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ロック界の第一線に君臨するBUCK-TICK、超満員の年末ライヴで魅せた気高さ

ananweb / 2020年1月14日 19時32分

ロック界の第一線に君臨するBUCK-TICK、超満員の年末ライヴで魅せた気高さ

音楽をこよなく愛する、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。【音楽通信】第24回目は、5人組ロックバンドのBUCK-TICK(バクチク)が、代々木体育館で開催した「THE DAY IN QUESTION 2019」ファイナル公演のライヴレポートをお届けします!
撮影:田中聖太郎、立脇卓、渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

■ 2019年「THE DAY IN QUESTION」最終日は代々木体育館


【音楽通信】vol. 24

櫻井敦司(vo)、今井寿(g)、星野英彦(g)、樋口豊(b)、ヤガミ・トール(ds)の5人からなるBUCK-TICKは、1987年のメジャーデビュー以降、メンバーチェンジをすることなくロックシーンの第一線で活躍し続けている。気高く、不動の存在といえるBUCK-TICKは、2020年にバンド結成35年、デビュー33年。いまもなお後続するアーティストたちに多大な影響を与え、誰もがリスペクトする唯一無二のバンドへと遂げている。

そんな彼らが20年間開催し続けているのは、毎年12月29日に恒例となっている日本武道館公演。2019年は、12月3日に出身地でもある群馬県の高崎芸術劇場から、ツアー「THE DAY IN QUESTION 2019」がスタート。ファイナルとなる12月29日は、改修工事により武道館が使用できないため、会場を初となる国立代々木競技場第一体育館に移して開催された。

国立代々木競技場第一体育館に着くと、アリーナ席からスタンド席まで約12,000人の満席。以前からBUCK-TICKを応援している支持者から、20代前後の男女や子どもを連れた親子まで、幅広い層のオーディエンスが集結している。BUCK-TICKの音楽が色褪せることなく、循環され、進化し続けているからこそ、新しいファンを常に獲得し続けているのだろう。

会場が暗くなり、ステージ上のスクリーンに映像が映し出され、荘厳でゴシックな世界観の「夢魔-The Nightmare」からライヴがスタート。黒いベールをまとった黒衣装の櫻井が、圧倒的な存在感で一気にオーディエンスを惹きつける。今井と星野のツインギターが交差し、樋口とヤガミがボトムを支えていく。続いてハードなロックナンバー「唄」へ。

ボーカルの櫻井敦司。

そしてこの日の初MC。櫻井が「みなさん、こんばんは。代々木体育館は初めて舞台に上がります。こんなにたくさんの方がいらしてくれて、本当に幸せです。ありがとうございます。それでは最後まで楽しんでいってください」と伝えると、大きな歓声がわいた。

次にダンサブルな「獣たちの夜」、アグレッシブな「Jonathan Jet-Coaster」、メロディアスで切ない「羽虫のように」を披露。前半ですでに場内のテンションは上がり続け、館内は熱気でいっぱいに。

ギターの今井寿。

さらにスパニッシュサウンドの「絶界」、今井が「メリーさんの羊」のフレーズを弾きながらの「細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」、インダストリアルな「PINOA ICCHIO-踊るアトム-」を放ち、センチメンタルな「月下麗人」を披露。

櫻井が「どうもありがとう」と歓声に応え、スクリーンの雪景色を背に歌う「Snow white」では、雪が舞う演出がなんとも幻想的だ。続いて、今井がエレキギターで「きよしこの夜」を弾き、バックのスクリーンに教会が映し出されるなか、星野がアコースティックギターで「SILENT NIGHT」を鳴らす。

ここまでのしっとりとした静寂を打ち破るかのように、ファンタジックでポップな「Alice in Wonder Underground」を演奏。緩急のついた構成でオーディエンスをまったく飽きさせない。そして「スピード」のイントロが流れ歓喜する場内はヒートアップ。たたみ掛けるように、続いてエレクトロなダンスナンバー「独断場Beauty-R.I.P.-」で会場を揺らす。ラストは、優しくて儚い「FLAME」で締めくくった。

櫻井は何度も深いお辞儀をして、ステージをあとにし、メンバーも続いて退出。暗くなった会場では「アンコール!」の声が響き渡る。

ギターの星野英彦。

しばらくした後、メンバーがステージに再登場。アンコール1曲目は、2020年1月29日にリリースされるニューシングル「堕天使」。続いて、アンニュイでロマンティックな「RONDO」、ヘビーな「無題」を繰り広げ、会場をダークネスに染め上げた。

メンバーがステージをあとにし、再度暗くなる場内。1度目よりもさらに力強い「アンコール!」の声が広がるなか、メンバーが現れ、明るくなる場内とオーディエンス。

2度目のアンコールでは、アコースティックな「Coyote」、メランコリックな「ドレス」を披露。櫻井が「どうもありがとう。次は懐かしいエイトビートの曲をやりたいと思います」と言い終わるやいなや、ヤガミが「ワン、ツー、スリー、フォー!」とカウントし、疾走感あふれるナンバー「惡の華」へ。

ベースの樋口豊。

そして櫻井はスタッフ、生放送中継をしていたWOWOWの視聴者、代々木に集まった来場者に感謝の意を述べ、メンバー紹介。「まずは自己紹介。ボーカル櫻井です」と話し、「ギター! 今井寿」「ギター! 星野英彦」「ベース! 樋口豊」「ドラムス! ヤガミ・トール」と紹介していき、ヤガミ以外のメンバーは退出。

ここでヤガミはドラムソロを披露する。まずは素手でドラムをたたき、次にドラムスティックを持って、見事なドラミングをプレイ。会場から「おお〜っ!」という歓声が飛び、メンバーが再登場。

ドラムのヤガミ・トール。

櫻井は「良いお年をお迎えくださいませ。みなさんもどうか、お幸せに。では最後に1曲、みなさん、自分を愛しましょう」。

そう言って、この日のライヴを締めくくったのは、1990年に発表されたキャッチーな「LOVE ME」。今井は童謡の「お正月」のフレーズをしのばせて、最後の曲を盛り上げる。この曲に限らず、彼らは新旧織り交ぜたナンバーを披露しているが、2020年間近のいま現在どの曲を聴いても、古く感じさせないどころか魅力的な楽曲ばかりだという事実に驚いてしまう。

会場中にメンバーを呼ぶ声が響くが、女性だけではなく、野太い声の男性が「櫻井さーん !!」などと叫んでいるところも、BUCK-TICKのすごさのひとつ。女性ファンはもちろん、確実に男性のファンも新たに増加し続けていることは、彼らの魅力が多岐にわたって発揮され続けていることの証しだといえる。果たして、これほどまでに長年支持され続けているバンドはどれほどいるだろうか。

彼らがステージから去ったあと、スクリーンには、2020年5月からオフィシャルファンクラブ会員とモバイル会員限定のライブハウスツアーを全国7会場8公演開催すること、夏にはニューアルバムがリリースされて秋には全国ホールツアーを、12月29日には日本武道館公演を行うことが発表された。けっして守りに入ることなく、常に進化し続けるBUCK-TICKの偉大さをあらためて実感した夜だった。


■ 取材後記

筆者は、BUCK-TICKが1988年に『ミュージックステーション』に初登場し「JUST ONE MORE KISS」を披露した回を目にしたとき、その麗しくも尖ったビジュアルと楽曲に衝撃を受けたことをきっかけに、「将来は素晴らしい人たちを伝える仕事をしよう」と心に誓いました。そして現在、ライターや編集のお仕事を通して素晴らしい表現者のみなさまの作品を文字でお届けしております。こんなふうに、キャリアが長いバンドはそれだけ人々の人生の折々に触れることも。新旧の楽曲を披露されたBUCK-TICKのライヴに魅了された夜でした。

■ セットリスト

01.夢魔-The Nightmare
02.唄
03.獣たちの夜
04.Jonathan Jet-Coaster
05.羽虫のように
06.絶界
07.細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM
08.PINOA ICCHIO-踊るアトム-
09.月下麗人
10.Snow white
11.SILENT NIGHT
12.Alice in Wonder Underground
13.スピード
14.独断場Beauty-R.I.P.-
15.FLAME

<アンコール1>
1.堕天使
2.RONDO
3.無題

<アンコール2>
1.Coyote
2.ドレス
3.惡の華
4.LOVE ME

■ Information

New Release
「堕天使」

01. 堕天使
02. Luna Park

2020年1月29日発売
VICL-79005 (通常盤)
¥1,000(税別)

VIZL-1685 (完全生産限定盤A(SHM-CD+Blu-ray))
¥2,380(税別)
VIZL-1686 (完全生産限定盤B(SHM-CD+DVD))
¥1,880+税

[完全生産限定盤 (A/B共通)]
・「堕天使」(「THE DAY IN QUESTION 2019」高崎公演)音源収録。
・Blu-ray/DVD : 「堕天使」 MUSIC VIDEO収録。
・スペシャルデジパック仕様

New Release
BUCK-TICKトリビュートアルバム
『PARADE III ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~』

01. ICONOCLASM / BRAHMAN
02. 青の世界 / 八十八ヶ所巡礼
03. 形而上 流星 / minus(-) featuring 藤川千愛
04. 天使は誰だ / GRANRODEO
05. JUPITER / シド
06. Lullaby-Ⅲ / 黒色すみれ
07. 愛の葬列 / Der Zibet
08. LOVE ME / Cube Juice
09. 唄 / 椎名林檎
10. NATIONAL MEDIA BOYS / DIR EN GREY
11. ミウ / 坂本美雨
12. 惡の華 / GARI
13. JUST ONE MORE KISS / 藤巻亮太

2020年1月29日発売
VICL-70243
¥3,000(税別)


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