、6月3日(月)、17日(月)、7月1日(月)
入場料:一般¥1,600 、大学生・専門学校生¥1300、高校生¥800、65歳以上¥ 1,000、中学生以下無料
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