上白石萌歌、『3年A組』で「身震いするぐらい嬉しかった」出来事とは
ananweb / 2020年2月20日 19時30分
12歳でデビューし、間もなく20歳を迎える上白石萌歌さん。近年は、テレビドラマを中心に、印象に残る役柄を次々に演じています。アーティストとしても活躍する彼女が、10代最後の今、思うこととは。
取材前に、自己紹介をした後に「よろしくお願いします」と深々とお辞儀をして、笑顔を覗かせた上白石さん。時間はすでに夜8時すぎ。しかもこれがその日最後の取材だというのに、そんなそぶりを見せず、終始朗らかで丁寧に受け応えする姿が印象的でした。
――今度挑戦される舞台『お勢、断行』は、江戸川乱歩の小説をモチーフに倉持裕さんが作・演出する新作です。上白石さんは以前から倉持作品のファンだそうですね。
そうなんです。竹中直人さんが主演された『夜更かしの女たち』という舞台が倉持さんの作品を観た最初だったんですが、子どもながらに今までにないものを観たなっていう感覚になったんです。1幕と2幕で、駅のあちら側とこちら側で同じ物語が描かれていくお芝居だったんですけれど、脚本は変わっていないのに、視点が違うだけで全然違う印象になるっていうことに衝撃を受けて。そこから姉(上白石萌音さん)と揃って倉持さんの作品が好きだったので、姉が『火星の二人』という倉持さんの舞台に出た時はすごくうらやましかったです。
――倉持作品って、どこか結論を観客に委ねる謎かけのようなところがありますよね。わかりやすいラストが用意されているわけではないので、観終わった後も、あれはどういう意味だったのかとモヤモヤ考えることが多くて…。
そうなんですよ。そのわかりきらないところが面白いなって思うんです。なんであのタイミングであの言葉だったんだろうとか。そうやって家に帰るまでいろいろ考えを巡らせるのが好きなんです。
――最近は映像作品への出演が続いていますが、上白石さんにとって舞台はどういう場ですか?
どうなんだろう…もともとは舞台を中心にというか、おもにやらせていただいていましたし…。もともとこの世界に入ろうと思ったのも原点にミュージカルがあったからですし、舞台は、自分のホームベースというか原点みたいな場所かもしれません。
――ミュージカルスクールに行かれていたんですよね。
姉がミュージカルが好きで、私はそこに付いていく形でやっていたんです。妹って、姉の真似をしたがるじゃないですか(笑)。そういう単純な動機ともいえない動機から、今ここにいる感じです。お芝居は小さい頃から好きだったんですが、それを仕事にするなんてまったく考えてなかったので、デビュー前の私が今の私を見たら、結構びっくりすると思います。
■ 自分はここにいるべき人間じゃないと思っていました。
――東宝シンデレラオーディションでグランプリを受賞したのが小学校5年生の時。将来のことなんてまだ考えられなかったですよね。
もともと人前では全然話せない、挨拶もできないぐらい人の陰に隠れているような子だったんです。だから、始めた当初は自分は絶対にここにいるべき人間じゃないって思っていたんです。でも、お芝居だったり出合う役だったりが、そういう私のいろんな殻を破ってくれた気がしています。
――ここまで続けてきてよかった、と思えるような作品との出合いはありますか。
2年前のドラマ『義母と娘のブルース』への出演は大きかったです。正直、自分にとって大変だなと思うことが一番多かった現場で、役者としての自分を初めてちゃんと俯瞰できたというのかな。…お仕事に対する意識というか責任感が、この作品でガラッと変わって、芝居があらためて好きだなって思えたし、もっと役と近くなりたいと思えたんです。
――とくに何が大変でした?
演出の方に言われたようにできない自分に悶々として精神的にしんどかったんです。でも、葛藤はしましたけど、初めて自分のお芝居にちゃんと向き合えた感覚もあったんですよね。街中で役名で呼んでいただくことも増えたし、仕事に対する責任の重さをあらためて感じた作品でした。
――忙しいと思いますが、今、頑張れる原動力って何ですか?
なんだろう…でも、ファンの人だったり、祖父母だったり、私にはこう届いたよって言ってくださるのは嬉しいですね。『3年A組』というドラマをやった時、私の役と同じようにネットの言葉に苦しめられていた女の子から「生きる勇気をもらいました」って言っていただいたんです。その時は、身震いするぐらい嬉しくて、こちらのほうが…生きる希望みたいなものをもらえたなって思いました。
かみしらいし・もか 2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。’12年にデビュー。近作にテレビドラマ『3年A組‐今から皆さんは、人質です‐』、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』。’19年よりadieu名義で音楽活動も本格スタート。2月22日放送のドラマ『ファーストラヴ』(NHK BSプレミアム)、夏には主演映画『子供はわかってあげない』が。ジレ¥59,000 パンツ¥53,000(共にAKIKOAOKI TEL:03・5829・6188) イヤリング¥15,000 バングル¥17,000(共にJouete TEL:0120・10・6616) その他はスタイリスト私物
上白石さんが出演する舞台『お勢、断行』は、2月28日(金)~3月11日(水)世田谷パブリックシアターで上演。作・演出は倉持裕さん。’17年に倉持さんの作・演出で上演した舞台『お勢登場』は、江戸川乱歩の複数の短編を絡み合わせたもの。今回は、そこに登場したヒロイン・お勢(倉科カナ)を主人公にした書き下ろしに。
※『anan』2020年2月26日号より。写真・樽木優美子(TRON) スタイリスト・道端亜未 ヘア&メイク・冨永朋子(allure) インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)
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