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日本のアニメは「分岐点にある」アニメ映画祭ディレクター・土居伸彰の意見

ananweb / 2020年1月10日 20時30分

日本のアニメは「分岐点にある」アニメ映画祭ディレクター・土居伸彰の意見

北海道の玄関口である新千歳空港で、2014年から行われているアニメ映画祭をご存じだろうか。施設内にある3つのシアターをメイン会場として、国内外の新鋭アニメ作家たちによる長編・短編さまざまな新作の上映のほか、関連イベントや展示、シンポジウムなど、作り手もファンも楽しめるフェスティバルとなっている。このフェスティバル・ディレクターを務めているのが、アニメ評論家としても活躍する土居伸彰さん。
■ “まだまだ日本のアニメには可能性がたくさんある”


「もともとはアニメよりも、インディペンデント系の音楽とか映画に興味を持っていたんですが、大学のロシア語の授業の中で紹介されたユーリー・ノルシュテインというアニメ作家の短編を観て衝撃を受けたんです。ギョッとするようなリアリティがあって、いままで持っていたアニメーションのイメージが一変しました。そこから作家性の強い短編アニメやインディペンデントアニメを中心に研究するようになったんです」

研究を進めるなかで、それらの作品が日本で観られる機会があまりに少ないことを感じた土居さんは、自ら映画館と交渉し上映会などを行うように。ちょうどその頃、テレビや映画といったメディアが強い個性を放つアニメーション作家に目をつけ始める。

「それまでアニメーションの分野で芸術性と商業は、ある種、対極に位置していたんです。それが、芸術性のある商業作品がマーケット的に求められるようになってきた。その象徴的な存在が映画『君の名は。』の新海誠監督です。もともと新海さんは短編を自主制作で作っていたインディペンデント作家。作家性の強い新海さんと東宝のプロデューサーが組むことで、爆発的なヒットに繋がりました」

そんな流れを受け、現在、土居さんは日本に海外の作家を紹介したり日本の作家を後押しする事業を行っている。新千歳空港国際アニメーション映画祭の活動もそのひとつだ。その土居さんによると、いまの日本のアニメーション業界は「分岐点にある」とか。

「いまはDVDやBlu-rayが売れなくなっている時代です。これまで日本のアニメは、こういったパッケージやグッズの売り上げまで見込んで製作されていました。しかしこれまでのやり方では製作資金が回収できなくなっているんですよね。そもそも業界自体、いまだにアナログに頼っている部分が多く、働く人たちの労働問題も頻繁に取り沙汰されている状況。このままでは産業自体が衰退していく危険もあると思います」

しかし同時に、可能性もある。

「Netflixのような資金力を持った企業が、いまオリジナルのアニメーション作品の製作に乗り出しています。湯浅政明監督の『デビルマン・クライベイビー』がそのいい例。新海さんや湯浅さんだけでなく、『ペンギン・ハイウェイ』の石田祐康監督、『映画 聲の形』の山田尚子監督など、冒険的な作品を作る新しい才能も生まれていますし、面白くなっていく予感はあるんです。長きにわたって独自の発展を遂げてきた日本のアニメは、これからは戦略的に変化しないといけない。ますます世界を視野に入れた作品創りが求められていくはずです」

いま土居さんが進めているのは、国の支援を受けてアニメーション制作をしているフランスで、日本人監督の作品を創るプロジェクト。

「ほかにもアプリゲーム化や、漫画、CMといった多分野に応用するなど、まだまだ可能性はたくさんあるのではないでしょうか」

どい・のぶあき 新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター、「ニューディアー」代表/アニメプロデューサー 1981年生まれ、東京都出身。東京大学大学院総合文化研究科卒。ユーリー・ノルシュテインを中心にインディペンデント作家の研究を行う傍ら、アニメ評論や上映イベントなどの企画のほか、海外映画祭での審査員やキュレーターとしても活躍。著書に『21世紀のアニメーションがわかる本』(フィルムアート社)。

※『anan』2020年1月15日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)

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