「睡眠は90分単位が良い」は間違い? “眠りの常識”Q&A
ananweb / 2019年9月6日 20時0分
私たちが生きる上で必要な睡眠。質を高められるなら、いいとされることは全部やってみたい。でもちょっと待って。広く知られ、信じているその“常識”、ひょっとしたら間違って理解しているかも!
現代人の忙しさを反映するように、関心が高まるばかりの睡眠。ただ、快眠を求めて本や記事を読み、短絡的に正しいと思い込んで、実践するのはとても危険!
「専門家と称する人たちが発信している情報の中にも間違っているものが含まれています。それが睡眠の常識となり、さらに神話と化して広まっているのが現状です」
と、最先端の睡眠研究を行う、櫻井武先生は警鐘を鳴らす。
「たとえば、睡眠の話題でよく出てくる体内時計。25時間と言う人もいますが、1日24時間の地球の自転周期からそこまでズレはしません。若干の個人差はありますが、24時間10分ほどです」
心身の健康と直結する睡眠だからこそ、“常識”を疑ってみることも快眠に繋がる!
■ 睡眠時間は90分単位で決めるとスッキリ起きられる。
これってホント? ウソ?
△:睡眠のサイクルには、個人によって幅があります。
睡眠中は、ノンレム睡眠+レム睡眠のサイクルを一晩で4~5回繰り返している。この1サイクルは90分なので、その倍数で睡眠時間を決めれば、すっきり目覚められるとはよく聞く話。「実際は、1サイクルは50分~120分くらいで、個人によってかなりの幅があります。同じ人でも、その日の状態により異なります。90分という数字にこだわって、あえて睡眠時間を短くする必要はありません。90という数字自体に意味はないのです」
■ ノンレム睡眠は「脳」を休めていて、レム睡眠は「体」を休めている。
これってホント? ウソ?
△:ノンレム睡眠中は、脳も体も休んでいます。
ノンレム睡眠中は、脳の活動は低下し休息モードへ。脳が全身に指令を下せないので筋肉の活動も少なくなる。一方、レム睡眠中の脳の活動は実は起きているとき以上に活発。運動に関わる神経系への指令を遮断することで、睡眠中に体が暴走するのを防ぐ。「筋肉が弛緩するため、『レム睡眠は体の休息』と誤解されるようになったのでは。ノンレムとレム睡眠の違いを表現するなら、前者はPCのスリープ状態、後者はオフラインで使用中のイメージです」
■ レム睡眠は「浅い眠り」で、ノンレム睡眠は「深い眠り」。
これってホント? ウソ?
△:完全な別モードを、深さで比較するのはナンセンス。
レム睡眠とノンレム睡眠によくある誤解。「2つは質的に異なるもので、深さの違いでは比較できません。そもそも、睡眠はノンレム睡眠から始まります。もしレム睡眠が浅いのなら、レム睡眠から始まるはず」。浅い・深いの観点が大切なのはノンレム睡眠。ノンレム睡眠には4段階のステージがあり、就寝後30分~1時間で最も深いステージ4に達する。「最初のサイクルでまとまった時間眠れず深い睡眠が得られないと、睡眠の質が落ちてしまいます」
横軸が時間、縦軸が睡眠の段階で、健康な成人の一晩の睡眠の変化を示した図。前半は深いノンレム睡眠が現れるが後半に向かって浅くなる。と同時にレム睡眠が長くなる。『睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』(櫻井武著 講談社)より
さくらい・たけし 筑波大学医学医療系教授。国際統合睡眠医科学研究機構副機構長。著書に『最新の睡眠科学が証明する 必ず眠れるとっておきの秘訣!』(山と渓谷社)など。
※『anan』2019年9月11日号より。イラスト・中根ゆたか 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)
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